梟に連れ去られた烏
夜にギラリと目が光り 誰かを飲み込むチャンスを狙っている その目瑠璃色に染まり 光の尾を作り静かに後をつけてくる
(次会うときは化けれるように、ね……まったく、難しいことを軽々と言いよって。俺もそろそろ、因縁を解決せんといけんかね)
俺の因縁、あの洞穴のバケモノだ。あいつを倒さないと俺は成長できない。というより俺が俺を許せない。
実際あのバケモノを倒すのが成長できる一番の近道だ。このままだと化けれるようになるまで何年、いや何十年は掛かるだろう。
これは俺の勘でしか無いがこの勘を信じなかったせいで酷い目に遭ってきたのは事実なのだから信じる以外に道は無い。
俺は空を仰ぐ。天には一番星が浮かんでいた。俺はその星に決意を込める。
(絶対に勝つ)
(てか寝ちまって全然眠くねぇな。朝までどうしよ…………ふふ、こういうときこそ敵情視察だろ!)
俺はあのトラウマの地でもある洞穴に足を運んだ。ついでにあの木の洞も見つけれたし万々歳だ。
洞穴を覗くと中は妖気で満ちていた。初日はただ嫌な気しか感じなかったがそれは正しかったようだ。ここはあいつの縄張りだ。ここに近づくなという感じがひしひしと伝わってくる。
(俺こんな中よく寝れたな。我ながら凄いよ。いやただの馬鹿か)
ごほん、俺の馬鹿さ加減を再認識してしまったところで早速潜るか。だが危険だしとりあえず……
(すぅー……霧化!)
─シュゥウ
とりあえず霧化し少しでも気づかれないように行こう。大丈夫、虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。
俺は洞穴に足を(足ないけど)踏み入れた。
中は暗く少し中の方から風が吹いている。たぶん向こう側にも出口があるのだろう。
霧化のときは環境の変化が分かりやすいのだから便利だ。
「キェエェエエェ!」
(うおっ……あいつの声か。寝起き一発目の咆哮と言ったところか)
ここで帰るか、それとも進むか。いや、帰ろう。予想が正しければこいつは夜行性だ。
それなら昼に来て少しでも安全に探索したほうがいい。
(俺だって命が惜しいんでね。できるだけ安全に進ませてもらう)
俺はそのまま洞穴をあとにした。
少し夜が更けてきたか。先程より星が増えている。もう少しで満天の星空と言ってよいだろう。
だが全く眠くない。しょうがないから夜の探索としよう。
なんだかんだこれまでの習慣が体に染み付いて夜は寝ていたから夜の探索は初めてだ。
辺りは寝静まり昼もあまり騒がしいとは言えないが夜は更に静かで不気味だ。例えるなら幽霊が出そうな雰囲気と言えばいいか。
(いや俺が幽霊側やねーん、てね)
ちょっと心臓がひゅってしたが元気だから問題ない。うん、問題なんて無い。
辺りをふわふわ漂っていると急に体が浮かんだ。
(いやいつも浮かんでるだろっていうそこの貴方! 違うんですよこれが、何ていうか高度が急に高くなると言いますか……体が上に引っ張られる感覚と言iぶぇっ!)
「ホォーホォー」
(えっ? ちょっ……これやばくね?)
俺はそのまま大きな鉤爪にガッシリと掴まれ、掴んだ者はその大きな翼をはためかせた。そのまま俺はいつもの漂うスピードとは比べ物にならないぐらい速いスピードで連れ去られた。
──ポサッ
(うえっ……気持ちわりぃ…………ようやく止まった……)
あのまま結局止まることなく目的地だろう場所まで運ばれた。
気分はまるでジェットコースター、俺に吐く器官があれば間違いなく吐いていただろう。今時ばかりはこの体に感謝する。
ここはどうやら巣のようだ。枝と葉で作られておりふかふかだ。んでなんで俺はここにいるんだ。
(俺、どうなるんだ。えっまさか食われる? いや俺に食うとこ無いですよー)
「ホォーホォ ホォーホォー」
(何か言っているが言葉が分からない。えっ他の魂は言葉分かるのか。俺だけ? 言葉分からんの)
そいつは体は羽毛で囲まれ真っ白である。動物で例えるならシロフクロウだろうか。
梟と思われる者は翼を広げ何かを訴えている。ん? 翼の先か?
