生きろ鈍ら! 百均ナイフさん!
というわけで、エクスカリバーさんの二次創作です。作者様より許可を頂き、喫茶店で笑いながら書きました。引かれました。
でももうこれこのまま連載行けるんじゃね? くらいのノリと勢いで楽しく書けました。ワタさん、ありがとうございます。
「わたしは百円均一で売られていたただのナイフです! あなたはわたしのマスターですか!?」
「え、誰?」
「ではマスター! わたしと契約を!」
「だから誰?」
百瀬一郎は、至極真っ当な答えを返した。
いきなり、なんの前触れもなく現れた黒髪の女性に対し、むしろ優しい反応だっただろう。
可愛らしい女の子だった。年の頃は十代中盤ほど、艶やかな黒髪が美しい美少女だ。胸のサイズは残念だが、そんなところも貞淑さを感じさせると考えればプラスだろう。
まあ、人間サイズならば、の話だが。
彼女は人間かどうか怪しかった。なぜなら彼女の体長は、せいぜいが二十センチほど。その時点で、もう尋常の存在でないことは疑いようがない。
何より浮いている。比喩的な意味ではなく、物理的な意味で少女は宙に浮いていたのだ。
たとえるなら、お伽話にでてくる妖精のような感じか。
「……まあ浮き話(?)もなんですし、お茶でもどうぞ」
一郎は言った。ぶっちゃけ意味はわからないが、可愛らしい女の子だし、害はなかろうと。
「あ。なんかすみません、マスター。頂きます」
「粗茶ですが」
「いえいえ……あら結構なお手前」
ずずっ、と湯呑みを呷る少女。見た目によらず豪快だ。
一郎は続けて、
「あ、夕食はもう食べましたか?」
「えっ、えっと……まだです、けど……?」
「残り物でよければ食べます? これでも料理には自信があって」
「そうなんですか。さすがマスター。頂きますねっ!」
一郎は台所に立ち、煮物の残りやご飯、味噌汁などを少女に提供した。
料理には一家言持つ一郎だが、まだまだ年齢は高校生。一人暮らしということもあり、誰かに料理を振舞う機会にはなかなか恵まれなかったのだ。
だからこそ、よくわからない来客にせよ、せっかくのチャンスを逃すわけにはいかなかった。
「……え、何これ美味しっ。マスター料理めっちゃ上手っ。わ、すごい……沁みる……お母さんの味がする……マスター女子力しゅごい……」
幸い好評のようである。一郎は簡単に気をよくした。
「おかわりいる? もう少しご飯の残りあるけど」
「頂きます! マスター、も、すっごい美味しいですよこれ! やばい。マスター料理スキル半端ない……!」
「いや、照れるなあ……そうだ、食後にリンゴでも剥こうか」
「至れり尽くせりだあ……お嫁さんに欲しい……」
少女はこうして、一瞬のうちに懐柔された。
食後、一郎はリンゴを皮を剥くためにナイフを探した。
だがなぜか見つからない。一郎は首を傾げる。ナイフはついさっき買ってきたばかりなのだ。
家に帰ってきた瞬間、この少女を見つけてしまったため、どこに置いたのか忘れている。
「あれ……? っかしーな……?」
「どうかしたんですか、マスター?」
「いや、さっき買ったはずのナイフが見当たらなくて」
「ぎくっ」
少女は口で『ぎくっ』と言った。
思わず一郎は振り向く。
「どうかした?」
「えっ!? あ、いえ別になんもしてないですけど別にっ!?」
「そう? ならいいけど。それにしても、どこに行ったかなあ……」
「えー……あー……」
「まあいいか……所詮ただの百均ナイフだし。なくなったらまた買えば――」
「そんな酷いこと言わなくてもいいじゃないですかっ!」
怒られた。
「なぜ急に怒鳴る」
「マスターがヒドいコト言うからです!」
「なんか気に障るようなこと言った?」
「所詮っ、ただのっ、百均ナイフ!? そんな暴言生まれて初めてです!」
「ええ……?」
