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人未満が行く化け物探し  作者: 猫烏
妖魔となりてこの世を見る
20/43

生まれた命と死を運ぶ命

恐怖? 大いに結構 それを乗り越えるためにここにいる

(へっ? あっこれまさか……!)


 俺の耳に届いたのは眠い気持ちはどっかに吹き飛ぶ程の音。

 その音は小さく、でも確かに命の誕生を決定づけていた。

 卵のヒビはどんどん広がっていく。中からはクチバシが覗いている。


 ─パリッ バリッ バキッ


「ピッピィ…」「ピィィ」「……ピィィ」

(かっ……孵ったぁぁぁあ!!!)


 目の前には卵の殻を被った真っ白なヒナが三匹並んでいた。

 もうとにかくモフモフで、ものすんごい可愛い。えっ待ってかわよ。


「ホォー!」

(あっやっぱ来るよね我が子が孵ったもんな)


 いつもはいない梟の雄叫びが聞こえる。

 そっちの方を見ると遠くの方から突っ込んで来る……えっ大丈夫これ?

 俺はつい目を閉じてしまったが逃げれば良かったと後悔中。


 ──ブワッ タッ


(ん……?)


 俺が目を開けるとそこには凄惨な惨状が、ということはなくそこにはヒナと戯れる梟の姿があった。

 なにかよく分からない餌をあげている。


(これは俺はお邪魔ですかね。えーでは炎の体要員は退散いたします)

「ホォッ」


 俺はそのまま帰ろうとしたが後ろから声がする。この三日間ずっと聞いてきた声だ。

 たぶんヒナに向けての声だろう。うんきっとそうだ。


「ホゥオッ」

(ぐえっ……爪! 爪刺さってる! 肩! 肩を掴むな! 分かった! 分かったから! はいはい戻りますよ。散々利用して食うなんてそりゃないよ……うっ?)


 なんか差し出されてる……見た感じ白い羽のようだが、たぶんこいつの羽だろう。

 これをどうしろと? 


「ホウッ」


 ─ブスッ


(いっ……! 急に頭を突くなよ! いってぇな……あれっお前羽どこやった?)


 頭を擦りな……あれーなんか頭にすごい違和感あるな。

 なんか一本だけふわふわしてる何かが頭から生えている気がする。


(…すぅ…………。お前羽を刺すなよ。いや貰ってもずっと持っとくわけにもいかないから楽っちゃ楽だけど)


 これは確認するまでもない。頭にこいつが羽をぶっ刺したことなんて。

 これはこれまでのお礼ということだろうか。ふと前を向くとなんとなくだけど梟が笑っているような気がする。なんとなくだけど。


(ふふっ……お礼もされたし笑顔も見れたしなんだかんだこんな生活も良かったな。さぁっ無事に産まれたし俺はそろそろお(いとま)しますかね)

「ホォオッ」


 巣を降りてまだなんかあるのかと振り返ると梟が巣の中から片翼を挙げているのが見えた。

 この森にも挨拶ってあるんだな。俺は見えるかもわからない小さい手を挙げ手を振り替えした。







 ようやく木の洞に帰ってこれた……あそこがどこか分からず、さ迷ったがようやく帰れた。

 もはや迷子になりすぎて何となくで帰れるようになっちまったよ。

 時刻はたぶん昼頃少し曇りではあるが雨が降るまででは無いだろう。白い雲が空をゆったり泳いでいる。風は多少あり、だが強くなく微風(そよかぜ)程度だ。


(時間の余裕はありますかね。それじゃあ敵情視察のお時間です! この三日間ずっと暇だったんだ。そろそろやってやろうじゃないか!)


 もはやいつもの洞穴になった洞穴についた。

 一応トラウマの場のはずだが今の気分はピンポンダッシュする悪ガキだ。

 割とワクワクしてる気持ちは一旦置いといて……


(集中……はっっ!)


 ─ボワッ


 久しぶりに霧化したがなんか割とでかいな。やっぱり元の体積が増えると霧状態でも影響あるんかな。

 久しぶりの洞穴は覗くと中は薄暗く見えづらい。中からは湿っぽい空気が外に流れてきている。

 だが不思議と前のような恐怖は薄れている。


(俺が成長したか恐怖感がバグり散らかしてんのか……それともはたまた別の要因か。まぁ考えてもしょうがねぇか、行くぞ)


 俺は洞穴に足を踏み入れる。そのまま前回探索した地点まではすんなりこれた。

 周りは石の壁だが蜘蛛の巣だったり光るコケが怪しく光る。地面には少しずつ骨も落ちている。流石にあいつは骨は食えんようだな。

 ここからは未知の場所だ。この先に待つのはあいつに勝つための手がかりかそれとも絶望か。


(さぁ何がでてくるかな。お宝(弱み)だと嬉しいが……ん? ちよっ……)


 ──ブンッ ドンッ


(えっ……怖っ)


 先程までいた場所にはでかいクチバシが突き刺さっている。少しでも反応が遅れていたらここには俺の体も突き刺さっていただろう。

 いやこの洞穴石製なんですが。バケモンかよ。


(ごめんそうだったわ。そんでここにはバケモンしかいないし俺も化け物側だわ)


 俺の目の前にはいつの日かのトラウマさんが立ち塞がる。

 やっぱりでかい、なんでこんなとこに住んでいるのか不思議になるくらいにはここに見合わない体躯をしている。


(やっちまったなぁ……寝ぼけてたりとかは……あー駄目そうっすね)


 前は塞がり後ろには何もいない。これまで通ってきたから危険はない。

 逃げるしか…………何最初から逃げる気なんだよ俺。


(あーあ駄目だな。これまでぬるま湯に浸かってた弊害がでた。逃げる? 少しはトラウマなくなったと思ってたが心の底では怖いんだな。はっ! 馬鹿言ってんじゃねぇ。殺るぞ)

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 ここで前回の小話を、と言いたいとこですが前々回の小話です。前々回の悪い魂がじゃないよは元ネタはスライムですね。この構文使い勝手良くて好きです。

 それでは次回も是非読んでいってくださいね。

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