俺が翼の先を見てみると卵が三つ置かれていた。なんとなくやって欲しいことが分かった気がする。
(これ……俺に卵温めろってことでいいのか? なんでわざわざ俺に頼む…………)
「ホォッ」
梟は「そうだ」と言うように首を縦に振った。予想が当たってほしくないものに限って当たる。いや食われるよりいいんだけどね。
ここで断ってもこいつは俺を殺してまた魂を探しに行くだろう。俺のようなやつはごまんといるんだし。
これは断る理由がない、というか断れない。
(はぁ、はいはい。やりゃあいいんでしょ。このあと殺すとかは勘弁してくれよ)
「ホォ!」
梟はそのまま満足したかのように一声鳴き飛び去っていった。
たぶん飯でも取りに行ったのだろう。
できれば俺の分も取ってきてくれないかな。ちゃんと腹減ってきてるし餓死するよ。
だが俺は少し温かな卵の抱いていたからだろう。あんなに眠くなかったはずなのにそのまま夢の世界に旅立った。
「ホォッ?」
(ん? うおっ……ひびった。えっもう朝なん)
俺が目を覚ますと目の前に卵とでかい梟が目に飛び込んでくる。近いって。
辺りはすっかり朝になり空は青く白い雲がゆったりと動いていた。今日は晴天で探索日和だろう。
だが俺は此処から動けない、少なくともこの卵が孵るまで、もしかしたら孵ってからも世話をするかもしてない。そんな想像が俺の気持ちを沈ませていく。
(動物は好きだけどさー……まぁいいか)
「ホォホ」
(ん? なんだこれ)
梟が差し出したのは最初に戦った獣だった。
形こそ戦ったやつそのものだ大きさがまるで違う。戦った方は俺と同じくらいだったはずだがこいつは俺をゆうに超えており俺を一呑みできる大きさだ。
(…………俺はコイツに逆らわないことをここに誓おう)
「ホォー」
(はよ喰えってか? へいへい、喰いますよ)
─モグッ ボワッッ
俺は獣を喰った。
すると俺の体は大きく膨張し体の奥底からなにか熱い熱が体全体に広がっていく。
(はっ! なんだこれあっちぃ……毒でも入っていたんかよ…………ふうぅ……ふぅぅ……きちぃな)
「ホゥ ホォッオ ホォ」
なぜかは知らないが梟は満足げだ。これだと体温が卵に伝わっ……あぁ、これが目的か
(なるほど体温高めて孵化を早くするってか。自然界ってよく出来てるねー。いややられる側はそれどころじゃねぇって! きついよこれ!)
だが体も大きくなったし腹が膨れたのも事実だ。
これで強くなったのであればこれをやった意味もあるってものなのか? 気持ち的には微妙だがこいつらが孵るまでは面倒を見てやろう。
そのまま俺はこの巣で過ごした。日にちにして三日くらいだろうか。
これまでで分かったことと言えば梟は朝に一旦帰ってきて俺にあの飯をくれた後はどっかに行くと言うくらいだ。
まぁここからでられないのだから情報なんて集められないんだがな。ほんと暇で仕方がない。
だがこれまで与えられた飯の力で体は成長し、だいたい飯の黄色い獣と同じくらいにはなった。
(ほんと飯の力って偉大なんだな……あんなに苦労したのにすーぐでかくなれた。にしてもこいつらそろそろ孵らねぇかな。 ふぁぁーぁ……ねみぃ)
──パキッ ペキッ パキン
最後まで読んでいただきありがとうございます。
なんか3000字までいきました。不思議ですねー
ここで前回の小話を、虹が二重にかかるのはダブルレインボーと言われています。ちなみに虹は元々二つあるらしいですよ。
それでは次回も是非読んでいってくださいね。




