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人未満が行く化け物探し  作者: 猫烏
妖魔となりてこの世を見る
27/43

才能と契約

光の元で生まれ暗い元で生きていく ここから闇に進むか光に進むか 決めるのは貴方しかいないんだ

「えっ嫌です」


 カエンの動きが止まる。雪うさぎはやれやれと言った様子で肩をすくめている。

 どうやら想定されてなかった回答のようだ。


「そこは快く引き受けるのが流れってもんじゃないのか?」

「いやその前に俺は貴方がたのの素性を一切知らんのんですが」

「おっ! それ言ったら入ってくれるんか! そりゃあそうだよな。なんも自己紹介してないもんな!」

「いやっそう言うわk『うちらは法を破りし妖魔を狩り闇に生きる者共“妖魔斬り”や!』話を聞いてぇ……」


 雪うさぎが顔を左手で押さえて上を向いている。

 ちらりと見える顔は白い毛で覆われているが青く染まって見える、気がする。


「はぁ……そんでこいつはここの(おさ)のカエンや。うちぁ(うち)はその補佐である雪うさぎや。よろしゅうな。あとこいつが闇に生きるとか言うちょるがちゃんと政府公認やから安心してなぁ」

「そっちのほうがかっこいいからいいだろ!」

「それでいらん誤解を招えたらどないするつもりや」

「いいだろ! それで困ったこと無いんだし」

「あと普通に痛ぁわ。ほんといつになったら落ち着くんや」

「何をぉ!! お前はもう少し長を立てようという気持ちをなぁ!」


 さっきも見たぞ、この光景。

 喧嘩の間にさっきもらった竹包を開ける。麻ひもで縛られているが緩く、ひもの間に羽を差し込み解く。

 開けるとそこには黒く宝石のように光る羊羹があった。所々に小豆が見えとても美味しそうだ。


 ──パク


(うめっ……あっちじゃなかなか食えん味しとる。まぁ羊羹なんてそんな食う機会ないけど)


 一噛みすれば口の中に小豆の感触と小豆の優しい甘みが広がる。のどを通る羊羹の冷たさも心地よい。

 一口また一口と食べすすめていくうちにいつの間にか無くなってしまった。

 先程までとは打って変わり周りが静かだ。気づけば喧嘩は終わったようで二人は俺を見つめている。


「ほんといい顔しよるな。物あげとおなるやん」

「ふふん、うちが見つけてきたんだぞ。ほれ尊敬しろ」

おまぁ(お前)を、褒めんのはお門違いや」

「何を……いや流石に辞めとくか。さてどう? 入ってくれるか?」


 手を顔の前で組み肘を机においている。顔は笑っている。だが目は笑っていない。

 その隣には雪うさぎが手を組んで少し斜めに立っている。


(だがこれで入った場合長い期間ここに留まることにならんか。もしこれで八咫烏にバレた場合他の場所に行くという手段が消える。これで逃げたらこいつらからも追われることになりそう)

「ちなみになんでうちらがあの場で隠れてたと思う?」


 急にカエンが口を開き言葉を突き刺す。

 自分の心音が速くなる。嫌な予感が頭をよぎり本能がやばいと伝えてくる。


「あれはな実はある()()から情報を貰ってな烏屋(からすや)小鬼(こおに)がある路地裏を根城にしてるとな。それで行ってみたらあら不思議、霧があいつを飲み込んだではありませんか。あいつはなこの都で重要な八咫烏やそれに満たない烏でさえ他の都に売ってたんだよ」


 それは確かにあいつの口から直接聞いている。怯えながらも話してくれた。喰ったけど。


「実はなあいつには多額の懸賞金がかけられてたんよ。さっきも言った通りうちらは妖魔斬りをやらせてもらってる。勿論うちらにも直接依頼が入ってた。それをなぁどっかの馬の骨に取られたんじゃ信用問題に関わってくるんよね」

「っ……」


 圧が一気に強くなる。神のとは系統が違い笑みを含むが絶対に逃さないという気迫は同じだ。


「なぁ……どう落とし前つける」

「ちなみにこれが懸賞金、こっちが依頼金や。ちらっとでええけ見といてな」


 雪うさぎから貰った書面には色々な文と金額の部分であろうゼロがずらっと並んでいた。その数は数えるのが億劫になるほどだ。

 これは……やっちまったかもしれん。


「それに信用も乗っかってくるんよ。なぁどうする? 一緒に働いて金と信用を稼いでくれんならちゃらにする。大丈夫君にはその才がある。この路地裏で生き抜く力がある。それは保証するよ」


 これは逃げられない。逃げれたとしても必ず見つけ出すだろう。そして捕まったら……考えたくもないな。


「……はぁ…………これで断るほうがおかしいっすよ。その願い聞き届けます」

「つうことは……入ってくれるんだよな! よぉーしそうと決まれば、おい! 雪うさぎなんか紙無いか! 裏紙でいいから!」

「はいはい、ここにあります、長よ。あと契約書ぐらいちゃんとした紙で書いてくれや」

「はーい次から気をつけるわ。じゃあここに署名を書い……そういや君は人型にならんのか? ほらこの雪うさぎみたいに」

「いややり方を知らないんで」


 二人、特に雪うさぎの顔が暗くなる。何か変な事を言ったか?


「…………おまぁ今何歳だ?」

「俺は今十五歳だ」

「十五……?」

(ん? あっ……しまった。人の時の年齢言っちまった。大きく見積もっても普通ならまだ俺は巣の中で親から餌をもらってるぐらいだろうな…………あれっ? 固まったな)




「…………なぁ、おまぁはどうやって生きてきたんだ……?」

 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 ここで前回の小話を、うさぎの首周りのもふもふ、これはマフマフと名称がついています。是非とも調べてみてくださいね! 

 もしよろしければ評価もよろしくお願いします。読んでくれるだけで嬉しいのですがまた嬉しさで咽び泣きます。

 それでは次回も是非読んでいってくださいね。

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