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マガツカミ ―忘却の英雄は異世界で目覚める―  作者: アイザワ


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10/15

本選開始

 予選通過者二十名が、再び闘技場に集められた。

 観客席は、さらに盛り上がっている。

「さあ、お待ちかねの本選だ!」

 ガロンが観客に向かって叫ぶ。

「ルールは一対一の模擬戦! トーナメント形式で戦ってもらう!」

 闘技場の壁に、大きなトーナメント表が映し出された。

「対戦相手は、抽選で決定する! 各自、この箱からクジを引け!」

 係員が箱を持ってくる。

 受験者たちが、順番にクジを引いていく。

「レン先輩、私、三番です!」

 リンが紙を見せてくる。

「俺は……八番だ」

「私は十五番ね」

 エリスも確認する。

 全員がクジを引き終わると、トーナメント表に番号が配置された。

「俺の初戦の相手は……」

 十六番。名前は、ブレイド・ナイフォード。

 獣人の男のようだ。

「リンの相手は……」

「えっと、四番のエレナ・ローズさん……あ、あの人です」

 リンが指差す先には、エルフの女性がいた。弓を持っている。

「弓使いか。距離を詰められないと厳しいな」

「大丈夫です! 私、頑張ります!」

「エリスの相手は……」

「十四番のカール・ブロンソン。人間の剣士ね」

 エリスの相手は、大柄な男だった。大剣を担いでいる。

「力押しタイプね。でも、速さで翻弄すれば問題ないわ」

 エリスは自信満々だ。

「そして……」

 俺はトーナメント表を追っていく。

 もし勝ち進めば、準決勝で――

「シュバルツと当たるのか」

「え、本当ですか!?」

 リンが驚く。

「あの人と……」

「まあ、その前に勝たなきゃね」

 エリスが言う。

「そうだな。一戦ずつ、確実に勝っていこう」


 第一試合が始まった。

 一番と二番の対決。

 人間の剣士とドワーフの戦士。

「開始!」

 ガロンの合図で、二人が激突する。

 剣と斧がぶつかり合う。

 激しい攻防が続く――

 五分後、人間の剣士が勝利した。

「勝者、ジン・アサクラ!」

 観客席から歓声が上がる。

「すごい……レベル高いですね」

 リンが緊張した顔をする。

「ああ。みんな、本気だ」

 第二試合、第三試合と続く。

 そして――

「第四試合! 三番、リン・シャオメイ対四番、エレナ・ローズ!」

「わ、私の番です!」

 リンが立ち上がる。

「落ち着いて。いつも通りにやれば大丈夫」

「はい!」

 リンが闘技場に出る。

 対するエレナも、弓を構えて現れた。

「よろしくお願いします!」

 リンが元気に挨拶する。

「……こちらこそ」

 エレナは冷静な表情だ。

「準備はいいか? では――開始!」


 試合開始と同時に、エレナが距離を取った。

 そして、矢を放つ。

「!」

 リンが横に跳んで回避。

 だが、エレナは次々と矢を放つ。

「速い……!」

 リンは符札を投げて防御する。

「風符障壁!」

 風の壁が矢を弾く。

「やるわね」

 エレナが感心したように言う。

「でも、これはどう?」

 エレナが特殊な矢を番える。

「魔法矢・炎!」

 放たれた矢が、空中で炎に包まれる。

「きゃっ!」

 リンが慌てて避ける。

 矢は地面に突き刺さり、小さな爆発を起こした。

「やば……」

 リンが焦っている。

「リン、落ち着け! 距離を詰めろ!」

 俺が叫ぶ。

「は、はい!」

 リンが走り出す。

 エレナが矢を放つ――だが。

「火符!」

 リンが符札を投げる。

 炎がエレナの視界を遮る。

「!」

 その隙に、リンが距離を詰めた。

「封印札!」

 エレナに符札を貼り付ける。

「え……?」

 エレナの身体が動かなくなった。

「今です! 小太刀!」

 リンが小太刀を抜き、エレナの首に突きつける。

「……勝負あり! 勝者、リン・シャオメイ!」

「やった!」

 リンが喜びの声を上げる。

 観客席からも拍手が起こる。

「やったわね、リン!」

 エリスが笑顔で出迎える。

「ありがとうございます!」

「よくやった」

 俺も頭を撫でる。

「えへへ……」

 リンが嬉しそうに笑う。


 試合は続く。

 第五試合、第六試合……

 そして、エリスの番が来た。

「第八試合! 十五番、エリス・ルミナス対十四番、カール・ブロンソン!」

「私の番ね」

 エリスが立ち上がる。

「気をつけろ。あいつ、力が強そうだ」

「大丈夫よ。任せて」

 エリスが闘技場に出る。

 対するカールは、エリスの倍はある体格の男だった。

「へへ、嬢ちゃん。棄権した方がいいんじゃねぇか?」

 カールが挑発する。

「……失礼ね」

 エリスが冷たく言い放つ。

「私を甘く見ないで」

「生意気な……!」

「準備はいいか? では――開始!」


 カールが大剣を振り上げ、突進してくる。

「遅いわ」

 エリスが軽々と避ける。

「ちっ!」

 カールが横薙ぎに斬る。

 エリスはバックステップで距離を取る。

「当たらないわね」

「くそっ! じっとしてろ!」

 カールが連続攻撃を仕掛ける。

 だが、エリスの動きは優雅で、全ての攻撃を避けていく。

「私のターンよ」

 エリスが反撃に転じる。

「光剣舞・一の型!」

 連続突きがカールを襲う。

「ぐっ!」

 カールが防御するが、攻撃が重すぎる。

「二の型!」

 回転斬撃。

 カールの大剣が弾かれる。

「終わりよ。三の型!」

 エリスの剣が光を纏う。

 そして――

「光閃!」

 一閃。

 カールの胸当てが割れ、地面に倒れた。

「勝負あり! 勝者、エリス・ルミナス!」

「……当然の結果ね」

 エリスが涼しい顔で戻ってくる。

「さすがだな」

「圧倒的でした!」

 リンが目を輝かせる。

「あれくらい、普通よ」

 エリスが髪を払う。

 その仕草が、妙にかっこいい。


 そして、俺の番が来た。

「第九試合! 八番、神代レン対十六番、ブレイド・ナイフォード!」

「行ってくる」

「頑張ってください!」

「気をつけてね」

 二人に見送られて、闘技場に出る。

 対するブレイドは、狼の獣人だった。鋭い爪と牙。筋肉質な身体。

「……よろしく」

 俺が挨拶する。

「ああ。手加減はしないぜ」

 ブレイドが獰猛に笑う。

「望むところだ」

「では――開始!」


 ブレイドが四足で駆ける。

 速い――!