「百均ナイフには百均ナイフのいいところがあるんですよ! リンゴを切るにもよし! お料理に使うもよし! いわば台所の天使なんですからねっ!!」
「そこ? 怒るところそこ?」
「当たり前じゃないですか! 差別しないでください! 百均ナイフだって生きてるんですからねっ!」
「生きてないと思うけど」
「マスターはわたしが死体だって言うんですか!?」
「言ってないと思うけど」
「じゃあ謝って! 全国の百均ナイフに謝ってくださいよぅ!」
「ごめんなさい……」
なぜか謝る羽目になる一郎だった。正直、意味がわからない。
だが少女があまりにも真剣だったため、勢いに押されてしまった。
「よろしい。マスターの謝罪に免じて、百均ナイフへの無礼は許してあげます。感謝してくださいね?」
少女はない胸を張って言った。やはり謎だ。
「なんで百均ナイフの視点に立ってるの……?」
「それは――」
少女は一瞬、言い淀む。けれど意を決したのか、一郎に向き直ってこう言った。
「わたしが、その百均ナイフだからです!」
そういえばさっき言ってたね、と一郎は思った。
※
それから少女は《スーパー聖剣&魔剣大戦》について語り始めた。
大半は意味不明だったが、要は名だたる聖剣や魔剣たちが主人となる人間とともに戦うとか、まあそんな感じらしい。
そして一郎は、目の前の少女のマスターに選ばれたのだという。
普通に聞けば「何を言っているんだ、こいつは」という妄言でしかないが、目の前の存在が普通に常識外れだったため、一郎は普通に信じることにした。
何ひとつ普通じゃない。
「でも、ということは君も何かの聖剣なり魔剣なりってことじゃないの?」
そして訊ねる。まあ当然の質問ではあった。
少女――百均ナイフさんは、僅かに視線を逸らして答える。
「……いえ。百円均一で売ってたナイフです……」
「百均ナイフって聖剣だっけ?」
「違います……」
「じゃあ魔剣なの?」
「違います……」
「というかそもそも剣なの?」
「ナイフです……」
一郎は言った。
「じゃあなんで出てんだよ」
「仕方ないじゃないですか流れでそうなっちゃったんですから!」
逆ギレだった。百均ナイフさんは、その端正な表情を涙で濡らして言い募る。
「わたしだってびっくりですよ! でも仕方ないじゃないですか、『ごめん間違っちゃった』とか言われたら、わたしもうその時点でどうしようもないじゃないですかっ!!」
「間違いだったんだ……」
「元はといえばマスターが悪いんですからね!」
「なぜ……」
「スーパーの二階でナイフを買うからです!」
「なんで怒られんの、それ?」
「スーパー聖剣&魔剣大戦が始まったその瞬間にスーパーの二階で百均ナイフ買うから、手違いでそのままエントリーされちゃったんですよ!」
「理不尽すぎる」
「本当ですよ!」
「なんかないの……こう、聖剣や魔剣に対抗できるような、隠された力的なモノは?」
「そんなもん百均ナイフ如きにあるわけないじゃないですか馬鹿ですか!」
「馬鹿って。ていうか如きって」
「だいたいほかの剣は軒並みオリハルコン製だのヒヒイロカネ製だのですよ! わたしが何でできてると思ってるんですか!?」
「ステンレス」
「ハイ大正解でーす。勝てるかあっ!!」
百均ナイフさんがぺちりと卓袱台を叩く。
手が痛そうだった。
「ていうか、僕に言われても……」
「じゃあ第二もーん! ほかの剣たちは伝説だけあって、なんか凄い効果とかいろいろ持ってるんですよ! 山ひとつ断ち切ったりとか、放てば必ず相手を殺すだとか、なんか剣の先からビーム出てくるだとか!」
「最後のもうそれ剣である意味なくない?」
「その点、わたしにある効果とはなんでしょうかー? ハイ、マスター、お答えどうぞ!」
「……錆びにくい」
「またまた正解! ――聖剣魔剣は普通錆びないっつーの!」
百均ナイフちゃんが、卓袱台に全身を突っ伏した。
