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第3話 空間魔法

短めです。


「えぇぇぇぇええええええ!?」


 私は驚きのあまり絶叫してしまった。


 てかこの爺さんが私を養子!?一体どうゆう事だってばよ?


「・・・のお、フリオール。お主この事を少しも話しておらんのか?」

「なにぶん言い出しにくく・・・」

「変わったのは外見だけでそういう所は少しも変わっておらんのぉ」

「すいません……」

「あの、お父様・・・これはどうゆう事なんでしょうか?」

「実はなリーシュ───」



 お父様から一通りの説明をして貰った。

 要約すると、どうやら両親は私を持て余していたらしい。

 と言うのも悪い意味ではなく、「魔法の才があるこの娘をこんな田舎に閉じ込めておくのは勿体ない!」との事だ。

 しかし、街に送り出そうと言っても私はまだ幼く、駆け落ちして来た為頼れる親類もいない。

 だがそこでお父様の祖父の代から交流があり、偉大な魔法使いでもあるこの爺さん・・・アーノルド・ノーデールの事を思い出し、1年ほど前にダメ元でお願いした結果、今に至る。


 とまぁ、そんな事らしい。

 てかお父様の祖父の代からって・・・一体何歳だよ!?

 気になる……いや、今はそれどころじゃないな。

 えー、これなんて答えたらいいんだろ。

 私としては渡りに船なわけだらか一向に構わないんだけど……あっさり「はい、行きます」ってのも気が引けるよなぁ。


 あーでもないこーでもないと私が悩んでいると


「リーシュよ、オヌシはどうしたいんじゃ?」

「え?」

「別に儂は無理に連れて行こうというわけではない、オヌシの両親も本人が嫌がるのに送り出そうとは思っておらんじゃろ。これはオヌシの人生を決めることじゃ、オヌシがどうしたいかで答えたら良い」


 私がどうしたいか、か……それならなら。


「お父様、お母様、今までお世話になりました、私フリオールさんのお世話になりたいと思います!」

「そうか、分かった。先生の元で頑張るんだぞ!」

「私達はいつもあなたの事を思っていますからね」



 次の日、私は6年間を過ごした我が家を……そしてこの世界で生まれ育ったこの地を後にした。

 両親は笑顔で送り出してくれた。

 だんだんと家が小さくなっていく。女神の娘だからなのか、強化されていた私の目にはまだ手を振ってくれている両親の顔が見えた。その時の両親の顔は………いや、言わぬが花だろう、無理してでも笑顔で送り出してくれたのだ、私も期待に答えねばなるまい。


 そんな決意と共に私を乗せた馬車は王都へと向かうのだった。




□ ■ □




「………ひ~まぁ~」


 気合を入れて出て来たはいいのだけれど……道中、私は暇すぎて死にそうだった。

 少しなりとも景色の変化があれば良かったのだが、いくら見ても周りは平原。何の変哲もない田舎道。

 この景色がまだ数日続くというのだ。馬車から降りるわけにもいかない為することが無かった。


「暇すぎる……これが後約4日………本当に死んでしまう」

「はぁ、少しはシャキッとせんか、景色を眺めているだけでも違うじゃろ」

「平原はもう飽きました……」

「先が思いやられるのぉ」


 そう言いながらノーデールさんは何枚かにまとめられた紙の束を読んでいた。


 あれ?さっきまであんな紙束持ってたっけ……。

 この爺さん荷物なんて殆ど持ってないし、どこからだしたんだ?


「あの、ノーデールさん」

「だからノーデールさんは止めよ、養子になるのだからよそよそしくなくて良い」

「はぁ、じゃあ……おじい、ちゃん?」

「まぁ、それで良いか」

「えっと、それでその紙束って何処から出したの?」

「これか?こらは空間魔法を使って別の空間に入れてある荷物の中から取り出したんじゃよ」

「空間魔法!?」


 なにそれすっごい覚えたい!浪漫浪漫!


