Page02 † 黒
テントの隣ではコンロの用意がもうできていて、ウインナーを焼いているところだった。
学は火加減を見ながらウインナーを鉄板の上で転がしている。
学「お!!綾がきた!!そのダンボールに入ってる肉と野菜出せよ。
早く焼いて食べるぞ!!」
そう言いながら私の運んできた大きいダンボールを指さす。
私が食材をすべて出すころにはウインナーはいい感じに焼けていた。
綾「1個食〜べよっと!」
そう言って私がウインナーに手を伸ばしたその時…周りが騒がしいことに気づいた。
キャンプ場にいる人のほとんどが同じ方向を指さして何かしゃべっている。
指さしてる方向は、たぶん駐車場の方だろう。
私もみんなにつられてその方向を見る―――…。
私の体に悪寒が走った。
みんなが指をさしている方の空に何やら黒い物体が見える。
そしてソレはどんどんキャンプ場の方に近づいて来ている。
よく見ると黒い大きな1つの物体というよりも、小さいものがたくさん集まって
いるようだ。
周りでは桃や学、お母さんまで口を開けてそれを見ていた。
綾「なんなの…アレ…」
学「まぢかよ…あの数…」
桃「やっぱり…こっちに向かって来てるよね―――…?」
桃の言葉で全員が固まった。
そして自分たちの置かれている状況を再確認する…。
私はそこでふとあることに気がついた。
綾「そういえば…沢木さんは?」
桃「ママはトイレ行くって…。パパは車に煙草取りに行くって…。」
学「車…煙草…」
学の言葉で私はその場に凍りつく…。
綾「アレ…車って…駐車場…」
桃「駐車場…まさか…パパが…」
綾「どうしよう…あの黒い物体は尋常じゃものじゃないよ!!駐車場に近づいてるし…」
私がそう言った瞬間、桃は走り始めた。駐車場に向かって…