「あー、もうやだー! ばーか! みんなばーか! わーん!」
「ガチ泣きするなよ……」
「責任取ってくださいよマスター!」
「責任って」
「わたしだって百均ナイフですよ!? エクスカリバーとかレーヴァテインとかアロンダイトとかそういう名だたる聖剣魔剣とは格が違うんですからね低い意味で! 打ち合ったらそれこそ紙より容易く両断されちゃいますよ! いいんですか!? 両断ですよ首ちょんぱですよ化けて出ますからねーっ!!」
「斬新な脅しだね。ナイフだけに」
「面白いこと言ってる場合じゃないんですけどっ!?」
きーっ! と悲鳴を上げる百均ナイフさん。
正直知ったことではないのだが、とはいえこのまま百均ナイフさんが聖剣魔剣にボロ負けするのも寝覚めが悪い。
「……わかったよ。僕でよければ力になる」
「きゃーっ! マスターかっこいー!」
「それで、具体的にはどうすればいいの? 契約って言ったって、僕そんな戦いとかできないんだけど」
「そこは大丈夫です」
百均ナイフさんは胸を張る。
ないが張る。
「聖剣魔剣と契約したマスターは、その恩恵として身体能力などが凄くアップするんです!」
「……聖剣でも魔剣でもない百均ナイフさんと契約した場合は?」
「ちっ、気づきやがった」
百均ナイフさんは目を逸らした。
「おい」
「……いや、もちろん上がるものは上がりますよ? もちろん。これでもわたし、百均ナイフの精ですから」
「で、何が上がるの?」
「……生活力が」
「生存力は上がらないのかよ」
駄目だった。
――『生きろ鈍ら! 百均ナイフさん!』――
「――とりあえず、買い物に行って来ようと思うんだけど」
話し合いもひと段落し、落ち着いたところで一郎は言う。
叫び疲れて半分寝ていた百均ナイフさんは、瞳を擦りながら問い返した。
「買い物……ですかあ? またどうして」
「いや、食材は君がほとんど食べちゃったし」
「だって美味しいから……」
「いいんだけどさ。あとほら、ナイフなくなっちゃったっていうか、君がナイフだし。だから、新しいのをもう一本買ってこようと思って」
「な――!?」
愕然と目を見開く百均ナイフさん。眠気も一瞬で吹き飛んだようだった。
「し、信じられませんマスター! わたしというナイフがありながら、ほかのナイフに手を出そうって言うんですかっ!?」
「人聞きが悪すぎる表現しないでくれない?」
一郎は壁際を気にした。この安アパート、隣室との敷居は当然薄い。
隣の住人(大学生男。彼女募集中)にまで聞こえては、一郎の社会生活が危うくなる。
「お願いします……見捨てないで……。マスターに捨てられたら、わたし……わたし……」
「いや、だってリンゴ剥けないじゃん……」
「わたしがやりますから! 皮なんてわたしがいくらでも剥きます! マスターの皮は全部わたしが剥くんですからっ! ほかのナイフになんてやらせないっ!!」
「表現」
「お願いしますぅ……捨てないでぇ……っ! なんでもしますからあ……っ!! 酷いですよぅ……わたしはマスターに買われてきたっていうのにぃ……百円で買われてきたのにぃ……」
「だから表現」
「マスターの皮はわたしの手で剥きます。マスターのリンゴもバナナもお肉もぜんぶぜんぶわたしが剥き剥きしますからだから――」
「わかったからやめて! なんか隠語みたいだから!」
頭を抱える一郎。隣の部屋から、思いっきり壁ドンの音が聞こえてきた。
――もうここ住めない。越してきたばっかりなのになあ……また引っ越しかなあ……。
一郎は、絶望的な気持ちになった。
※
結局、ほかのナイフは買わないという約束で、ふたりは買い物に出かけた。
ついでに不動産屋にも行きたいなあ、と思う一郎だが、さすがに空いている時間じゃない。今は夜の九時近くなのだから。