 瞬時に間合いを詰められた。

「爪撃!」

 鋭い爪が飛んでくる。

 俺は剣で受ける。

 ギィンと金属音。

「硬い爪だな」

「獣人を舐めるなよ!」

 ブレイドが連続攻撃を仕掛ける。

 爪、牙、蹴り――

 全身を使った攻撃。

 俺は防御しながら、タイミングを計る。

「そこだ!」

 攻撃の隙を見つけ、カウンター。

「ぐっ!」

 ブレイドが後退する。

「やるじゃねぇか……!」

 ブレイドの目が鋭くなる。

「なら、本気で行くぜ! 獣化!」

 ブレイドの身体が膨れ上がる。

 筋肉が盛り上がり、爪が伸びる。

「これが俺の真の力だ!」

 ブレイドが咆哮を上げる。

 そして――さらに速い動きで襲いかかってきた。

「速い!」

 連続攻撃。今度は、さっきより遥かに速い。

 俺も本気を出さないと――

「なら、俺も」

 左肩の刻印が光る。

「解放、第二階層」

 力が溢れ出す。

 視界が鮮明になる。ブレイドの動きが、見える。

「!? 何だ、その力……!」

 ブレイドが驚く。

 俺は一歩踏み込み、剣を振るう。

「はっ!」

 剣がブレイドの爪を弾く。

「ぐっ!」

 ブレイドが体勢を崩す。

「終わりだ」

 剣をブレイドの喉元に突きつける。

「……参った」

 ブレイドが降参する。

「勝負あり! 勝者、神代レン!」

 観客席から歓声が上がる。

「強いな、お前」

 ブレイドが笑う。

「お前も、強かった」

「また、どこかで手合わせ願いたいぜ」

「ああ」

 二人で握手を交わす。


 控室に戻ると、エリスとリンが出迎えてくれた。

「お疲れ様、レン!」

「かっこよかったです!」

「ありがとう」

 三人で、次の試合を観戦する。

 そして――

 シュバルツの試合が始まった。

「第十試合! 五番、シュバルツ・ヴィント対十二番、ゴロン・アイアンハンマー!」

 シュバルツが闘技場に出る。

 相手は、屈強なドワーフだった。巨大なハンマーを持っている。

「では――開始!」


 ゴロンがハンマーを振り下ろす。

 地面が砕け、衝撃波が広がる。

「おお……!」

 観客が驚く。

 だが、シュバルツは既にそこにいなかった。

「速い……!」

 シュバルツは一瞬で、ゴロンの背後に回っていた。

「遅いな」

 双剣がゴロンの首に突きつけられる。

「え……?」

 ゴロンが困惑する。

「勝負あり! 勝者、シュバルツ・ヴィント!」

 試合時間、わずか三秒。

「……すごい」

 リンが唖然としている。

「あの速さ……異常だわ」

 エリスも驚いている。

 俺も――

「シュバルツ……お前、一体……」

 その動きを見て、確信した。

 シュバルツは、ただの冒険者じゃない。

 あの速さ、あの剣技――

 まるで、記憶の中の誰かに似ている。

「……まさか」

 頭の中に、記憶が蘇る。

『――シュンソウ兄さん、速い!』

『――ははは、お前もいずれ追いつけるさ、ミコト』

 シュンソウ――

 前世の仲間の一人。

 神速の剣技を持つ、双剣使い。

「シュバルツ……お前は……」

 観客席に戻ってきたシュバルツと、目が合った。

 シュバルツも、何かを感じたような顔をしている。

「……レン」

「ああ」

「準決勝で待ってるぞ」

「ああ。必ず行く」

