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人未満が行く化け物探し  作者: 猫烏
妖魔となりてこの世を見る
14/43

獣の勘というべきか

足掻いて足掻いて足掻き続けろ たとえ道が見えずとも 足掻いていれば光が灯る

(うーん……なかなか居ないな。あれから一匹も見てねぇ……)

 俺は行き詰まっていた。なぜかって? そりゃ喰えそうな奴が居ないからだ。

 先程から探してはいるが気づけば日は傾き夕刻。辺りは赤く染まり木々の葉は赤く照らされていた。


(こりゃ今日は一旦休むか? でもなー……はよこの体どうにかしたい気持ちもあるんだよなー)


 そんなことを考えてふよふよとさ迷っているうちに洞穴を見つけた。


(おっ! こりゃいいもん見つけた! 見た感じ熊やなんかは居ねぇみたいだし……ちょっと借りますねー)


 中は意外に温かく多少嫌な気は感じるが過ごしやすそうな感じではあった。


(うん! 問題なしだな! はよ寝て朝早く動くぞー)


 ──ドクン ドクン


 俺がこの時の心臓の音をちゃんと聞いておけば、自分の勘をもっと信じておけば良かったと心底後悔するのは少しあとのお話。


(うん? んあ?  あっ……)


 俺が目覚め最初に見たのは大きく開けた口だった。


 ─ガゥ゙ブ ジュ


 俺は迫りくるクチバシを横に転び何とか避けた。急に体を回転させたからか少しふらつく。

 だが少し間に合わなかったのか尻尾(?)の先が少し消えている。

 

(ひぇっ。あっぶねぇ……なんか前も食われかけたぞ。弱肉強食を体験するとは思ってなかった。いや我ながらこんな状況で変なこと考えているの怖いだろ。ひとまず……)


 ──ブワッビュッン


 俺は洞穴から抜け出すため体を伸縮させゴム鉄砲のように飛び出す。


(アディオス! お部屋に勝手に入ってすいませんでした!)


 目指すは夜の黒さが輝く洞窟の先。後ろを振り返らず全速力で駆け抜ける。

 だがそれは許されなかった。


 ──ガブッ ビュッン ドゴォン


(いっ……! てぇな!)


 尻尾を噛まれ思い切り壁にぶつけられた。

 その衝撃で頭が回り地面に落ちた。


(くそぉ……こちとらついさっき生まれたばかりだぞ! 手加減しろよぉ! まじかぁ……死ぬ)


 目の前には広い洞穴が窮屈に感じるほどの図体とバケモノ。

 俺が死を覚悟した。

 今までも死に直面することはあったが今回のは違う。

 何もできない、何をしても抗えない。圧倒的な力の差。

 だがバケモノは急に興味を無くしたのかそのまま洞穴の奥に帰っていった。

 だが俺は見逃さない。バケモノが帰る一瞬こちらを見てニヤッと笑ったのだ。

 俺は見逃されたのだ。取るに足らない奴だと、こんな奴腹の足しにもならないと。

 俺はそのまま逃げるように洞穴をあとにし昼の時に見つけておいた川に帰り地面に降りた。



(あーあ……生き残ったな。そりゃ生きててよかったよ。そりゃあね。死ぬよりマシだよ)


 俺の信念は必ず何があっても生きることだ。それさえできればどうにかできると思っていた。


(だがこの気持ち悪さはなんだ? あ、あぁ……そうか……あのままあいつから逃げて成長することはできる。でもさぁ、ね。こりゃこのまま逃げんのは癪に触るよな。ははっ! こりゃ目標が増えていくなぁ! 全く! できねぇのにやりたいことばかり増えていく! ひとまず寝て怪我治すぞ)


 俺はそのままそこら辺にあった木の洞に入り込み朝を待った。



 俺が目を覚ますとそこには何もいない。

 朝の日差しが差し込む天気のいい日。木々が揺れ心地の良い風が吹く。


(ひとまず何をすれば強くなれる……何をしたらあいつに勝てる? ひとまず俺が今できること挙げてみるか。まずは自分のことからだよなー)


 それから俺はひとまずいろいろいじってみた。

 昨日使った体を伸縮させてスピードを出したり、魂は煙っぽいし広げられないかなとやってみたがちょっと横に広がっただけで特に使えそうではなかった。


(うーん……言いたくないが一個思ったことがある。俺、弱くね。いや分かってたよ、うん。生まれたばかりだもんな。赤ちゃんだからしょうがないよな。それにしてもじゃね? だってあとは魂喰うときに使った噛みつきだけだぞ。あれしかないぞ。攻撃方法)


 どうしたもんかと頭を悩ましているとちょっとした疑問が浮かんできた。


(そういやなんで体伸縮させるだけであんなスピード出るんだ? あれって地面ないとできんだろ。ひとまず疑問は即刻実験!)


 ──ビュッ タッ ビュゥン


 調べてみた感じどうやら尻尾が踏み込んでいるのは空気中に紛れている小さな妖気らしい。

 尻尾から着地すれば妖気に触れれるらしく跳ね返ることも可能だ。


(これ突進に使えそうだな。連続で踏み込めばこれ威力高められるくね)


 ──タッ、タッ、タッ、ダッ! ドォシィンッ


(うわぁ……やべぇ……えー、こわっ)


 でかい大木に穴が空き大木はその重さに耐えきれずそのまま倒れた。


(えぇ……いやまぁ、これは使えるよな。てか腹減ったな……腹ないけど)


 ──グゥアアァ!


 その時目に映ったのは怒り狂う俺と同じくらいの獣だった。どうやら木を倒されたことに怒っている様子だ。

 その獣の周りに雷が走り黄色い衣ををまとっている。目は赤く血走り正気ではない。


(そりゃ家壊されたんならそうなるわな。だがこちらとしては好都合。早速試させてもらうぞ!)

 最後まで読んでくださりありがとうございます。

 ここで前回の小話を、空を飛んでいる鯨はある妖怪の映画がモチーフです。あの実写化凄かったです。

 それでは次回も是非読んでいってくださいね。

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