二十四時間営業のスーパーで食材を買い込み、売られている包丁やナイフを一郎が見るたびに嫉妬する百均ナイフさんをなんとか宥めながらの作業だった。ぶっちゃけ疲れた。
「なんで食材を買い込むだけでこんな時間食うんだよ……」
「マ、マスターが悪いんですよ! ほかの食器に色目を使うから!」
「聞いたことねえよ、そんな言い回し」
「マスターはわたしだけ見てればいいんですぅー! あ、あとついでにほかの参加剣たちも倒してくれれば言うことないですね」
「百均ナイフでどうしろって言うんだよ」
「そこはほら、マスターの生活力と女子力を駆使して?」
「もう匙を投げたい……」
「あ、それ食器ジョークですか? スプーンとナイフのコラボレーションですか?」
「フォーク刺すぞ」
「家庭内バイオレンスっ!」
下らないことを言い合うふたりだった。緊張感も何もない。
だが、そんなときだ。
それまで適当なことばかり言っていた百均ナイフさんが、ふと表情を張り詰めさせる。
「これは……妖気っ!」
「どうした突然」
「気をつけてくださいマスター! 近くに魔剣の担い手が――」
刹那。一郎の持っていたスーパーのビニール袋が、ばっさりと切断されてしまう。
がしゃりと音を立て、舗装された床に落ちる食材たち。安売りの卵が、見るも無残にその中身を撒き散らしていた。
「…………」
黙り込む一郎。百均ナイフさんも、さすがにシリアスな面持ちだ。
そう、これはスーパー聖剣&魔剣大戦。れっきとした戦いの最中なのだ。
いつどこで敵に襲われてもおかしくないような。そんな惨劇の渦中にふたりはいる。
やがて、目の前に小さな人影が現れた。
小柄な少女だ。おそらく中学生か、あるいは小学校の高学年くらいかもしれない。黒いドレスで身を包み、片目には厳つい眼帯をかけている。
だが何より異様なのは、その両手で重たそうに、引きずるように運んでいる大きな剣だ。重量に任せ、叩き斬る両刃の禍々しさは、見る者に生理的な恐怖を無条件で与えるだろう。
「ほう? 躱したか……」
少女が言った。どこか無理に作ったような声音だ。
その手許からも声が聞こえる。
『……いや。今マスター明らかに普通に外したと思うけど』
「ちょっと! 黙ってて! 今、かっこ、つけてるの!」
『それ言った時点でもうなんか……ああいや、なんでもないさ』
少女がぺちりと剣をはたく。
剣は黙り、少女は気を取り直すように咳払いをひとつ。それから言った。
「その澄んだ剣気……さぞや名のある剣の担い手とお見受けする」
――あ、この子たぶん馬鹿だ。
百均ナイフさんは思ったが、口にはしない。馬鹿だろうとなんだろうと、打ち合った瞬間に折れるからだ。
だから黙って、少女の口上を聞くことにする。
ただ気になることといえば、先ほどから一郎が一切口を開かないことだった。
「だが相手が悪かったな。このわたしと、そして我が魂の愛剣が――」
「――オイ」
「えっ」
一瞬、どこから声が聞こえたのかと少女が首を傾げる。
そして――それが目の前に立つ一郎の声と気づき、少し驚いたようだった。
「え? あ、あの……」
狼狽える少女。先ほどまでと完全に喋り方が違う。
あ、やっぱキャラ作ってたんだ、と百均ナイフさんは思ったが黙る。
一郎は、重ねて少女に声をかけた。
「オイ」
「あ、は、はいっ!」
「このビニール斬ったの、お前か……?」
俯いていた一郎が、ゆらぁり揺れるように顔を上げる。
がたり、と不気味極まりない動きで、少女の顔を見据える一郎。
目が完全にイッていた。
「ひっ……!?」『むぅ……!?』
慌てる少女と魔剣。それくらい、今の一郎の威圧感は尋常じゃない。
というか、百均ナイフさんも普通に引いた。
「えっ、ちょっ、マスター? なんかマスターまでキャラ変わってません……?」
「……百均ナイフさん」
「え。あ、はい」
「ごめん――少しの間、黙ってて」
「…………はい」
――マスター、こっわあぁ……っ!?
