近所迷惑のガキども
煽り煽られ 喧嘩を買って買われて 大喧嘩 あぁ保護者よ はよ来ておくれ
「あ? 俺が新しく妖魔斬りに入るって知ってんのか?」
(なんだ、知らされてんのか。なら正面から堂々と入って良かったくないか?)
疑問は募るがその疑問はすぐに晴れることになる。
「入る? 貴方新しい長様の使い烏ではないのですか?」
「は?」
俺が使い烏? そんなことは一言も聞いてない。
だが今していることを客観視するとカエンの頼みを聞いてそれを実行している。まさに使いの者がするようなことだ。
まさか……俺が知らぬ内に契約か何かを結ばされたか?
「すまん。その話もっと詳しく」
「詳しくも何も使い烏になる時に長様からお話があったはずですよ……流石にただの烏には難しかったですかね? それにしても烏の割に考えがしっかりしてますね。まぁその割にガサツではありますがそこは要検討でしょうか。というより長様もこんな未熟者の烏を使いに出しましたね」
話がどんどんと進んでいくがこちらは何一つピンときていない。
ただ一つ口ぶりから分かることはある。
(こいつ、俺のこと舐め腐ってんな)
「おい」
「はぁ、その口調もどうにかしないとですね。ただの使い烏風情が妖魔にかなうとでも? そのような心持ちではすぐに何かしらの因縁を買い死にますよ。それともそれすらも分からないほどの能無しなのでしょうか?」
この世界に来て約一ヶ月経つかぐらいでしょうか。今までたくさんの辛い経験を体験しました。
死んでないことが幸運と言える状況もありました。
だがここまでの怒りは初めてだよ。
「あ゙ぁ? お前こそ相手の力量すら測れねぇほどに腑抜けなのか? はぁーなるほど! お前はただの下っ端で何も教育を受けてないんだな! そりゃー仕方がねぇ。妖魔斬りの連中もこんな奴を相手にしてられねえもんな。つーか確かに俺は小せえがこの大きさで五体満足で生きてんだ。そこの部分だけで少しは疑問を持てよ。まぁ警戒されてても温室育ちの猫ちゃんには負けねぇが」
──ビキッ ドッ
「おや、これを避けますか。逃げ足だけで生き延びてきたのが伺えます」
先程までいた場所にはしっかりと化け猫の爪が突き刺さっていた。
化け猫が爪を抜いた場所は土とはいえしっかり穴が空いており、その威力の高さが伺える。
もう少し挑発するべきか。
「と、言う貴方様もかなりブチギレておられる様子。こんな子烏一匹捕まえられぬとは。なんと嘆かわしい! おや? まさかとは思いますがこれが元の実力ということでしょうか!? そんな訳はありませんよね。ただ怒りで手元が狂っただけ。そうでしょう?」
「ただの子供の世迷い言だと流す気でしたが……お灸を据える必要があるようですね。それでは参ります」
──ビュッ
横に移動する。顔の少し横を尖った刃物が通り過ぎる。
この刃物に当たればこの小さな体など一瞬にしてその大半を失うだろう。
(警戒させないためとはいえ霧化無しなのは命の危険がありすぎるな)
──カチッ タッ
地面や壁を伝い縦横無尽に跳ね回る。
その速度は辛うじて方向転換時に姿が見える程度だ。直線移動時はほとんど見えない。
(なるほど地面に接地する時間がほとんどない。それによりこの高速を維持しているのか。音すら鳴らず静かに背後に詰め寄る。こりゃ暗殺部隊のほうが合ってるだろ。あるか知らんが)
「ただ……落ち着いていればの話だがなぁ!」
──ダンッ ガッッシャァン
「ぐっ……小癪な」
化け猫の体が叩いた衝撃でゴミ捨て場に突っ込みゴミが舞う。
突っ込んできたところを避けて叩く。それだけでも化け猫の勢いが加わりかなりのダメージとなる、はずだったのだがあちらも妖魔斬りということもあり吹っ飛んだ割にはダメージは少なく見える。ゴミがクッションとなったのも少し痛手だ。
「鬼さんこちら、手の鳴る方へ! 捕まえないとお前が地面に伏せることになるぞぉ!」
(とは言うがここまでの速さの奴とやったことがねぇからすっげー心臓バクバクしてるわ)
ここまで俺が優位に立てているのはある理由があった。
まず化け猫は煽られたことで冷静を欠いている。
おかげで本来爪がしまわれているはずの移動中も爪が出ており、地面に触れるたびに音が鳴っている。俺はそれを聞き、タイミングを把握して横に移動している。
そう、ただ横に移動しているだけだ。怒りに身を任せ攻撃しているだけだから一直線に来るだけの愚直な攻撃。これが少しタイミングをずらされたり少し横にずれるだけですぐに被弾するだろう。
(こいつはこれでいいがもっと上の奴らには通用しねぇだろうな。俺はまだスピードで来られた場合の対処を知らねぇ。搦手を使われたらどうしようもない……どうしたものか)
「しっかし知性持ちは面倒だがやりやすいな。煽ればしっかりぶれてくれるんだから。まぁ、まだ精神が未熟だから通じるんだろうなー。なぁ化け猫さん」
「言わせておけば……ペラペラとよく回る口出すね!」
「口を動かすより手を動かしたらどうだ? せめて立ち上がれよ。追撃しないのは俺の慈悲だぞ」
「このっ……」
──バッ
化け猫は飛び上がり壁の出っ張りに着地し、目をつむった。精神統一のつもりだろうか。動かなくなる。
そんな隙逃がすと思うか?
「貰ったぁ!」
──ガリッ
最後まで読んでいただきありがとうございます。
本当に申し訳ございませんでした!! 更新に半月以上かかってしまいお待ちの方がおられるかは分かりませんが大変お待ちしました!
正直に言うならモチベが消えておりました。これからは少しずつでも更新しようと思います。
こんなに空いてしまいましたが作品気に入ってくださったのならとても嬉しいです。
それでは次回も是非読んでいってくださいね。




