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やめて下さい、死んでしまいます!  作者: 雲雀 蓮
幼少期(幼児~中学生)
18/40

久しぶりの再会でした



中学生という時間は存外早く進んでいった。

それは最初の頃うまく通えなかったからだろうか。

早退や遅刻が多かったからだろうか。



体育祭や球技大会といった体育系の行事はもちろん、その他の行事もまともには行えなかった。

さぞ楽しくなかっただろう、可愛そうに。

というか邪魔で足手まとい。

そう言われることもあったけれど。

あ、サボっているっていうのもあった。


でもどうあったって、私はそれでよかった。




遠くからではあっても、瑠佳くんたちみんなが優しく見守ってくれたから。


他の人は最初は好奇の目であったけれど、だんだんとそうじゃなくなっていくのが分かった。

少しずつ、前の様に反応できるようになったのだ。


それは瑠佳くん、向日葵ちゃん、俊哉君が筆頭として沢山接してくれたから。

学校でも登下校でも私を決して一人にしなかったのだ。

(登下校に関しては二の舞演じさせない、ということだろうけれど)


当然の様に言わせてもらうと、普通に怖かった。

人と接するにはまだ早すぎると心配性の両親は言った。

私もそう思う。

根本的な切っ掛けはやはり、カウンセラーのお姉さんの言葉だろうか。



私は、焦っちゃだめなんだ。



少しずつ、変わっていくしかないんだ。

だから──



「相原さん、無理しないでね」



嫌味の様に言われる嘘の心配の言葉に対して、





「うん、がんばらない」





それが、口癖になっていた。

前以上に酷いダメ人間になった気がする。

そう思って少しだけ顔がゆるんだ。



どうしても気持ちが沈んでしまって、でもどうしても頑張りたいとき。

決まってその時は、お姉さんが教えてくれた呪文を唱えた。



「大丈夫、大丈夫、大丈夫」と。

三回言う意味が、教えられたときはわからなかった。

というか人に言われてもあんまり大丈夫と思えなかったから半信半疑だった。

でも自分で言ってみて分かった気がしたのだ。


自分で言うから、”大丈夫”と思えるのだ、と。

人に言われたって意固地になって、もっと悪くなるけれど自分の声なら安心する。

なんとかなってしまうような気がする。

気休めと言えばそれまでだけれども、何もないよりかはいい。


それに三回言うまでに息が整うのだ。

三回目で一気に吐き出すように言えば深呼吸の様になる。



あのお姉さんの笑っている顔を思い出す。

この呪文をいつも使っているのだろうか?

いつも元気にしているのは、ふりなのだろうか。

本当は私の様に”魔法”を使わなければ、いられないのだろうか?


なんて考えてやめた。

そんなの詮索したって、よくないのが目に見えた。

もしそうだとして、私がお姉さんの立場だったらそんなの訊かれたくない。

それに私も訊きたくない。

お姉さんが、私が、笑っていられるならばそれでいいじゃないか。



いつも見るあの笑顔をトイレの鏡の前で真似てみる。

やはり、全然だめだ。笑えてない。






ぎこちなく歪んだ頬を見て、一瞬だけ笑顔が出来た。

ちゃんと、本当に楽しい時の笑顔が。




「久しぶり」




そう挨拶して鏡から離れた。








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