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これで解決!ヘタレイケメンの治し方  作者: 奈瀬朋樹
合コンパニック
17/40

16話 気が付いたら

「佐藤っ、市ヶ谷っ、放課後カラオケ行こうぜっ!」


「唐突だな。藤田(ふじた)とは挨拶レベルの関係なのに」

「今から仲良くなるんだよ。同じクラスの男同士、親睦を深めようぜ!」


ああ、つまり佐藤大輔の友達という肩書きGETが目的か。


大輔と一緒にいて分かった事だが、イケメンは周りからチヤホヤされると言うより、無条件で目立ってしまうという表現が正しく、例えるならモブキャラが10人固まった叫びよりもイケメンの(ささや)きを優先。つまり影響力が半端ないのだ。


美男美女は性格が悪いって意見があるけど、その理由は我が儘を言っても大体通ってしまう見えざる力が原因じゃないだろうか? なのでその影響力に(あやか)りたいと思うのは当然で、だからこそ本人は言動に細心の注意を払う必要があるのだが。


「ええっと、僕カラオケは苦手で……」


佐藤大輔というイケメンは、それ以前に人付き合いがド下手糞でした。


しかも〝真守と一緒に高校生活を楽しめれば満足〟という誤解されそうな願いをご所望で、入学して一週間が経過したのに女子だけでなく男子からも距離を取っているせいで限りなく浮いた存在になってしまい、とばっちりで俺まで孤立する有様だ。


「うっわー、市ヶ谷の言う通り、マジで残念イケメンだな」

「イケメンにも色々あるんだよ。偉ぶるよりはずっといいだろ」


どうせバレる事ならと、大輔がヘタレという真実をクラスに周知したのだ。


勝手に上げられて落ちるくらいなら、最初から落下しとけばいい訳で、何事も素直が一番である。大輔自身も偉ぶる気は皆無だったし、これで女子からの注目度が下がると思ったのだが、レッテルが『純粋』『誠実』『クールで格好いい』に変わっただけでした。


イケメンなら何でもいいのかよ!


そんなこんなでトラブルを回避してきたけど、回避し過ぎてクラスメイトとの交流が希薄な訳で、どうしたものかなぁ。


「なんだなんだぁ? 2人ともマジで辛気臭い顔になってるぜ! これはもうカラオケで全部吐き出してストレス発散しちゃおうぜ!」


確かに俺達には、リフレッシュが必要かもしれない。

それに大輔には俺以外の友達も作ってほしい訳で、ここは提案に乗るのもアリかな。


「大輔、折角の誘いなんだし、行ってみるか?」


「だよなっ、流石は市ヶ谷、話せる奴っ!」

「ええっ⁉ で、でも……」


どうにも何か言いたげな様子だったので、耳を傾けて聞いてみると。


「ああ、最近の歌が分からなくて不安だと」

「えっ? いや、そうじゃ…」


「佐藤っ、そんなん気にするな! 歌なら何でもOKだぞ!」

「そういう事だ。昔のヒット曲・アイドル曲・アニソンでもいいぞ」

「そうだぜ! みんなでバカ騒ぎすりゃー勝手に楽しくなるって!」

「う、うん。そうなんだ」


本当は『アニソンしか歌えない』って嘆きだったけど、これで証言は取れた。


「よっし! じゃあ決定! ほんと助かったぜー」

「ああっ、待って藤田くん!」


浮かれてどっかに行く藤田を大輔が追いかけて行く光景に、安堵の息が漏れる。大輔はずーっと俺にベッタリでクラスメイトとの関わりが全然なかったから、いい機会だ。それに相手が女子ならまだしも、男子だけでカラオケなら大丈夫だろう。



   ◇  ◇   ◇



「はぁっ? カラオケ合コンなんて聞いてないぞ!?」


終礼と同時に連行され、電車に乗った後というキャンセル不可能なタイミングでこの暴露だ。


藤田が言うには、何でも合コン参加予定だった1人が当日ドタキャン、このままじゃ企画自体が流れかねないので大輔に目を付けたらしい。イケメンは女子が勝手に寄ってくるうえに、彼女GETイベントまで自然発生するのか。同じ男なのに待遇が別世界だな。


