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人未満が行く化け物探し  作者: 猫烏
人をやめた元人間
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人から遠のく化け物よ

化けろよ化けろ人未満 化け続ければ馴染んでく 貴方もこちらに来ましょうよ

 星が瞬く暗闇の中、夜に紛れる烏と童。化け物二匹が空を飛んでいる。


「それにしても童、お主家の者に連絡しなくてもよかったのか?もう深夜じゃよ……」


 彼女は少し遠くを見ながらぽつりと言葉を洩らした。


「あぁ…別に問題はない。俺の親は刑務所だ。何かやらかして今も出られてないらしい。最後に会ったのはだいぶ昔で顔なんて分からないさ。だがいつか顔を合わせてみたいな」

「童は今、誰と暮らしているのか?」

「あー……今は一人暮らしさ。小学校のときは施設だったんだが、今はなんか遠い親戚が金をくれているらしい。」

「それは大丈夫なのか?なんか騙されているようにしか思えんのじゃが」


 彼女は少し俯き一瞬悲しげな表情を見せたがすぐに笑い


「まぁ、たぶん問題ないさ!これはちゃんとしたお金さ。いつかその人とも会うよ。それよりもうそろそろで着くか?」

「ううむ…そうか、童が良ければいのじゃが。まぉ、もうそろそろ着くはずじゃ」


 空を飛び、寒空の下二匹は元いた場所を通り過ぎ、彼女の家についた。


「ほれ、家に着いたぞ。明日迎えに行くからの。色々準備しておけ」


 彼女は八咫烏から降り、こちらを向いて頭を下げた。


「おう!また明日な!送ってくれてありがとな。」

「かっかっ、童は変なところで礼儀が良いな。ふふっ、また明日な」


 そのまま彼女らは別れ家に入っていった。そして風呂に入り飯を食った。


「あーあ……この家からおさらばか。誰との思い出もないがなんとなく淋しいな。よしっ、旅の準備をするか。」


 家の中にある貴重品やら着替えなどを持ってリュックに詰めていく。


「あー……!きつい!だがもう入れるのはこんぐらいか?他にはっと、あっ……」


 そこにはいつの日にかに撮った友との最後の写真だった。少し水に触れたのかぽつぽつとよれている。


「ははっ、どうしてこうなっちまったんだろうなー。あーあ、やめだやめだ。はよ準備するか」


 そんなこんなで準備を進め終わった。


「おしっ、これで終わりと。あーもう三時か……ちょっとでいいから寝るかね」


 ─ガシャンッ


「なっなんだ!ガラスの割れた音か?なんでこんな時に!」


 ガラスが割れどこからか少し涼しい風が入ってくる。だが入ってきたのは風だけではないようだ。

 何か得体の知れない受け入れがたい者も入ってきた。数は三体。何か犬系の耳と爪、顔を持ち下半身は煙のように安定していない。

 どうやらまだこちらに気づいてはいないようだが明確な殺意を持っているのは確かだ。


「うっ……いや、あれ以上の者に会ったじゃねぇか!こちとら人をいつの間にか辞めてんだ!やってやる!」


 彼女は願った。奴らを倒す、絶対に生き残ると。


 ─チリン


「ぅ゙あ゙ッ…がぁ゙っあっぁ゙……がぁっ゙」


 彼女はどんどん形を変えていき獣の姿に化けていった。

 部屋には鏡だってあるだろう。そこを見るとそこには茶色というより黄金色(こがねいろ)と言ったほうが近い毛と大きな耳があった。動物のことを少しでも知っている者が見れば彼女が今、何なのか分かるだろう。


「はあっ…くそっ……疲れてる場合じゃない!」


 先程の変身で気づかれてしまったようだ。奴らがどんどん彼女に近づいていく。


 「くそがっ!」

「「「ガアッ、グルァッ、ガォ゙ル゙」」」


 三体が一斉に爪を向け飛びかかってきた。


「やっべ……いや、好都合!」


 ─ガッヂャーン


 彼女はそのまま横に跳び奴らはそこにおいてあったベットに頭から突っ込んだ。


「ははっ……どうやら物理は通るようだな。だったらまだ勝機はある。だが俺は戦闘経験なんてねぇよ!やっべ、やっべぇ」

 「グァ゙ア゙ッ」


 奴らのうちの一体が口を大きく開け噛みつこうと迫ってくる。当然彼女も逃げるが


「ぃ゙っ、や゙めろ!離せ!」


 いつの間にか一体が彼女の後ろ足に噛みつき行動を阻害。そちらに気を取られているうちに大きく鋭い牙がもうすぐ目の前に迫っていた。


 ─ガブッ ─シュッ


「ははっ……あぶねー」


 彼女はすぐ上を通る奴の体を見てそう答えた。噛まれそうになったとき彼女は体を思い切り捻り足を上げ噛み付いている奴を盾にしたのだ。そのおかげか一体は塵となって消えた。だが


 ─ビキッ


 そのような無茶な動きをしたからか体から変な音がし体が動かしにくくなった。


「(くそっ、あともって数分か。一体いないうちに早く逃げねぇと)」


 彼女はリュックを持ち玄関に駆け出した。だが彼女は忘れていた。あと一体いた事を。


「ガオッ」


 ─ガリ゙ュ゙


「あ゙ッ……ア゙ガッ、ぐア゙っ……ア゙ァ゙」


 肉がちぎれ、喰われ、血が噴き出す。そして先程残った一体も飛びかかってきた。そんな光景に彼女の意識は遠のいていく。そしてその目は赤くどす黒く濁り、瞳孔が開いていった。


 気づけば俺はどこか知らない店の中だった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。今回は初のバトル回ということでいかがでしたでしょうか?うまく書けたか不安ですが楽しんでいただけたならとても嬉しいです。

では前回の小話を、本当はもふもふする予定はなかったのですがちょっと話が硬すぎるなと思い付け足しました。それでは

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