19 土地屋敷の相続
主人が亡くなって…早くてもあと20年は先だろうと思っていた相続があまりにも早く発生してしまって、正直戸惑ってる。
主人は後を継いだけど次男で、養子縁組はしてくれたけど娘は私の連れ子で…。
田舎だから、田畑も山林もある。すべて主人のご先祖様が苦労して手に入れ、大事に守ってきた土地。
主人に代わって、せめて田んぼを…できるか??トラクター乗れないよ??習うか??農協でたしか春に新規就農者講習やってたなあ…?参加してみるか?
草刈も一日したら翌日熱出して倒れるとゆう…前科持ちだが…出来るか?????
はっきり言って都会育ちには無理。
どうしよう…?
とりあえず義兄弟たちに相談しようと、土地の相続のことで相談があると伝え、後日集まってもらうことに。
畑はともかく田んぼは義兄弟で出来る限りやってみるとゆう話に落ち着いた。
法定相続人は私と娘になるのだが、一応、義兄弟たちに聞いてみた。
「屋敷は私が設計して主人が建てたから私の名義に。土地は娘にしようと思うのだけど」と。
義兄弟たちは、私もまだ若い??から再婚とかもあるだろうし、そうなったとき、土地屋敷を売って義母さんの住む家が無くなるのが困る…
とアホなことを言っていたが、結局、どうせ、義兄弟たちに子供は無く、娘が相続することになるから…と、娘名義にすることに決まった。
…3回忌どころか四十九日も終わってないのに、主人が亡くなったらさっさと他の男に乗り換える軽い奴と思われてるんね…と、しこりが残ったが、そこは堪えた。
翌日、農業を続けるなら…と、パワステのついていない軽トラをパワステのついてるものに交換したほうが良いよねえ…と思い、私は取りあえず車の下見に出かけた。
車屋さんで、色々話を聞いてるときに、携帯が鳴った。家からだった。
義母からだと思って電話に出ると、電話の主は義兄だった。
「あ、雅美さん。やっぱり土地は俺と弟の名義にするから」
「…は?」
一日で話を覆すか??土地がらみとゆう重大事項を。軽く。
相続権が無いにもかかわらず。
無性に腹が立った。
しかし私は大人だ。とりあえず話を聞いてあげよう。
「…とりあえず、もう一度集まりましょう。日にち決めてください。」
とだけ伝え、軽トラ購入は保留にして帰宅の途に就いた。
数日後、再度、皆が集まった。
やっぱり、私が土地を売るかもしれないのが心配だと。
アホか。売れるかボケが!!糞田舎で買い手がつくかよ!!しかも、主人と過ごした土地だぞ。主人と一緒に設計して建てた家だぞ。
怒りがこみ上げてくる。
声を荒げない様に、静かに伝える。
「私の中でね。決めたことをすぐに覆す奴は信用してはいけないとゆうのがあるんですよ。しかも、今回は土地がらみとゆう重要事項。そちらが私を信用できないとゆう気持ちはわからなくもないです。ですが、当方もあなた達を信用するわけにはいきません。一番信用でき、嘘をつかないお金で解決しましょう。2000万で全てひっくるめて売ってあげますよ。それであなた達の好きにしたらいい」
とたんに焦る義兄弟たち
「いや…俺ら、母が心配で…」
「そうでしょう。心配なのはわかりました。だから相続権のある私がこの土地、家もろとも2000万で売ってあげるといってるのです。建てたこの家より安い金額ですよ。サービス価格です。」
「いや、だから…ごめん。この話は無かったことに、全てそっちの名義で…」
「要らん!!!!買わないなら他に売り払う!!!」
「いや、すみません、そこを」
「NO!!! これで話は終わり! 2000万で買い取れ!!」
席を立ち、キッチンに行き麦茶を飲んでいると、義兄弟と義母がきて土下座をする。
「すみませんでした。許してください」
「軽率でした。」
となんかほざいてる。
良い歳をした男さんが、その覚悟も無しに話をひっくり返すような発言をするか?
「土下座されても私にはなんの得にもならない。お互い信用できないのだから金で解決するしかないだろう?」
義母もなんか言ってる。
「雅美に出ていかれたら、集落の皆に何と言われるか…嫁を追い出したと言われるから…」
知らんわ。
お前が息子たちに発言を許したんだろう。
私に電話する前に絶対相談されてるだろうが!!
断固として、謝罪は受け入れる気はない。
ただ、主人の死十九日の法要はきちんと行いたかった。
「…主人の四十九日の法要はきちんと行いたいので、それが終ってからもう一度きちんと話をしましょう」
そういい捨てると、私は自室に引きこもった。
一人亡くなると…ほんと…全てがおかしくなってしまう…