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第2話 地上に転生

同じく書き溜めした物です。


 それから私の記憶が戻ったのが、地上に転生して4年程過ぎたある晴れた日だった。

 何の前触れも無かった。

 晴れていたのでのぼーっとのんきに日向ぼっこしていた所、急に記憶が戻ったのだ。

 あまりに急過ぎたので「ハッ!?わたしはしょーきにもどった!」などと口走ってしまい、近くにいた母親に心配された。


 状況を整理しよう。

 私は元の世界で死んだ、これは間違いない。

 その後何の経緯があってか女神(この世界で信仰されている女神でリリーンと言うらしい、多分)の娘に転生して、人類が滅亡するとかいう理由で更に地上に転生させられた………と。

 そしてこ今目の前にいる母と父の元に長女(上に兄が2人いる)として転生したらしい。

 加えて言うなら銀髪金眼で自分でいうのもなんだが相当可愛い、2次元から出てきたんですか?と言わんばかりの美少女だった。

 前世で見かけたら・・・もう少し成長していたら一目惚れしていた。

 変態紳士(ロリコン)じゃない、今は見られる側だ。


 記憶が戻ってから気づいたことがいくつかある。

 一つ目は、髪の色だ。

 記憶が正しければ私の髪の色はこの世界の母親譲りの金髪だったはずなのだが、記憶が戻った日に銀髪になっていることに気づいた。

 DNAがどうなっているかは知らないが、親と子供の髪の色が違う事があるにはある。

 しかし、急に髪の色が変化するとは聞いたことがない。

 知らないだけの可能性も大いにあるけど。

 反応を見る限り周りには現在でも金髪に見えているらしいので、記憶が戻った弾みで元々の色が見えるようになった可能性が高い。

 原因は不明。

 二つ目は、身体能力。

 記憶が戻る前も病気などにはかかったことのない内的に頑丈な身体だったが、戻った後は加えて頑丈な身体(物理)になり、身体能力も向上した。

 身体能力は現在も日を追うごとに少しずつ上昇している。

 


 そして記憶を取り戻したことで前世の世界との明確な違いに気づいた。

 驚く事に、この世界には魔法という物があるというのだ。

 とは言っても魔法を使うにも少なからず才能がいり、才能がない者は魔法を使ってもそこそこの威力にしかならないのだとか。

 魔力の量や種族がどうとか言っていた。

 しかし幸いにも私には魔法の才に恵まれていて、元貴族(どうやら父と駆け落ちしたらしい)の母親が魔法に関しての本を持っており、実際に使う事も出来るのだとか。

 つまりは、魔法を覚えることが出来るのだ!

