随筆/もう一度妻をおとすレシピ 『ナスの中華ソテー』
● 茄子菠菜
ピグマリオというギリシャ神話にでてくる王様がおり、美しき女性彫刻を愛したところ、それが本物になってしまった物語があります。男どもには、理想の女性を育てたいという願望があるとかないとか、心理学者なんかがいっているとのこと。日本でいえば、さしずめ源氏物語の紫ノ君。清楚にしてエレガントな完璧女性。源氏物語でも人気ナンバーワン女性ですねえ。
紫の花を咲かすお野菜といえば、インド原産で1000年前の奈良時代に日本に渡ってきたきた茄子があります。本日はその茄子のお料理~。
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【茄子菠菜の作り方】
ナス、ホウレンソウ、ニンニクといった具材を御準備ください。塩、油脂、醤油、酒、ごま油といった調味料は当然必要。
まず、ホウレンソウを洗って、ぷるぷる、水気をきり、塩をちょいと混ぜた熱湯に、さっ、とゆで、それから3、4センチにぶった切って、また水気をしぼります。
つぎに、にんにく、微塵切り。赤ピーマン、種とって、せん切り。そしたらニンニクと赤ピーマンをゆでちゃいましょう。
このときでてきたスープに、醤油・酒・胡麻油を加えて「煮汁」をつくります。
そして、ナスは乱切り、油が煮立った中華鍋に放り込み、こんがり焼くのです。
仕上げは、中華鍋に大さじ一杯分の油をたらしたところに、ニンニクが色づくまで炒め、ナス、ホウレンソウを加えたところで、「煮汁」をぶっかけ、汁けがなくなるまで炒めます。
皿にナス・ホウレンソウを盛り、赤ピーマンでデコレーションしたら出来上がり。
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日曜日のお昼どき。では、いつものように、料理を準備して奥方様を呼びましょう。
「どうして、今日のランチは、ナスとホウレンソウの中華風ソテーなの?」
「ロミオ、ロミオ、どうして貴男はロミオなの? そんなふうにジュリエットはいったけれど、僕は初めから君のことを知っている。僕にとっての紫ノ君さ」
ぽっ。
そして、本日も貴男の奥方は、イ・チ・コ・ロ。
了
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ノート20140622
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参考文献
周富徳ほか 『家庭料理全集〈華〉第三巻・中華料理』講談社 1987年