友達ができました!
先生はとことん児童をいじめたいようだ。
PTAに訴えるぞ!(冗談)
先ほど書いた相手に、作品をプレゼントしましょう。
なんて、鬼の所業だ。
こんなの渡せる訳ない。
ロッカーに隠して、乗り切った。
私と同じような性格の彼女は何も言ってはこなかった。
そうして、彼女との縁は切れたはずだった。
でもそれは甘い考えだったようだ。
一週間ほど経っただろうか。
そんなある日。
また忘れ物をして、学校へ戻った時。
彼女が、私のロッカーの前で何かをしていた。
声を掛けるのは憚られた。
けれど、ロッカーに入っているはずのリコーダーを取りに来たのだ。
だから、本当に、仕方なく声を掛けた。
「あ、の」
「!!」
とても驚かせてしまったようだ。
振り返った彼女の顔は蒼白していた。
リコーダーを弄られているわけではなく、奥深くに隠したあれが。
彼女に手には、あの絵が握られていた。
「・・・・・・・・・・・・・あ」
そう、隠した後すっかり存在を忘れていた。
家に持ち帰るなり、捨てるなりしていればよかった。
今となっては言っても仕方ないけれど。
「その、絵が、気になって。どこだろうって、おもって」
話し方がまさに私。
泣きそうな顔も、震える手も。
どこも私に似ていて、どこか違う。
なにが、なんて思いつつも、彼女に向き合う。
「ご、ごめんなさい。へ、下手で。みせたく、なくて」
そう言うと彼女は首を横に振った。
加えて笑った。
「ううん。すごく上手。私じゃないみたい」
そのほほえみはまさに私が描いた顔と似ていた。
向日葵を抱いて笑う、あの女の子に。
「・・・それは、ちがうよ」
「え?」
「それは、向日葵ちゃんだよ。だって、いま同じ顔してるもん」
まるでお日様に向かっていく向日葵のような。
力強さを感じる笑み。
きっと多くの人を引き付けてやまないだろう。
今の様にふさぎ込むことをしなければ。
「・・・うそ」
「うそじゃない」
「向日葵ちゃんは、笑顔がよく似合う。でもいつもは笑ってない。
だから少し違うように思うの」
あの顔はきっと私にはできない。
彼女の生まれ持った、何かがあの笑顔なのだろう。
私には到底得ることはできない。
こんなにも臆病な私に神様は授けてくれないだろう。
いや、誰にもできないのだろう。
これは、彼女しかできない顔だ。
だからこそこんなにも大切なものだと思えるのだ。
キラキラした宝石なんかよりも、ずっとずっと大切なもの。
それを彼女はしっかりと持って生まれてきたのだ。
「もっと笑うといいよ。だってその笑顔、とても素敵」
まるで陽だまりのような笑顔。
包んでもらうことができたのならば、誰もが気を許してしまうだろう。
彼女はそんな人だった。
「・・・・・・・」
ぽかん、とした顔で私を見返す向日葵ちゃん。
口がぽっかり開いてしまっているので、間抜けに見える。
「・・・・・・・・・・・・・ど、どどしたの?」
「え、あ」
何も言わずに見つめてくるのでいつもの様に心配になった。
(次何を言われるのだろうか、悪口だろうか、非難だろうか。
ああ、何も言わずに立ち去ればよかった)
なんてたっぷり5秒ほど自己嫌悪に浸っていたら、
「ううん、何でもない」
そう言って笑う向日葵ちゃんがいた。
先ほどの満面の笑みが蘇っていた。
何だ、よかった、何でもなかったのか。
安心で胸をなでおろした、その瞬間!
「よかったら、友達になってくれないかな?」
核爆弾が投下された。
そして今まで爆発しなかった足元の地雷が破裂した。
うわああああああ、嬉しい、嬉しい、なにこれ幸せ!
今まで友達なんて、居なかったから、わからなかった。
心がぽかぽかするような、心地がした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・私で、よかったら」
そうして私たちは友達となった。
”小さい頃の関係は何時までも続かない”
そう考えていた自分は爆撃で飛んで行ったのでしたまる。