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随筆/もう一度妻をおとすレシピ 『魚のパピョット』(魚の蒸焼)

 世にいうイケメン・モテ男のことを色事師といいます。実在とされる人で、日本一ならば在原業平、欧州一ならばカザノヴァが有名。

 カザノヴァは、スペインからイタリアにやってきた旅芸人の孫。ヴェネチアで生まれ、欧州中を冒険し、下は奴隷から上は侯爵夫人にまで愛された男。甘く危険な匂いを漂わせた小説家です。俳優・女優を両親に持つこの人は、持ち前の器量と、巧みな話術で乙女たちと華やかな駆け引きを演じてゆきます。

 そんな前置きはどうでもいい。さあさあ、読書は一時中断。休日ランチの準備をしましょう。いざ厨房へ!


 魚一尾を三枚もしくは切り身にします。それを、塩、胡椒、ハーブ、レモンで下味付けした後、アルミホイルに包んでオーブンに入れ蒸し焼きにする。高温オーブンなら20分から30分でできあがり。なんて簡単!


 テーブルのグラスにマスカットワインを注いだら、さあ、奥方をリビングに呼びましょう。

 困ったことに奥方は、貴男の買ってきて読みかけた本が、開かれ伏せた状態で、ソファに置いたままにしてあることに気づきます。手に取り、開いてしまったではあーりませんか。

「え、なに、『カザノヴァ回想録』? やだ~っ、エッチ~っ。18世紀の古典だっていうけど、まるっきり官能小説じゃない!」

 奥方は過激な内容に目が点。

「君を誘惑というホイルに包んで蒸してみたくなったのさ」

「莫迦!」

"Ti amo !" (愛してるよ!)……みたいな。

 本日も貴男の奥方はイ・チ・コ・ロ♫


     END


2014/01/17


引用参考文献/

●猪本典子ほか『修道院のレシピ』(朝日出版社 2002年)175頁より

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