随筆/もう一度妻をおとすレシピ 『芳香草苺』(中華風いちごパイ)
先日、家族そろって、いちごを食べました。いちごといえば思い起こされるのが、『いちご白書』。アメリカの作家ジェームズ・クネンが、コロンビア大学で、学生時代を過ごした体験を年代記風につづったノンフィクション。1970年に公開された同名の映画は有名で、これをネタに1975年、松任谷由美が『いちご白書をもう一度』という曲をつくり、バンバンが唄ってヒットしています。
学園紛争内があり、はじめ関心がなかったボート部所属の主人公が、学生運動リーダーである女子学生と恋仲となり、エキサイトし、ついには講堂を占拠するものの、学長が要請した機動隊が踏み込んで排除されてしまう。題名は、学長が、「君たちの主張など苺が好きか嫌いかとうほどのもんだ」と運動を批判したことに由来するのだとか。
――なにをおっしゃる。苺が好きか嫌いか。とても重要なことですぞ!
と、いうわけで、本日は苺をつかったデザートのレシピなんか、だしっちゃってみます。
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『芳香草苺』(中華風いちごパイ)の作り方。まず、いちごを親の仇のように微塵切りにしましょう。そいつを、両手いっぱい愛のごとく広げた餃子の皮に、小豆あんと一緒に包みます。餃子の継ぎ目には水、それから片栗粉を塗ったくって、接吻……もとい、接着しませう。そうそう、きっちりとです。あとは、ふつうの餃子を焼く要領で、フライパンに油を敷き、沸騰させないように、狐色に焼くというわけです。皿に盛って、蜂蜜をかけたら出来上がり。
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さあさあ、「ハニー!」なんて、奥方を呼んでみましょう。
たっぷり蜂蜜を塗ったパイの中身は、結婚前・青春時代と変わらず、甘酸っぱくジューシー♫
週末のティータイムにどうぞ。そして本日も、貴男の奥方は、いちごじゃなくて、イ・チ・コ・ロ。(←う~む。今回は言葉遊びが過ぎるかなあ)
●引用参考文献/脇屋友詞 『香港のデザート』文化出版局 1997年
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