プロローグ的なもの
気晴らしに書いた作品のためプロットは組んでいないので構成が出来ていないので何話になるかは未定です。
まあ、気分転換としてお読みください。
とある世界の魔王城。
その魔王城の魔王の間では現在勇者と魔王による一騎討ちが行われていた。
そう、まさしく世界の存亡をかけた最終決戦だ。
そして、今この勝負に決着が着こうとしていた。
「助けてくれーー」
「ハハハ、助けなんか来るかよ」
・・・一つだけ注意しておこう。
命乞いをしているのは普通なら勇者だと思うであろう。
だが、現状は間逆で魔王が満身創痍の状態で命乞いをしているがそれを勇者足蹴にしながら嘲笑っているのだ。
もし、この場に勇者と魔王以外の人がいるのなら現在の状況を見て、こう思うだろう。
一人の目つきの悪い青年が中年の親父を一方的に痛めつける、あまり子供の教育によろしくない光景だと。
そして、確認のためにもう一度言っておくが目つきの悪い青年のほうが勇者であり、その勇者に足蹴にされている中年の親父の姿をしている魔族が魔王だ。
そして、もう一つだけ言っておく、この戦いはまだ開始してから5分も経っていないのだ。
さて、ここでこの物語の主人公である問題児である有村刀を紹介しよう。
年齢は15歳で今年の春から高校に進学し、一週間で学校中の教師のブラックリストに登録された生粋の問題児だ。
性格はまさしく悪童や問題児を名乗るに相応しいもの。
教師に対する悪戯に始まり、遅刻、サボりと様々な問題を起こしてきた。
だが、彼のすることは全て笑って流せる程度のことしかせず、それ以上のことはしない。
万引きや喝上げなどのことは絶対にすることは無く、逆にそのような行為を行っている連中を見たらそれを屠りに行くぐらいだ。
なぜなら、彼は『迷惑をかけても笑える範囲にとどめるように自制をかける』
そして、『見ていて胸糞が悪くなるようなことをする奴はだれかれ関係なく叩きのめす』
この二つを信条にしているためだからである。
そのため、彼はいくつもの不良連中を一人で叩きのめしてきた。
そして、身体的な特徴はいつもけだるそうな表情に黒い瞳、焦げ茶色でアホ毛が立った髪に少々猫背の高身長。
それが有村刀を現すには十分だろう。
ちなみに、偶にだが眼鏡をかけていることもある。
さて、そろそろ彼の紹介を終え、物語の続きを始めよう。
勇者、刀に敗北した魔王は命乞いを続けていた。
「待て、勇者よ。そのような圧倒的な力があるのだ。我と共にこの世界を我らのものにしようではないか。これは貴様にとっても悪い話ではないはずだ」
「ああ~、確かに悪くない話だな・・・」
「それなら・・・」
「だが、」
刀は魔王の発言を遮って王国から渡された聖剣の切先を向けた。
「ま、待て。待ってくれ。まだ話は」
「いや、終わりだよ。だってお前がいなくても俺一人で世界なんて統一できるし、裏切られるのも怖いし」
「そ、そんなことはしない」
「おいおい、魔王の話を信じられると思うか?」
「頼む信じてくれ」
魔王は必死に刀に縋り付くが刀は表情を先程よりも冷たいものに変えた。
「お前は、そう言って何人の人間を裏切ったんだよ」
「な、何を言って・・・」
「俺は旅の最中に何人もの魔物に襲われた村の生き残りの連中にあったぞ。そして、お前が命は助けてやる代わりに食料や物資を差し出せと言ってそれを裏切り、いくつもの村を滅ぼしたそうじゃないか」
「仕方が無かろう。そうしなければ我らは・・・」
「黙れ!!」
刀は表情をさらに鋭くさせ、殺気を魔王にぶつけた。
魔王は刀の殺気をモロに受け顔に恐怖の色を浮かべながらボロボロの体を引きずり後ずさりを始めた。
「お前はな、俺の逆鱗に触れてんだよ。これは魔族と人間の戦争だから村や町を滅ぼすことに文句を言うつもりは無い。だがな、脅して無理やり働かせて、用済みとあれば捨てるなんてふざけたことするじゃないか。正々堂々と襲うならまだ分かるが、利用するだけ利用して裏切るとは流石魔王だな。本当に胸糞悪い」
刀は持っていた聖剣に光を集めながら逃げようとする魔王を踏みつけた。
「おいおい、話が終わってないのに逃げるなよ。まあ、メンドクサイから最後に一つだけ言っておく。手前のやり方は何から何まで胸糞が悪いんだよ。消えろクソ魔王」
刀は踏みつけていた足はなし、魔王を蹴り上げ聖剣に溜めた光を魔王に向け撃ちだした。
「ギャァァァァァァーーー」
魔王は断末魔の叫びをあげながらこの世から消滅していった。
「さて、この世界のでの俺の役目はこれで終わりか・・・・。よし、とっとと城に戻って魔王討伐を報告して家に帰るか・・・」
刀はそう呟くとそのまま出口に向かって歩き出していった。
こうして、問題児有村刀の最初の異世界での冒険が終わりを迎えたのだった・・・。