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資料/江村洋『中世最後の騎士――マクシミリアン一世伝』 ノート20180201

   江村洋『中世最後の騎士――マクシミリアン一世伝』中央公論社1987


 日本で書かれたマクシミリアンの伝記は本書が唯一のもので、日本版wikiもコロコロ変わっているのだが、基本は本書を主要文献にしている。

 ハプスブルク家中興の祖といわれるマクシミリアン一世は、東ローマ帝国滅亡間もないころ、オーストリアのイノシュタット宮廷で生まれた。父親は神聖ローマ皇帝フリードリヒ三世、母親はポルトガル王女エレノオーレ皇后である。

 ただ著者御自身が書籍内で述べておられるように、学術書ではなく一般書を参考文献としているため、ところどころ誇張や誤りが目に付く――例えば、蛇砲は砲身が曲がった大砲だとか、当時のウィーンは(五稜郭のような)星型の堡塁をしていたとか、ドゥルノン会戦に行こうとするマクシミリアンを従兄のザクセン公がわずかな供で追ってきて、同盟国の裏切りを報せるとか……。蛇砲はカルバン砲またはカルバリン砲といって、形ではなく等級を示すものである。曲がっていた砲身自身が破裂してしまうだろう。五稜郭のような堡塁の要塞や都市は、大砲の発達で城壁がよく破壊されるようになってしまったことで、17世紀以降に登場する。ザクセン公がでてきて、ところどころドラマチックなのは、そこは古いタイプの伝記にありがちな記述だ。

 とはいえ、日本において本著が、マクシミリアン帝研究者にとっての入門書になることは間違いないだろう。

          ノート20190201






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