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第6話 感動と狂乱

も、申し訳ないです。

思ったよりも忙しくて更新できなかったです……。



雨なんて嫌いだ………。


 開いた口が塞がらない……本当にその一言だった。

 予想よりも10倍以上豪華な内装に明後日の方角へ飛びかけていた意識がお爺ちゃんの声により呼び戻される。


「おーい、何を突っ立っておるのじゃ?」

「……ハッ!」

「ぼーっとしとらんで、こっちにこんかい」


 そう言って部屋の端にある扉の前で手招きをしている。


 いや、いやいや!豪華過ぎるでしょ!爺ちゃんがいくら偉い人だからってこれはないでしょ!普通に王族の部屋って言われても納得できるよ!?

 どうやら本当にとんでもない人の養子になってしまったらしい……。


 内心軽いパニックになりながら手招きしているお爺ちゃんの所へ向かう。


「急に放心してしまって…どうしたのじゃ?」

「………お爺ちゃんって王様だったの?」

「違うぞ?国王はちゃんと他におる」

「いや、あまりにも豪華な部屋だったから……もしかして王様の部屋ってこれより豪華なの?」

「流石にここまでではないが、まぁ同じ様なもんじゃろ」

「それっていいの?王様の威厳とか」

「……お主本当に6歳児かの?普通はそんな事考えもしないと思うんじゃが」


 立派な6歳児です……肉体は。


「まぁ、普通の国じゃったら問題になってるかもしれんが……この国は色々と例外なんじゃよ」

「例外?」

「うむ、この国は周りの国から"図書館国"と呼ばれていてな、他の国とは持っている情報の量が桁違いなんじゃよ。なので当然この図書館の本目当てで戦争を仕掛けてくる国もあったんじゃが…この国は魔導書が多い分当然魔法使いも多く集まる、しかもこの国の魔法使いは他の国の魔法使いとは実力が段違い、そんな者達を相手に勝てるはずもなく、もし魔法使いを全員倒しここまで来たとしても内側から扉を閉められてしまえば開けられるのは儂と国王だけ、そんな場所余程の愚か者でも無ければ攻めたいなどとは思うまい?」

「確かに」

「その為、自然と戦争を仕掛ける国もなくなり、今では中立国の様な立場になっておる。延いてはその理由の一つをになっているこの図書館の館長の立場も高くなり、こんな内装をしていてもお咎めは無いという事じゃ。それに家具以外は傷をつけることが出来ないから変えようもないしの」


 なるほど、確かにこれ程落としにくい国も無い。

 精鋭の魔法使いがいるので攻め入る事が出来ず、ここまで来ても図書館には傷をつけられないから侵入も出来ない、と。

 この世界なら兵糧攻めとかされても魔法で何とかなりそうだし、相手からしたらふざくんなって話だわな。


「そういう事じゃ。まぁそれでもこの事を妬んだりする貴族などがこの国にいないのは単に国民性という物もあると思うがの」


 そう言いながらお爺ちゃんは扉を開け中に入って行き、私もそれに続く。


「……ほんとになんでもありですね」


 扉を開けるとそこには下へと続いている螺旋階段が………。

 それ自体はまだ分かる。然し、目の前には明らかにおかしい点が一つあった。


「浮いてるって……」


 そう、浮いていたのだ。普通は真ん中に柱があるなりする物だが、ここにはそれが無かった。あるのは落下防止用の柵と手摺、そして階段だけだったのだ。

 明らかに重力を無視した様な造りに思わず頬が引き攣った。


「さっきの部屋は来客用に使われる事があるのでな、こっちにある部屋は全てプライベート用じゃ」

「え〜っと、じゃあこっちにはどんな部屋が?」

「階段を下りた1階層目は寝室、トイレ、風呂と、まぁそんなもんじゃな、寝室なんて数だけ無駄に余っとるからの」


 トイレ……そうトイレ。

 やっぱりこんな豪華な所でも水洗じゃないのかな……元日本人の私としてこの世界のトイレは色々と思うものがあるんだよなぁ。

 でもこの高さの建物にトイレ……溜まったものを古代の技術によって瞬間移動で処理部分に移動させるみたいな?それなら水で流した方が良いよね………技術の無駄使いな気がするし。

 ……………一応聞いてみるか。


「あの、お爺ちゃん」

「ん?なんじゃ?」

「ここのトイレって……」

「トイレかがどうしたんじゃ?」

「水によって自動で流れるなんてこと無いよね」

「自動的では無いが水によっては流れるぞぃ?」


 ・・・・・え、マジで?


