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人未満が行く化け物探し  作者: 猫烏
妖魔となりてこの世を見る
22/43

おまけ 森の中での暇つぶし

これは梟に連れて行かれ卵を温めていた3日間のうちの一日の出来事である。

(あーあ……暇だ)


 俺は一人梟の巣で卵を抱え空を見る。

 現在の時刻は昼頃。天気は快晴、雲一つない青空で風もない。


(でも何もすることがないしできもしない)


 現代人からすればこれは絶好の昼寝日和と言えるだろう。木に囲まれ天気も良く下はふわふわの巣だ。

 こんな日は何も考えず眠りたいものだ。昔の俺ならばそう思ったことだろう。

 ここは何もない森。スマホやゲームなどの娯楽が一切無く寝ることと飯を食うぐらいしかやることのない。

 そんな生活をし続けているとどうなる? そう、飽きるのだ。睡眠欲を満たしすぎて寝れんのだ。


(やっぱ娯楽って大事なんだな。こういう日はゲームしながら寝落ちたかったわ)


 もう手に入ることないだろう娯楽に思いを馳せながらぼーっとする。


「ホォー」

(ん? あら珍しい。梟さんどないしやしたか?)


 いつもはいない時間に梟の姿が現れる。

 飯はもう終わり見回りの時間のはずだが何かの気まぐれか、俺の目の前にいつもとは違う風景が目に映る。


「ホォオ」


 ──ペッ


(んあ? なんだこれ? いやでっか)


 目の前に吐き出されたものは俺の一回り小さいくらいのバッタと思わしきものだ。


(なんだただのバッタか。と思ったそこの貴方! 貴方の身長の少し小さいくらいの虫が目の前に置かれたと思ってください。びびるでしょ。しかも俺今たぶんサッカーボールくらいはあるし。この世界は虫もでかいんだなーあはは)


 現実逃避はこのくらいにして……さぁどうしよう。いつの間にか梟消えたし。


(つかこいつ動いてる? 気のせいか)

「ギッ……ギェ…………」




(うぁああぁあっあ!! やっべ一瞬時止まったぞ……あんの野郎生きてる奴持ってきやがって……)


 ガサカザとバッタは足を動かしている……虫は別にさわれるがこれはさすがにくるものがある……。

 どうやら立ち上がる元気はないようで足をばたつかせているだけなので危険はたぶん無いがそれでも怖いわ。

 つかこいつも吐き出されているのによく動く元気があるな。


 (ごほんっ、こいつを持ってきてあいつはまじで何がしたいんだ。そういや暇な時はちっせぇ虫捕まえて遊んでたな……懐かしいな)


 運動会だっただろうか開会式が始まる前小さい幼体のバッタを手に乗せ暇をつぶしていたことを思い出し昔の記憶に思いを馳せる。

 昔と違うところと言えば今は体ほどあるであろうバッタを前にしているところかな。


(体がデカけりゃ今こいつで遊んでたんかな。いや絶対ねぇなこいつデカすぎんだよ。なんだよサッカーボールくらいのバッタって)


 それでも暇には勝てないようでバッタをなんとなく突いてみる。暇には勝てないからねしょうがないね。

 卵を抱えているからか若干触りづらい。ここで理性が戻ってきてほしかったが好奇心には勝てない。悲しいね☆


(こういうのって好奇心は猫を殺すっていうんだっけ。いやまぁそうならんように思考能力は無くさんようにしないとな)


 触った感触としてはほんとにただの虫。

 あーでも柔らかいが硬いとこが普通の虫より多い気がする。えっおもろ。


「ギ……ギィ…………」


 調子乗って突いたせいか時間が経って体力が死にかけなのかバッタの反応が鈍い。割とごめん。


(ちょっ……まじでどうしよなんか罪悪感来るんだけど。うーん……しょうがないがこれをやるしかない……)


 てれてってててー今日のおやつー!




 はい……俺が懐から取り出したのは何かの肉の塊。

 いやいつも朝のご飯くれるとその後は放置だから小腹がすいた時ように毎回ちょっと肉をちぎり取っている。


(まさかこれが役に立つとはな……今日のおやつがなくなるがこれを見殺しにはできんし……さぁ食えはよ食わんと俺が喰うぞ。今ちょっと食欲と戦ってんだから)


 自分の食欲の強さになんだかなと思いつつ口と思わしきところに肉を近づける。俺こんな腹減りやすかったっけ?

 手を噛まれないように肉の端を持っているからか腕が若干痛い。


(てかバッタって草食だけど大丈夫だよな? 一応妖怪だし。食うよな?)


 ──モグッ


 俺の心配なんて知ってか知らずかバッタは普通に肉を食ってくれた。

 この世界の生き物はあっちの世界とは違うことを実感する。


(なんつーかあれだな、可愛いな。俺は何を言ってんだ…………いや傍から見ればでかい虫なんだがやべーな愛着がふつふつと湧き出てくる……ちょっ誰か俺のメンタルケアを! ってそんなのいねーよ!)


 頭の中で叫びながら一生懸命肉を食うバッタを見る。頑張って食っていて可愛い。

 しばらくして手元にあった肉はすっかり消えてこいつの腹に収まった。

 まぁ肉はもったいない気もするがこいつが助かったのならええか。


「ギィ! ギェェ!」

(おぉ……肉美味かったか? ふふっおいおい頭を擦り付けんな。いてぇしでけぇ……まいったなぁ……)


 なんか懐かれた。こんなでけー虫に懐かれても感はあるがまぁいいか。

 いやー元気になって良かった良かった。いい暇つぶしだな。

 空はまだ青く赤くなる気配なんて微塵も感じない。もうしばらくこのままでいるか。


(そういやなんか忘れてる気がするなんだっけ……?)


 ──ドンッ


(なんだ?! 敵襲か?)

「ホォッオ」


 地面が大きく揺れる。敵襲かと思い辺りを見渡すとそこには見知った顔があった。

 できればもっとゆっくり降りて欲しいとは思う。貴方自分のお子さんがいるんだぞ?


(してどうした梟さん?)


 梟は何かを探すようにキョロキョロあたりを見渡す。そしてある一点に目線を集中しだした。

 勘のいいガキの皆様ならお分かりでしょう。そうあのバッタだ。今俺の腕の中に収まっているあのバッタだ。


 ──バクッ


「ケプッ……ホォッ」


 俺が止める暇もなく梟は器用に卵にも俺にも触れることもなくバッタをつまみ口の中に放り込んだ。


(今思い出した。結局梟があのバッタをここに運んだ理由が分からなかったがそういうことね。うん、そうかそうだよな。獲物を巣に運んで食うことぐらい大したことじゃないよな)


 ──バサッ


 梟はそのまま飛び立ち一瞬にして俺の目の前から消えた。いつもながら移動が速い。

 そして俺は今日あることを学んだ。


(自然ってやっぱり厳しい)

 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 最後の方まで書く内容が決まらず苦労しました。

 それでは前回の小ネタを……

(ここから入れる保険はこれしか無かった)

 これはそのまんま“ここから入れる保険はありますか?” が元ネタです。

 それでは次回も是非読んでいってくださいね。

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