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随筆/もう一度妻をおとすレシピ 『柚子のゼリー』

 先日、本屋さんをぶらついていたら、シェイクスピアの『リヤ王』が置いてありまして、なにげに読んでしまいました。

 三人姉妹がおり、姉二人は口のうまい分腹黒、末の妹は口足らずで誤解されるのだけれども誠実で優しい人柄。老いたリヤ王は生前贈与で三姉妹に領地を分割しようとします。そのとき末の妹は失言が元で領地をもらい損ね、結局上の姉二人で分割されることになりました。末の妹は道理を知るフランス王が王妃として貰い受けてゆきます。遺産をもらった途端、姉二人は王をないがしろにして、王はショックのあまり壊れてしまいます。けっきょく末の妹が事情を知ってフランスに引き取ります。他方、姉たちは悪事が元で自滅するというお話。

 黒澤明監督の映画『乱』では、これを日本の戦国時代に舞台を代え表現しています。三姉妹ではなく三兄弟。隣国の婿養子となり、悪い兄たちをやっつけて父親を助けにゆく刹那、末の弟は無常にも銃弾に当たって死んでしまうという結末が悲しい。

 誤解から愛は受け入れられないことってあるものですねえ。

 さて、暑さ寒さも彼岸までといいますが、彼岸はまだ遠いですねえ。酷暑つづきの日本に、シャキッとスイーツいたしましょう。


【造り方】

●材料は、ゼラチン、砂糖、水、柚子汁、柚子の皮のすりおろしを少し、さくらんぼのリキュールであるキルシュを少し、黄柚子皮のリキュール煮を用意します。

●まず、鍋に水・砂糖を入れて火にかけ、砂糖が溶けたら火を止め水で湿らせたゼラチンを入れて溶かします。次に、これをボールに移してさまし、柚子の皮のすりおろしと汁を加え、キルシュを数滴たらします。最後に、ゼリーの型をとるカップに、この溶液を入れ冷蔵庫で固めます。食べる直前に皿に取り出し、黄柚子の川をオレンジリキュールで煮たものを添えれば出来上がり。


 猛暑のティータイム、あなたはよく冷やした柚子のゼリーを冷蔵庫から、柚子のゼリーを取り出し、海の見えるテーブルに並べます。海がみえない? そんなものは気合でイメージするのです。

「そろそろ冷ましたくなったの?」

「それも悪くないな」

「え?」

「冷やした唇はまた温めあえばいい」

「莫迦……」

 というわけで、本日もあなたの奥方は、イ・チ・コ・ロ。

    END


【引用・参考文献】

佐藤隆介・近藤文夫・茂出木雅章 『池波正太郎の食卓』 新潮文庫 2004年 P172 「柚子のゼリー」


ノート20130811

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