「お、お爺ちゃん。それって本当?」

「嘘ついてどうするんじゃ」

「そ、そうだよね……」


 よ、ヨッシャァァァァァ!マジで!やっぱり都会?は違った!


 顔にこそ出しはしなかったがリーシュは内心喜びによって狂乱していた。


「それで、更に階段を降りた先じゃが…」

「え?あ、うん!何があるの?」


 危なかった、喜びのあまり話を聞き逃すところだった。

 だが仕方ないと言えよう……故郷での暮らしの唯一の不満が水洗じゃないトイレの不便さだったのだから。

 改めて思うと本当に文明って偉大ね……水洗じゃないトイレの大変さと言ったらないもん。

 いや本当に魔導書に並ぶくらい切望していた物だから嬉しすぎる。


「聞いとるか?」

「え?あ、もう1回お願い」

「仕方ないのぅ」


 どうやらまた脳内へトリップしていた様だ。

 気を付けなくては…でも水洗……ムフフ。


「1階層から更に階段を降りた2階層じゃが、ガラクタが置いてある部屋なんかがあるくらいじゃなキッチンもあるが、まぁ自由に使うが良い」

「うん、ありがとう」

「うむ、まぁ今日は疲れたじゃろ。どの部屋を使ってもいいから休むと良い、魔法で常に清潔な状態にしてあるからどの部屋をも問題ないからの」

「分かった、お爺ちゃんは?」

「儂も疲れたから休むとするかのぅ、おやすみじゃ、リーシュよ」

「うん、おやすみなさい」


 そう言って爺ちゃんと別れ、私は適当に部屋を選び入る。


「うわ、やっぱり部屋の1個1個も大きいなぁ、前世の部屋の2倍はある」


 そう言いながら疲れていた私は天幕付きのデカイベットにダイブする。


「あぁ〜〜〜〜、柔らか」


 あぁ、ヤバイな……この柔らかさはヤバイ。

 疲れからか瞼が重いし……ね……む……。


 そしてリーシュは眠りについていく。



 何が何でも明日は魔導書を読んでやると決意しながら………。



 □ ■ □



 満月の夜だった。

 普段は静かな筈のある森には喧騒が響き渡っていた。


「魔法が使える者は遠距離から奴を狙い打てぇぇぇぇ!!!」

「クソッ!さっきっから斬りつけてんのに全然止まらねぇ!」


 騎士風の格好をした者が指示を出すと同時に詠唱を開始した魔法使い達は、詠唱が完了すると一斉に各々が得意とする魔法を放つ。


「「「"火球(ファイヤーボール)"!」」」

「「「"風刃(ウィンドカッター)"!」」」


 指示を出された魔法使い達が、それに向かって魔法による攻撃を仕掛ける。


 ゴゥッ!


 という音と共に放たれた魔法がそれに向かって行き着弾する。

 森の中だというのに遠慮も無しに放たれた火魔法は着弾と同時に近くの木へと燃え移る。

 人間なら近ずき難い程の熱に、その場にいた者達は勝利を確信する。


「全魔法命中!」

「や、やったか!?」


 そう安堵した次の瞬間、その者達の目が有り得ない、と見開かれる。


「嘘だろ……どうして倒れない!!」


 殺ったと確信した筈の標的が轟々と燃える炎からその姿を現す。


「くそっ!もう一度だ!第1班は右から2班は俺と──」


 その次の言葉は繋がれなかった。

 支持を出そうと横を向いた瞬間、"それ"は凄まじい速度でその人間に近ずき、熊をも凌ぐ剛腕で首を吹き飛ばした。

 そして首を飛ばされた身体はブシュ!という音と共に鳴り崩れ落ちる。


「ヒィ!?」

「ば、化け物ッ!」


 目の前で首を飛ばされた事からの動揺によって、その者達は後ずさる。

 そしてその一瞬のうちで後ずさった者から首を飛ばされていく。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「や、やだ!まだ死にたくない!」

「た、助けっ…」


 半ば狂乱状態に陥り、前線が瓦解する。

 恐怖によりそれぞれバラバラに逃げ出す騎士の様な鎧を着た者達。

 当然そんな者達を化け物と呼ばれた者は逃がすはずも無く、5分と掛からずその場にいた者達は全滅した。


「何処へ……」


 化け物と呼ばれた者は、怒りによって目を爛々と輝かせそう呟く。


「向こうか……」


 そう呟くとその場から跳躍し、馬よりも早い速度で駆け出す。

 それが去った森に残ったものは、人間の形を辛うじて残した肉塊と燃え盛る炎だけだった。



かなり短めになってしまいました……申し訳ありません。


服を乾かすのに1時間以上かかるとは………。

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