表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

消失マジック

翌日、式と榊は朝霧に指定された駅に時間より少し早めについた。


「それにしても、どうして朝霧さんは駅に来るように言ったんだろうね」

「さあ。ここから朝霧さんが案内してくれるということでしょうか」


朝霧はこの駅に来いとしか言っていなかった。もしかしたら、この駅でマジックを行うのかもしれない。


「もうそろそろ時間なんだけど、朝霧さんはどこにいるのかな」


式は辺りを見渡してみた。すると、向かい側のホームに、朝霧の姿を確認することができた。


「あれ、朝霧さん、あっちのホームにいるよ」

「本当ですね。手を振ってみましょうか」


榊が朝霧に向かって手を振ると、式の携帯電話から着信音が鳴った。


「あれ? 朝霧さんからだ」


式は電話に出ることにした。


「もしもし? どうしたんですか」

『やあ、式くん。今からマジックを見せるから、まばたきしないで見ていてね』

「今から……?」


一体、どういうマジックをするのだろうか。


式はしばらく朝霧を見つめていた。

特に何かをしようとしているわけではない。

朝霧も、式をずっと見据えている。


「……」

「……」


二人は、しばらく見つめあう形になっていた。

その二人の間に、電車が一本通過した。

式は、何だかドラマのワンシーンみたいだなと思っていた。

電車が通りすぎた後、式は再び朝霧の姿を確認しようとした。しかし、向かい側のホームに朝霧の姿はなかった。


「……え?」

「あれ、朝霧さんはどこに行ったのでしょうか」


式たちは自分の目を疑った。

しかし、何度確認しても向かい側のホームに朝霧の姿はなかった。

朝霧を探していた式の携帯電話から、着信音が鳴った。朝霧からだ。


「……もしもし、朝霧さん? 一体どこに行ったんですか」

『やあ、式くん。これが私のマジックだよ。よく漫画やドラマにあるシーンだろう? 是非ともこのマジックの謎を解き明かしてみせてくれ』


朝霧はそう言い終えた後、すぐに通話を切った。


「朝霧さんは、何とおっしゃっていましたか」

「今のが見せたかったマジックだって。これを解かなきゃならないみたい」

「これをですか。よくドラマなどで見るものですが、果たしてどのようなトリックなのでしょうか」

「トリックじゃなくてマジックって言ってあげようよ。一応マジシャンなんだからさ」


榊と話しているうちにも、式は朝霧の行ったマジックについて考えていた。


(確かに、突然消えるマジックをやられたから驚いたけど、そこにマジックを解く鍵があるような気がする。つまり、予めあのマジックがくるとわかっていたら、簡単に解けるのかもしれない。まあマジックって大体そんなもんなんだろうけど)


とにかく、考えるだけでは解けそうにはないので、朝霧のいた向かい側のホームに行くことにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