「頼む! 相手はフェイリス女学院だからマジ頼む!」

「確か、ここら辺で有名な女子高だっけ?」


「そうそう! 同中の女子がまぐれ合格で潜り込んだから、お願いしまくったんだよ! 今更中止にできねーし、絶対美人揃いだって! だから頼む、マジこの通りっ!」


うわぁ、マジで必死だ。

もしここで難色を示せば土下座しそうな勢いだよ。


「だけど俺は合コン経験なんてないぞ。大輔は?」

「僕もない」

「はぁっ!? イケメンなのに何でないの?」


知らんがな。


〝イケメン=何でもできる〟って訳じゃないし、そもそも大輔がクラス女子とまともに会話できてない光景で察してくれ。


「ま、真守ぅ」

「はぁ……。もう後に引けないし、進学校同士の交流会と思って諦めろ」

「そ、そんなぁ……」


ハメられたとはいえ、ここで逃げるのは相手にも迷惑が掛かってしまう。

大輔に合コンは時期尚早だが、乗り切るしかない。


なので状況整理をしてみると、そもそもが3:3のプチ合コンで、欠員後に俺と大輔の加入で4人になったから1人増やしてほしいと相手に連絡、最初は急な増員は無理って返事だったけど、大輔の写メを添付したら即OKになったそうだ。


イケメンって、ほんと便利だな。


因みにもう1人の男子は下野で、席が隣という誼で藤田に誘われたそうだ。だけど今は異常にソワソワしていて落ち着きがなく、入学初日に声をかけた時と同じで前髪が長いから目が見えない。藤田もクラスのムードメーカーで悪い奴じゃないけど、ここは大輔を前衛に出して、他3人が後方支援に徹するのが妥当だろう。


ついでに携帯で合コン情報をチェックしようとしたら、大月さんから連絡が入っていた。


そういえば、今日は勉強会だったな。


あれから定期的に勉強会をする様になり、1人暮らしという自由過ぎる環境で自発的に勉強するのは強い精神力が求められるので、この誘いはとても助かっている。自由参加とはいえ、断りを入れておくべきだったな。


「真守、どうかしたの?」

「いや、急ぎの連絡がきたから返信させてくれ」



―【勉強会(3)】――――――――――――――――――――――――――――――

 大月 :藤田に連行されてたけど、どしたの?


 市ヶ谷:気付いたら大輔とセットで合コンの穴埋め要員に。勉強会は不参加です。

 大月 :リア充死ね。爆発しろ。 (♯・∀・)

 木葉 :今、伊万里ちゃんと勉強中です。

 大月 :優奈、私達はもう飽きられて用済みだね。(ToT)/~~~

 木葉 :ええ? そうなの?

 市ヶ谷:違います。なんかごめんなさい。後日、埋め合わせをしますので。

 大月 :じゃあ駅前にイイお店があるか調べておくから。^m^

 木葉 :い、いいのかなぁ?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



おおう、思いのほかガッツリと噛み付かれてしまった。大月さんのジョーク対応な気もするけど、勉強会のお礼も兼ねて奢った方がいいのかもしれない。あと、折角だから聞いてみよう。



―【勉強会(3)】――――――――――――――――――――――――――――――

 市ヶ谷:初合コンなので、よければ女性視点からの助言を下さい。

 大月 :【審議中】(‘・ω)(‘・ω・)(・ω・‘)(ω・‘)


 大月 :お持ち帰りは、ちゃんと同意を得てからね?

 木葉 :みんなで楽しむのが一番?


 市ヶ谷:ありがとう。参考にします。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――



どうやら2人も、合コン経験がないらしい。


酷な質問をしてしまったと反省しながら【勉強会】部屋を閉じて一覧画面に戻ると、定期的に大輔更生の情報が送られてくる【美緒(非公開)】部屋が目に入ってしまった。


今更だけど、大輔と一緒に合コンってバレたら、どうなるのかな?


よしっ、これも大輔更生の一環って事にしよう!


世の中は結果が全てだ。


計画時に反対しまくりだったのに成功したら平然と手の平返しをして、ワザと反対して激励していた・ワシが育てたという謎理論でヒラヒラかわすのが世の常で、つまり成功すれば何も問題はない! 美緒に肘鉄を決められた横っ腹が妙に(うず)いてくるけど、きっと大丈夫だ!


そんな決意をするのと同時に、目的地(俺と大輔の地元駅前)に到着となりました。

女子高の名称は適当ですので。

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