ぱたぱたぱた
雨の中、駅まで散歩。
雨の中、一人で散歩。
熱い雨。
厚い雲。
通り抜ける、ウインドショッピング。
バス停に集まる人、人、人。
何かにおびえるように。
肩を寄せ合う様に。
ただ、一つの目的のため。
知らない人が、隣り合う。
信号待ち。
開く傘。
均等に、人が並ぶ。
きっと、あの傘の下は、自分だけの世界。
隣の人と、一メートル。
自分を保つ、一メートル。
ぱたぱたぱた。
強い雨。
ぱたぱたぱた。
叩く雨音。
ふとぼやけた空を見上げると。
僕の傘に、穴が開いた。
帰り道。
雨に打たれる人。
どうぞ、僕の家はすぐそこだから。
そう言って、傘を差しだす。
穴の開いた傘。
開いた穴の、ただの気まぐれ。
そんな事ない。
家に帰って傘を畳む。
穴が開いても、僕の距離は変わらなかったよ。
きっと、あの子は、駅までずぶ濡れ。
無事に、家に、帰れたかな。