~ 日の出町 裏野ハイツ ~
大学病院を辞めた こずえ は …
引っ越し先を探した …
事件後 入院生活の後も
着替えを取りに行く程度で
マンションで 過ごす気にはなれず …
大学病院に泊まり込んでいた …
引っ越し先は …
そうだ …
あの町 雰囲気良かったな …
あの町なら ゆっくり過ごせそう …
今の私には …
あの町しか 思い浮かばないわ …
そう 決めると
スマホを取り出し 検索を始めた …
防犯設備の整った マンション等も
有るにも関わらず …
何故か 其所だけが
気になって仕方が無い …
こずえ は 早速 その賃貸住宅を載せている 不動産会社に 電話を掛けた …
「あの もしもし … ネットで調べまして 電話を掛けたのですが そちらで 扱っておられます 日の出町 の 裏野ハイツ に 入居したいのですが まだ 空きは有りますでしょうか?」
電話に出た 不動産会社の 社員は
「はい ! 203号室でしたら 空いております 直ぐに ご入居可能で御座いますよ!」
と 爽やかに応えてくれた …
こずえ は 早速 裏野ハイツ の 契約の為
日の出町へと 向かった …
日の出町に着くと
駅前にある アプリコット ハウス と言う不動産屋を探した …
以前 泊まった ビジネス ホテル planet の道路向かいに
アプリコット ハウス と言う看板が
デカデカと掲げられていた
こずえ は 看板を目印に 向かった …
自動ドアが 開くと
「いらっしゃいませ!」
居酒屋かと 思う程に 活気溢れる 声が響いた …
「あの… 先程 裏野ハイツ の 件で 電話致しました 瀬川です … 」
こずえ が 告げると
左胸に 細川 と言うネームを付けた男性が
「では 早速 裏野ハイツ を見て頂きたいので … 少々 お待ち下さい 車回して来ますので … 」
ニッコリ 微笑み そう言った …
其から 直ぐに車が 入り口前に止まり
こずえ は 細川 の 運転する車で 裏野ハイツへと向かった …
車中で 細川 は こずえ に こう聞いた …
「お客様 突かぬ事を お尋ね致しますが … 以前 此の町に 訪れた事は 御座いましたか?」
こずえ は 少し驚いたが …
「えぇ … 10ヶ月程前に … 」
と 応えた
「やはり そうでしたか ~ ! 裏野ハイツに ご入居される方は 皆さん そうなんですよ ~ 一度 此の町に 訪れていましてね… 町が気に入って 他の物件があるにも関わらず 裏野ハイツしか目に入らないと 皆さん そう話されるものですから ~ 」
細川 は 何だか楽しそうに そう話した
こずえ は 何とも応えられず 黙っていた …
車は あっと言う間に 裏野ハイツ に 到着した …
「えっ ?」
裏野ハイツ の 建物の横には
大きな 卵形の石が 横たわっていた …
其の 卵形の 石の前で
3才くらいの 男の子が
地面に何か描いているのか …
一人 遊びをしていた
車を 降りて直ぐに
こずえ は 男の子に 声を掛けた …
「こんにちは !」
男の子は じぃ~っと
こずえ の 額を 見つめたまま …
「こんにちは … 」
と 小さな声で 応えた …
こずえ は 微笑み
細川 の 後ろについて
203号室へと向かった …
男の子は
階段を上がり 203号室に入る迄
じぃ~っと こずえ を 目で追っていた …
こずえ の姿が見えなくなると
男の子は 卵形の石をチラッと見て …
「 僕はいいと思う … 」
ポツリと 呟き
再び 地面に何かを 描き始めた …
細川 が 案内した 203号室 は
リビング9畳 ・洋室6畳 と
バルコニーもついており
1人暮らしには 調度良い広さだった …
太陽の光も 良く届き 明るい部屋だった …
すっかり 気に入った こずえ は
契約をしたいと 細川に話した …
アプリコット ハウスに戻り
契約書を交わす為
車に戻ると …
男の子 は
家の中にでも 戻ってしまったのか
姿が 見えなかった …
アプリコット ハウス に戻り
早速 契約書を交わすが
問題 が 一つ …
現在 こずえ は 無職である …
細川 は 困った顔をして
「少々 お待ち下さい … 」
店の 奥へと 向かい
何やら 40代くらいの 男性と
話しをしていた …
細川 は ニコニコと微笑み 席に戻ると
「上司と話しまして 許可頂きましたので契約の方は 此で 大丈夫ですので … 何時から入居されますか?」
こずえ は
「早い方が良いんです 例えば 明日や明後日でも! 無理ですよね … 」
と そう話し俯いた …
再び 細川は 上司の元へ行き
「では 鍵をお渡し致しますので ご入居は明日からで お願い致します 」
そう言うと ニッコリ微笑んだ …
早くても 1週間はかかるだろうと 思っていたが
話しが 全て 上手く運び
こずえ は 嬉しそうに微笑むと
「有り難う御座います!」
そう言って 頭を下げた …
敷金は 無く 1ヶ月分の前家賃と 礼金を払うと
こずえ は アプリコット ハウス を後にした …
こずえ が 帰った後 …
アプリコット ハウス では …
細川 の 上司にあたる
40代くらいの 男性 内野 が
「 細川 … 裏野ハイツ はな 特別な物件だ… 入居したいと お客が 言って 部屋空きがあるなら その お客は 必ず 入居者になる … 例え 無職であろう と 金がなかろうとな … こっちが駄目だと言ったって 入居日や その他 諸々 お客の 言う通りになっちまうんだ … まぁ … そう言う訳だから … 覚えておけよ … 」
内野 は 細川 の 肩を ポンポン と 二回叩いた …




