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やめて下さい、死んでしまいます!  作者: 雲雀 蓮
幼少期(幼児~中学生)
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えっと、昔のこと、ですか?




一番幼いころの記憶にあるのは、人の波。


教育熱心な両親の長女として生まれた私、相原天音。

よくあまねちゃんと呼ばれることがあったけれど、そらねと読む。


どちらにせよ、人の上に線を引いた字である天を冠した名前。

こんな私には不釣合いだと思う。



幼いころから音楽会やら、博物館といった小難しい施設を連れ回されてきた。

もちろん理解は及ばないし、その時から軽度の人見知りであった。

普通に苦痛だった。


両親の仕事が軌道に乗り、もうあまり構えなくなった五歳の時。

最後にみんなで音楽祭に行ったときに、彼に会った。



鎌田瑠佳かまた るかという男の子。


両親同士で話がかみ合った結果、私たちも同様に話す機会を与えられた。

勿論私は何も言えなかった。

「あ、う」と繰り返し、意味のない言葉を連ねただけだった。

きっと彼もいやに思っただろうと、顔を見たら彼は笑っていた。



「そんなに、俺イケメン?」



今思うと彼なりの思いやりだったのだろう。

しかし、それを咀嚼することができずその場は別れた。



その後、思いのほか両親たちは仲良くなっていって。

彼と私は同じ小学校に通うことになった。

そうでなくとも、なぜか彼に「遊ぼう」と誘われ続けた。


返事ができないままでいたら、彼が私の家に来たのでお茶を一緒に飲んだりしていた。



「あの、あの・・」

「あ、これおいしいね」

「う、あの・・・・・えっと」



「帰れ」ともいえず、その時間を甘受し続けた。

そして、小学校の入学前日。



「俺、天音のこと好きだよ」

「・・・・・へ?」

「だから、これからはずっと一緒だ」



いつもの様にアワアワしている私の手を取り、

強制的に指切りをさせられた。


どんな顔をしていればいいのか、どんな返事をすればいいのか。

わからないまま、私と彼は婚約した(ことになった)。



あれは告白だったのだ、と気づいたのはもっと後。

だからこの時の思いを今言いなおすことができるのならば。



「無理です、無理です!緊張で心臓が爆発して四散しそうです!

やめて下さい、死んでしまいます!」



と言った所だろう。

一緒に居る=傍に居る、それだけで私には心臓に悪い状況。

そのためこの言葉がどんな脅迫状よりも怖いものであった。



この強引な婚約を断るほどの勇気や話しかける度胸もない私が未だにいる。






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