１０ 写真
主人が帰ってきたら…葬儀の決めごとを決めたら…あとはずっと主人のそばに居て良いと思ってた。
そうは問屋がおろさない…ってことでPCの中から主人の写真をピックアップする作業が待っていた。
そう。遺影。
ちゃんと整理してなかったので…あの写真はどこにあるんだろう？？と、主人の携帯の中まで探し回った。古い携帯ものこってたのでその中も。
笑ってる主人、真面目な顔の主人。おどけてる主人。
動画もいくつか出てきた。
主人の事が大好きなので、よく主人の写真を撮っていた。
眠っているとき、食べているとき、草刈り等作業してる時、悪さしてる時…
色んなシーンの主人を撮っていたつもりだった。
なのに思う。
もっと沢山写真撮ってたらよかった…。
正面を向いてる写真が意外と少なかった。
何かしてる時、撮ってることが多かったから。
幾つかピックアップする。
すっごい笑ってる写真。パジャマで。私の足先が写ってる。
主人の胸を足先でつついて遊んでた時の写真。
すっごい笑ってて…これ…駄目かな？？と、聞くと、服は加工してくれるらしいとのことで頼んだ。
背景は義父の時にピンクで作ったら意外と良かったので「我が家はこれから遺影の背景はピンクだな～」と主人が言ってたので、ピンクにしてもらった。
出来上がった写真は顔は凄く笑ってるのに体に動きが無く…はめ込みだったから…凄く不自然だった。
嫌…作り直し。
結局、ＰＣの前で煙草をもって斜にかまえてちょっと悪そうな顔をしてる主人の写真を遺影に。
背景はいじらず、そのままで。
普段の主人。
左手が大きく写って、逞しい腕、掌の、指の大きい主人そのままだった。結婚指輪がキラリと光ってるのも良い。
満足な遺影になった。
遺影写真とは別に、式場でモニターで流す主人の写真もピックアップする。
田植えをしてる主人。運動会で娘と一緒に並んでる主人。お酒を飲んでる主人。本を読んでる主人。娘と遊んでる主人。
眠ってる主人。結婚式準備で衣装合わせをして二人で撮った写真があった。それも選んだ。
動画もあって、主人の声が入ってて…嬉しいけど悲しくて泣いた。
葬儀では主人が好きだった曲も流してくれるという。
主人はとある歌手の歌をよく聞いていて、デートの時、ドライブ中にもよくその曲を流していた。
あまり芸能に興味の無かった私も、その歌が好きになった。
一番好きだと言っていた曲と他に静かな曲をいくつかピックアップする。
ドライブでよく聞いていたので…楽しかった時を思い出してやっぱり泣いた…。
