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人未満が行く化け物探し  作者: 猫烏
妖魔となりてこの世を見る
13/43

どこか知らない別世界

人の形失おうとも生きていれば必ず道は開かれる それを掴むのは貴方次第 その時を見逃すな

 俺はいつの間にか本当に化け物になっていたようだった。

 地面に足は無く手も無く体は煙のようにゆらゆらと揺らめいている。


(ここまで生き物としての形を失うとは思ってもみなかったぞ……ひとまずここから脱出するか。)


 辺りを見渡すと扉なんて無くただただ白い壁が続いていたが空気穴と思わしき小さな穴を見つけた。


(なんかあったがたけぇな。んー……わんちゃん煙っぽいし飛べねぇかな?)


 ──フワッ


 飛ぼうと体を動かしてみたがまるで元から煙だったかのようにすんなりと飛んだ。

 だがそれはもう体のそこから人ではないということを嫌でも思い知らされる。


(あーあ、俺もう人じゃねぇんだな。これわんちゃん夢か。はぁ……。いや、そんな現実逃避してないでさっさと動くか。今はこんなことしてる場合じゃないな)


 飛んで穴を通り排気管と思わしき場所を進んでいく。周りは灰色一色で暗く本当にこっちでいいのか分からなくなっていく。

 しばらく飛んでいくと目線の先がちらりと光り明るい光が差し込んでくる。


(お! やっと出口か!)


 排気管を通り出口にたどり着くと目に景色が飛び込んできた。


(なっ、なんだこりゃ! ここどこだよ! えっ、いやほんとにここどこ?!)


 俺の目には明るく人通りが多い町が広がっていた。

 それだけなら何の不思議も無いがそこで暮らすものが奇天烈な者たちだった。

 ある屋台では体から舞い上がる炎を使い肉を焼き、あるところでは腕の刃を使い彫刻を仕上げ売っていたり、空では龍や鯨が飛び海を見ると赤いエイが広がっていた。


(え? ちょっ、えっ? どういうことだ? ふはっ! なんだか分からんが絶対面白い! なんだあの屋台! 氷生み出して氷像作ってる! すげー! 行きてー!)


 目を輝やかせどこに行こうか迷っていると後ろから声がしてくる。

 どうやら今俺が出てきたところは城のようでかなりでかい。


「妖華! どこ行きよった! どこじゃ!」


 聞き覚えのある八咫烏の声が聞こえてくる。どうやら俺を探しているようだ。

 しかもかなり焦っているようで中からドッタンバッタンと物にぶつかる音が外の方にも響いている。


(やっべ、このままだと見つかって連れ戻される……それだけはごめんだ。ひとまず移動するか)


 俺は急いでその場から離れ少し遠くの雑木林の中に身を潜めた。どうやら人の手は入ってない様子で木々が生い茂り荒れきっている。

 ふと先程までいた方向を見ると烏と思わしき者が空を飛んでいた。何かを探しているようで辺りをキョロキョロと見渡している。

 十中八九俺だろう。


(くそぉ……しばらくは町行けないかもな……いいや、いつか行ってやる。そういや一旦これからの目的をおさらいするか)


 頭の中を整理する。どうやら記憶がなくなっているわけではないようだ。しっかりと今までの記憶が出てくる。


(えぇーと、まず第一目標は俺がこんなことになった元凶である爪痕と化け術を刻みやがった奴を見つけ出しぶん殴ること。それと舎弟の故郷を見つけ出し観光することだな。結構少ないな。おっし! 目標も確認できたしそろそろ動くか)


 辺りを見渡すと川がありキラキラと光が反射している。


(おっ! 川見っけ! いやーサバイバルの基本は水探しだよな。まぁこの体が何食うか知らんけどひとまず飲んでみるか)


 ──ゴクッ


(味がしねぇ……いや分かってたよ。舌どころか口ねぇもん。いやこれどう飲んでんだよ。うん、目標増えたな。ちゃんとした体手に入れよう。うまいもん食おう。しっかし今はただ目標が増えただけだ。どうしたらこの状況を打開できる)


 目をつむり俺が考え込んでいると舎弟の言葉を思い出した。


[妖魔を喰い妖気を溜め人の姿に化け続けろ]


(そうか……そうだな! そうと決まればなんかいないかなー)


 森の中を見渡すとふよふよと浮かぶ魂と思わしきなにかがいた。

 それは青白く光り意識無く漂っている。


(こいつ喰えそう。いける)


 ──グアッ ガブッ


「グエッア!」


 ──ジュッ


 喰った。

 そう思った瞬間魂は物が焼けたような音と匂いと共に俺の目の前から煙のように消えた。味はなかった。


(うおっ! なんか消えやがった。これで喰ったっていう判定になんのか? ん? なんか変わった気がする! いや気のせいかもしれんが! 今はなんか進展したってことが大事だしそういうことにしとこう! うん!)


 俺は頭の中で騒いでいた。

 声も出せず声を出す相手もいないとこうなるのは俺の悪い癖だ。いつも頭の中がうるさい。

 だがこれをやめれば意識を保てないことはなんとなく分かっている。


(はぁ…………俺無理してんな。まぁしゃーないよな。いつの間にか人間辞めてなんなら生き物すら辞めてんだから。いいやとにかく目的のためなら何でもやってやる)


 俺は傍から見れば絶望のどん底にいるだろう。だが俺はどこかワクワクしていた。

 これは俺特有の楽観的すぎる性格のせいなのか。それとも狂い始めているのか。それは分からないがこれだけは言える。


(人生って楽しんだもんがちだよな)

 最後まで読んでくださりありがとうございます。

 ここで前回の小話を、ウミヘビは魚類と爬虫類がいますが舎弟君は爬虫類です。そしてピット器官は魚を食べる蛇にはついていません。

 それでは次回も是非読んでいってくださいね。

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