 二人の間に、見えない糸が繋がった気がした。


 第一回戦が全て終了した。

 勝ち残ったのは十名。

 俺、エリス、リン、シュバルツ、そして他六名。

「では、準々決勝に進む!」

 ガロンが宣言する。

「次の対戦カードは――」

 トーナメント表が更新される。

 俺の次の相手は――

 第一試合の勝者、ジン・アサクラ。

 人間の剣士だ。

「また剣士か」

「大丈夫よ。あなたなら勝てるわ」

 エリスが励ます。

「私もレン先輩を信じてます!」

 リンも笑顔だ。

「……ああ。勝つ」

 俺は拳を握った。

「そして、シュバルツと戦う」

 あの男の正体を――

 確かめるために。


 準々決勝が始まった。

 第一試合。俺の番だ。

「準々決勝第一試合! 神代レン対ジン・アサクラ!」

 闘技場に出る。

 ジンは、黒い髪に黒い瞳の青年だった。腰には一本の刀。

「……よろしく」

 ジンが一礼する。

「ああ」

 俺も礼を返す。

「お前の剣、見せてもらうぞ」

「こちらこそ」

 互いに剣を構える。

「では――開始!」


 静寂。

 互いに動かない。

 間合いを測り合う。

 そして――

 同時に動いた。

 剣と刀がぶつかる。

 ギィィン!

 火花が散る。

「速い……!」

 ジンの刀が、連続で飛んでくる。

 居合の連撃。

 俺は剣で受け流す。

「くっ……!」

 だが、攻撃が途切れない。

「まだだ!」

 ジンの攻撃が加速する。

 このままでは――

「なら、こっちも!」

 刻印が光る。

「解放、第三階層!」

 力が爆発する。

 視界がさらに鮮明に。思考速度が上がる。

 そして――

 ジンの動きが、見える。

「そこだ!」

 攻撃の軌道を読み、カウンター。

「!?」

 ジンの刀が弾かれる。

「終わりだ!」

 剣を振り下ろす。

 ジンが横に避ける――が。

「融合術式・雷光斬!」

 剣が雷を纏う。

 一閃。

 雷撃がジンを襲う。

「ぐあっ!」

 ジンが地面に倒れた。

「勝負あり! 勝者、神代レン!」

 観客席が沸く。

「……強い。お前、強いよ」

 ジンが笑いながら言った。

「お前も、強かった」

 俺は手を差し出す。

 ジンはその手を取り、立ち上がった。

「また、手合わせ願いたい」

「ああ」


 準々決勝が全て終わった。

 準決勝に進んだのは――

 俺、シュバルツ、エリス、そしてリン。

「やった! みんな勝ち残りましたね!」

 リンが喜ぶ。

「でも……次は」

 エリスが複雑な顔をする。

 トーナメント表を見ると――

 準決勝第一試合は、エリス対リン。

 そして、準決勝第二試合は、俺対シュバルツ。

「私たち……戦うんですね」

 リンが寂しそうに言う。

「ええ……でも」

 エリスが笑顔を作る。

「全力でやりましょう。お互いに」

「……はい!」

 リンも笑顔になる。

「そして、レン」

 エリスが俺を見た。

「あなたは、シュバルツさんと全力で戦って」

「ああ」

「私たち、決勝で会いましょう」

「……ああ。約束だ」

 四人で、拳を合わせた。

「みんな、全力で!」

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