慄然とする百均ナイフさん。なんかもう目が完璧に据わっている。
一方の一郎は、それだけ言い放つと視線を再び少女に戻し、
「オイ、テメエ……?」
「ひっ……ふえぇ……っ!?」
「……なんてこと、してくれ、やがったんだ……ああ?」
「すすすすすすすみませんんんんんんぅ……!」
『マスター。キャラ。キャラ』
がたがたと震える少女に魔剣から突っ込みが入る。
が、もはや少女に当初の余裕はない。
「だだだだだって、あのヒトなんかめっちゃ怒ってるよう……!」
『調子に乗るからだ……確かに凄まじい威圧感だが。ただものでないことは間違いないな』
「なんでそんな冷静なのぉ……? ああ、もうわたし死ぬよぉ……もうこれ殺されたよぅ……」
『ビビリすぎだろう』
「オイ何勝手に喋ってんだテメエコラ」
「ひいっ!?」
すでに一郎は完全にチンピラと化していた。
年下の少女を、一方的に脅している図にしか見えない。少女が帯剣していなければ、だが。
そして一郎は告げる。
そう。この少女は、触れてはならぬ一郎の逆鱗に触れてしまったのだ。
すなわち――、
「――食べ物を粗末にするんじゃねえっ! 卵が割れちゃったじゃねえかコルァ!」
そこかよ。一郎以外の三人(というかひとりと二本)が同時に思った。
だが一郎はまったく気づかない。
「いったい親御さんにどういう教育受けてやがる! ああ!? 食べ物は大事にしろって習ってこなかったのか? あん!?」
「だ、だって……先に脅しつけたほうがこう、なんかいいかな的な……舐められないように的な感じあるし……」
「はあ? 何? その程度の理由で食べ物を地面に落としたわけ? そうかよくわかった」
「え、でも……これ戦いだし」
「腹が減ったら戦はできねえんだよ!」
「えー……」
この場はもはや一郎のペースだった。
彼は無造作に少女に近づく。先ほどはアレだけ強気だった少女は、もはや剣を振るうことさえできずされるがままだった。
「――来い。お前はウチまで連行する」
「な、何をする気……っ!?」
「決まってるだろ」
一郎は笑った。
「――食育だ」
マスター、それダッセエ……と百均ナイフさんは思ったが、やはり口には出さなかった。
だって、これは使える。いろいろと予想外ではあったが、マスターの料理で参加者全てを懐柔していけば、篭絡していけば、むしろ洗脳していけば、生き残ることも不可能ではない!
生き残れる――生き残れるのだ! このスーパー(略)大戦を、百均ナイフの自分が!
「さすがです、マスター……!」
呟いた百均ナイフさんに、一郎が首を傾げて問う。
「うん? え、何が?」
「なんでもありません! それより、今日のお夜食はなんですか、マスター!」
「まだ食べるの……?」
「もちろん! マスターのお料理はとっても美味しいですし――」
それに。
食材を切り刻んでこそ、ナイフの本懐だと思うのだ。
※
――のちにスーパー聖剣&魔剣大戦の歴史に名を残す食育王イチロウの、それが伝説の始まりであった。
だが彼がいったい、どんな名のある聖剣、あるいは魔剣を所持していたのかは杳として知れない。彼は決して、それを公に明かすことがなかったからだ。
けれど彼を知る者は皆、口を揃えてこう言うのだ。
――リンゴの皮を剥かせれば、奴の右に出るものはいない――!
と。またその傍らには、常に錆びにくいステンレス製の百均ナイフがあったという。
いい話であった。
あと今日でセブンスターズ連載開始から半周年です。
ありがとうございました。
これ、半周年記念作品ってことにしようかな。駄目ですか。すみません。