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異世界に行ったのに現実に送り返されたんですけど?クーリング・オフですか!そうですか!  作者: カモノハシ


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龍の国につきました!



俺はこのトラベルポートの光景に目を囚われていた。



少し見渡せば多くの見知らぬ種族が目に映る。



全身に毛を纏った、それこそ獣のような人間が見える。

あれは獣人というモノだろうか。



少し奥には極端に背の低い、鼻の大きい筋肉質な男がいる。



ドワーフだろう。



・・・驚いた。メデューサであろう外観の女性が仲良く魔法使いのような男性と話している。



「ここにいる人たちは温厚なんだな。」



俺はイシヤに話しかけた。



「そうだね。まあ各地のトラベルポートは人間が管理しているからね。人間と関係を築ける者しかそもそも利用できないんだよ。」


「じゃあここにいる人(?)たちは人間の仲間なのか。」



「中には種族としては凶暴だから利用できないけど、知能の高い温厚な個体のみ利用が許可されているとかもあるみたいだよ。」



「へぇ。なんでも知ってるんだな。」



「この世界に来て1年は経つからね。それに僕は気になる性分なんだ。」



などと会話をしていると、背後から聞き慣れた女性の声が聞こえた。



「やあプー。久しいね。」



げ、この声はショギョウ公卿の声だ。



「ご無沙汰してます先生!」



一応言っとく。面倒くさい人だから。



「うむ、良い心がけだぞ。さて、そちらの方は?」



ショギョウ公卿の目配りと共にイシヤは答える。



「初めまして、イシヤと申します。オクダケイ君の友人です。医者として龍の国に行く用事があるので付き合ってもらっているんです。」



「そうか。・・・ふむ。しかし残念だ。彼には私の用事を手伝ってもらおうと思っていてね。」



そう言いながらショギョウ公卿は俺の肩に手を添えた。



「ああ、そうだったんですね。残念です。」



イシヤはわざとらしく残念ぶったような身振りで答えた。



そしてショギョウ公卿はイシヤに笑顔を向けながら、「さあ行こうか」と俺の肩に力を入れ、踵を変えさせた。



だが、ショギョウ公卿はそのまま俺を帰すために進ませるわけでもなく、何かを考えるように俯くと、イシヤに対してこう言った。



「私の用事は場所を問わないんだ。イシヤ君さえ良ければご一緒したいと思うんだが、どうかな?」



俺は思った。それはごめんだ、と。



この女には何度も殺されている。一緒にいて気が休まるはずがない。



なんでなんですか、先生。



・・・しかし、俺の脳内での問いかけはまるで聞こえてすらいないかのようにショギョウ公卿は顔色一つ変えなかった。



そしてイシヤはショギョウ公卿の提案に答えた。



「いやいや、ご遠慮いたしますよ。僕一人で行きますし、オクダケイ君とはまた今度ゆっくりお話しします。」



やだ、俺もそっちがいい。



するとどういう風の吹き回しか、ショギョウ公卿はそれに対して食い下がった。



「そうか。まぁ、せっかくの友人なんだろう。用事の代わりはこっちで用意しておくから、行っておいで。プー。」



俺はショギョウ公卿にイシヤのいる方へとドンと背中を押された。



何故かちょっと強めに。



そしてショギョウ公卿は一言だけ付け加えた。



「私は運気を信じる口でね。乗る便を1本だけずらした方がいいよ。・・・それじゃ、楽しんで。」



そうして、ショギョウ公卿は僕たちの前から人混みの中へと姿を消した。



「・・・どうする?一本待つ?」



イシヤが俺に尋ねる。



「そうだな。悔しいけどあの人の言うことだ。何か意図があるんだと思う。便を一本ずらせるか?」



そうして俺たちは次の便を待った。



30分ほど待った頃、アナウンスが鳴り響いた。



「こちらスマトラートラベル。アストレア王国アズ・アストレア水城発、龍の国シェンラン古山行き31時便、只今搭乗を開始いたします。」



俺は思わず呟いた。



「かなり空港だな。」



収斂(しゅうれん)進化みたいなものなのかもね。」



「しゅう・・・まい?」



「しゅうれん。全く別の生物が別々に機能性を求めた末に同じような形態に行き着くことさ。」



「ふーん。つまり便利さを追求した結果、うちらの世界と似たような形に落ち着いたってことか?」



「そういうこと。」



そしてイシヤと俺は話しながら立ち上がり、乗り場に向かった。



その後の流れは基本的にはやはり空港と同じだった。



煌めく石(これがトラベルポートの源なのだろう)に隣接してある台に乗り、乗務員の案内を聞き、客の全員が台に乗る。



そして、乗務員の出発前の最終アナウンスと共に、ファストトラベルが始まった。



まずは煌めく石が紫色に激しく輝いたかと思うと、その光が石全体を大きく包み込んだ。



その後、昔見た宇宙SFのワープのように景色が視界の中央に引っ張られ始め、やがて視界は真っ暗になる。



そして数えること8秒(数える必要はないが、俺は数えていた)。



今度は先ほどとは逆の流れで目の前に景色が広がっていった。



そしてまた、アナウンス。



「只今龍の国シェンラン古山に到着いたしました。」



特に一本遅らせた意味があるようには感じなかったが、何はともあれこうして無事に龍の国に辿り着いた。

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