 しかし今のままでは文字が読めない、どうやらこの世界の言語は日本語や英語などではなく独自の物らしい。

 となるとやはり方法は一つ。


「おかーさま、もじをおしえてくれませんか?」


 分からないなら覚える、これしかない。


「あらリーシュ、急にどうしたの?」

「じぶんでほんをよめるようになりたいのです」

「あらそうなの?でもまだリーシュには早いんじゃないかしら?」

「おねがいします。おかーさま」

「分かったわ、じゃあ明日からお勉強を開始しましょうか」

「はい!」


 そして私は次の日から文字の勉強を開始した。

 魔法を覚えたいという強い目標があった為か、それとも知識欲が強いことが幸いしたのか、基本共通文字を直ぐにマスターし、1ヵ月後には普通の本が読めるようになっていた。


「リーシュ、勉強するのはいいが食事の時くらい本を置きなさい」

「はい、ごめんなさいおとうさま」

「でもあなた、この子は本当に凄いわよ?文字を教え始めてから1ヵ月あまりで本を読めるようになってしまうんですもの」

「うむ、上の兄2人を簡単に追い抜いてしまうのだから驚きよな」

「そうよ、もしかしたらこの子大物になるかもしれないわよ?」

「ハハハ!確かにな!いや、親馬鹿が過ぎるか」

「お、親父!確に学問では敵わないけど剣の腕だったら負けないぜ?」

「おいおいファウスト、4歳のリーシュと競っても仕方ないだろ?」


 この私に対抗心を抱いているのが私の兄であり、この家の次男であるファウスト7歳、それを諌めているのが長男のノッシュ8歳だ。

 剣術か……確かに興味はあるけど高校の授業でやった剣道しか経験ないしなぁ。

 格闘技方面なら齧る程度は経験あるけどそれだけ。

 別にバトル漫画の主人公よろしく達人だとかそんな事はない。


「いいか、俺は冒険者になるんだ!だからもっともっと剣術を鍛えなきゃいけないんだ!」

「僕は父さんの後を継がなきゃいけないからそんな事考えもしなかったなぁ」

「ノッシュ、お前は別にこの家を継がなくてもいいんだぞ?」

「ううん、父さん。僕はこの家を継ぐよ」

「・・・そうか」


 うん……なんと麗しきか親子愛。

 心做しかお父様も嬉しそうだ。

 しかし、そうすると私はどうすれば良いのだろうか。

 魔法に関する本はお母様の部屋にあるのだが、恐らくあの量だと1年と経たず読み終わってしまうだろう。

 本を買うとしても大きな街に行かなければいけないし、魔法に関する本は高価だ。

 本当にどうしたものか。


 そんな事を考えながら本を読みふけり、2年の歳月が過ぎた。


 2年たった私はというと、母の持っている本の内容は全て暗記し、努力の成果で高位魔法と一部の中位魔法以外は自分でも使う事が出来るようになっていた。

 ちなみに高位や中位の一部が使えないのは単純な魔力不足。


「あなた、リーシュったら凄いのよ?私ですら理解できない高位魔術の術式や原理を全て覚えてしまったの」

「なんと!それは凄いな……本当にこんな所に留めておくには勿体無いな」

「親父!俺もこの前年上のやつら相手に剣で勝ったんだぜ?」

「リウストまた喧嘩したのか?」

「喧嘩じゃない!決闘だよ!」

「うむ、リーシュだけでなくお前達も当然自慢の我が子達だ!」


 まぁこんな会話が日常の風景となっていた。

 次の日、私は森で1人、魔法の特訓をしていた。

 基本の炎魔法であるファイャーボールから始まり、最終的に中位の風魔法で自分の身体を地面から1mほど浮かせる事に成功していた。

 とは言っても、こんな事位半年前から出来たのだが………。

 なぜ半年も同じことを繰り返しているかというと、それ以上の知識がないのだ。

 基本が大切、まぁそれもあるだろう。

 しかし母が持っていた本に載っていたのは"火系魔法"、"水系魔法"、"土系魔法"、"風系魔法"の4つであり、中位以上が載っていたのはその内"炎"と"風"だけだったのだ。

 さらに高位に関しては"風"だけという、なんとも知識不足に悩んでいたのだ。

 まあ、知っていても高位のものは使えないだろうが。


 そんな事を考えながら空中にどのくらい浮いていられるかと修行をしている時、ふと、後ろから話をかけられた。


「お主、フリオールという者の家を知らぬか?」


 振り向くと、そこには80代近い魔法使いといった感じの老人が立っていたのだ。


「えっと……貴方は」

「怪しまずとも良い、フリオールという男に呼ばれて王都からわざわざこんな辺境まで赴いた老いぼれじゃよ」


 その口調に若干の愚痴っぽさが混じっていたのは気のせいではないかもしれない。

 まぁ王都からこんな田舎まで呼び出されたんじゃ愚痴りたくもなるだろう。

 それで、例のフリオールって男なんだけど………それお父様じゃん。


「あ〜、えーっと」

「なんじゃ?はっきりとせい!」

「多分それ私のお父様です」

「何?……という事はお主がリーシュか」

「え?」

「何でもないわい、では案内を頼んだぞ」

「あ、はい」


 この爺さんなんで私の名前を?

 めっちゃ怪しい……。

 とは言えお父様のお客様らしいし、仕方ないか。


 そうして老人を家に案内する。

 そうして家に着くなり母が驚いた様に目を見開き


「ノッシュ!急いでお父さんを呼んできて!」

「え?あ、はい!」


 ノッシュをパシらせた。

 ・・・まさかこのお爺さん偉い人?


 数分後、農作業をしてたであろう父が息を切らせながら入って来る。


「お、お久しぶりですノーデール先生!」

「うむ、お主も息災だったかフリオールよ」

「はい!」


 むぅ、お父様がペコペコしてるな。

 これはやっぱり偉い人確定か?いやしかし、そんな人となんでお父様が知り合いなんだろうか、あ、でも確かお父様は昔商人だったとかなんとか………。


「いえ、本当にこんな所までお呼び立てしてしまい、なんとお詫びと御礼を申し上げたら良いか」

「お主の祖父にはよくお世話になったからのぉ、その借りをお主に返していると思えば良い」

「はい……」


 うん、話が見えてこないな。

 このお爺さんは一体なんで家に来たんだ?

 お父様が呼んだ的なことを言ってるけど。


「それで……どうでしょうか、私の娘は?」


 え、私?


「ふむ、そうじゃのう」


 え、そんなにジロジロ見られると……普通に気持ち悪いといいますか。


「魔法の才も有る。森での魔法を見る限り知識も歳不相応なほど蓄えている。文句のつけ所がないわい」

「では!」

「まぁ、待てい。儂やオヌシが良くてもこの子がどうかはわからんじゃろ?」

「そう…ですね」


 だから何の話をしているんだと………私が関係あることはわかったけれど内容が読めてこない。


「お主、リーシュと言ったな」

「はい」

「単刀直入に言うとじゃな、お主儂の養子にこんか?」


 ・・・はぇ?養子?

 養子ってあの養子だよな?俺の子供になれ的なあれ…………って


「ええぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」



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