「う、うむ。急にどうしたんじゃ」

「それってどうやって使うんですか?私でもできます?」

「少し落ち着かんか、確に覚えれば使えるかもしれんがほかの魔法とは難易度が違うぞ?この魔法を使えるのは儂と………王都にあと1人いるかどうかじゃ」

「それでもいいです。教えて下さい!」

「むぅ、仕方ないのう」


 そう言って何処からか1冊の本を取り出し、渡してくる。


「これは?」

「空間魔法について書いてある魔術書じゃ、さっきも言ったがほかの魔法とは難易度が………って聞いとらんのぅ」



 本を受け取った瞬間、私は話し掛けられても気づかない程集中して内容の理解を始めた。


 確かに難しいけど、他の魔法と全然違うってわけでもないような………。

 あ、爺ちゃんが使ってたのこれか。えーっとなになに、『空間魔法の基礎であり、入れられる荷物の容量や、空間の大きさは人によって違う』か。

 やり方はっと、これなら出来そうだな。


「これを、こう?」

「む?」


 術式を頭の中で組み上げ、魔術書に沿ってやってみる。

 するといきなり別の空間に手が入る。


「うわわっ!」


 すぐに手を引き抜く。

 なんか水の中に手を入れてるみたいだな。

 でも濡れてないし……変な感触。


 そんなふうに他のも試そうかとしていると、


「お、オヌシ!今、何を!?」

「何って…空間魔法ですけど」

「そんなのは分かっておる!何故こんな短時間で出来たのかということじゃ!まさか、もう内容を理解したのか?」

「えっと、はい。でもそんなに難しくありませんでしたよ?他の魔法ともあんまり変わりませんでしたし」

「な、なんと……!」


 なんでこんなに驚いてるんだ?

 爺ちゃんも使えるんだから別に変な事でもないだろうに…………。


 そうして、何やらブツブツと呟いている爺ちゃんを横目に見ながら本を読むのを再開する。



 結果から言うと、その本は1日で読み終わってしまった。

 それと書いてあった魔法は全部使えた。

 というのも、書いてあった魔法が下位魔法だけだったのだ。

 空間魔法の使い方も自分の魔力を使うという点はほかの魔法と変わらず、正直言って難易度が違うという程のものでもなかった。


 そして本を読み終わったので、爺ちゃんを見てみると、


「確かに魔力の量は段違いに多いのは分かる。しかし空間魔法を使う為には知識意外にも───」


 まだブツブツ言ってた。

 この調子だと止めるまでブツブツ言ってそうだな。


「あ、あの、お爺ちゃん?」

「む?あぁ、すまぬ。最近ボケがきたようでな、オヌシが空間魔法を使う幻覚が見えたのじゃ。いやはや歳はとりたく……」

「多分それ幻覚じゃないと思いますけど…」

「いやいや、空間魔法というのは魔力量だけでなく、魔力を運用する感覚を磨かなくては使えないものなんじゃ、60年以上その感覚を磨いても使えない者がおるのにオヌシのような幼子がそんな…」


 え・・・空間魔法(これ)ってそんなに難しいものだったの?

 別になんの引っかかりもなく使えてしまったんですけど……あ、でも『なお、この魔法を使用する際には自分の魔力と外界の魔素を……』とか書いてあったなぁ。


「この娘は100年、いや1000年に1度の天才かもしれぬ」

「……は?」

「もしや精霊魔法や古代魔法なども使えるやも……いや、流石に無理か」

「その魔法を使えるかは分かりませんけど…この本、なんで下位魔法しか書かれていないんですか?」

「それは下位魔法しか、通常使えないからじゃ」

「使えない?」

「この場合理解されていないと言った方が正しいじゃろう。難解過ぎて普通の人の処理能力では発動も難しいのじゃ」


 そう言って分厚い本をとりだす。


「この本には解読された分の中位から高位の空間魔法が記されているのじゃが、難解過ぎて諸人には理解できん」


 なるほど、それは面白そうだな。


 私は自然と口角が上がってしまうのが分かった。

 それも仕方ないだろう。この2年、私は魔法の知識に飢えていたのだ。

 こんなチャンス逃すものか。


「それ、見せて貰えますか?」

「まぁ、かまわぬが」


 よしよし、これで4日間は退屈しなくて済みそうだ。

 しかし、この本って多分希少本だよね……そんな本をポンと出せる爺ちゃんって一体何者?

 まぁ何でもいいか、それよりも本の内容は────。



 そうして本を読んでいたら、4日が過ぎた。

 衛星都市らしき街は遠目に見ただけでスルーした。

 お爺ちゃん曰く、『入ると疲れる』らしい。

 そして丁度、本の内容が全て理解できた辺りでレンガの壁が見えてくる。

 難解というのは本当で、内容の理解だけで3日を要した。

 しかしその事は全然苦ではなかった。むしろ高揚感を覚えた程だ。

 もっともっと色々な魔法が知りたい。

 そんな興奮と共に王都の門を潜るのだった。




一回は嫌われようとも『俺、やっちゃいました?』的なのをいれてみたかった。

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