3.5章 サーシャの一人語り
これは、私がお兄様に会う前、この孤児院にやってきた後のことです。
『シロちゃん、朝ごはんを持ってきたの・・・入ってもいいかな?』
朝、起きてしばらく本を読むと、お姉様が私の部屋まで朝食を運んできてくださいます。
『・・・どうぞ』
私にとって、時間などほとんど関係のないことでした。窓も扉も締め切った私の部屋では、本を読むための明かりがあるだけで、日が上ろうと、沈もうと私が眠くなる以外の変化はなかったのですから。
『それじゃあ、机の上においておくね・・・ねぇ、シロちゃん。外に出てみてはくれない? 皆良い人だから・・・きっと、分かり合えると思うの』
結果は、お姉様の言うとおりでした。ですが、実際に優しくしてくださる方・・・お兄様と出会うまでは、その言葉を信じられずにいました。
ですから、当時の私はその言葉に首を横に振りました。
『そっか・・・でも、いつか優しい人がやってきて、シロちゃんにもよくしてくれると思うの。そのときは・・・ちょっとでいいの。外に出てみようって、考えてみて?』
私も、このままではいけないと思っていました。なので、その言葉には頷きました。
『ありがとう。きっと、優しい人がやってきてくれる・・・だから、その日をまとうね』
変わりたいとは思っていたものの、私はこんな村に誰が来るものかと思っていました。
お兄様がやってきてくださるまでは、そう思っていたのです。
章間2 END