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異世界に行ったのに現実に送り返されたんですけど?クーリング・オフですか!そうですか!  作者: カモノハシ


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龍騎士ルカと忘れ物




「起きたまえプー。いつまで人の太ももに吸い付いているつもりだ。」




目が覚めると俺はショギョウ公卿の脚を抱えていた。



しかし、先ほどまで何度もこの女とメスガキによって殺されていたのだ。




もう少しくらいは気を失ったフリをして太ももの味を楽しむとしよう。




あぁ・・・先日のブルーレの腿に挟まったことを思い出す。




あの脚は至高そのものであった。




滑らかで、毛穴どころか影すら打ち消す純度の極高い乳白色。




少しミルクに近い甘めの香り。




汗はベタつかずサラッとしていて・・・




「良い身分だな。人の太ももに抱きつきながらも他の女を思い出して欲情するなんて。」




・・・ショギョウ公卿は人の脳内を完璧に読むことができる。



忘れていた。やっちまった。




・・・また、殺される。




こうして俺は何回目かの殺害を受け、目を覚ました。




「命が軽くてよかったな。プー。」





ショギョウは目を細めてこちらを見つめている。




・・・見下しているようだ。




「さて。プー。君の身体で実験をいくつかしてみた訳だが、分かったことがいくつかあるからそれを説明しよう。」




俺は正座をしてそれを聞いた。





「まず、根本的にお前はやはり無能力者で間違いない。ステータスも軒並みDランク相当だ。」




俺の眉間にシワが寄ったのが自分でも分かった。




そんなはずはない。



何度殺されても蘇る不死、その度変わる特殊なスキル。地面を破壊するほどのパワーにもなる流動的なステータス。




特殊な力じゃない・・・わけがない。




ショギョウは続けて口を開く。



「ただ、一つだけプラチナトロフィーによって異様に上昇しているステータスがあった。それが、残機だ。お前は100つの残機を保有して生まれたのだ。」




残・・・機・・・だと・・・?




「しかも死ぬたびに新たなステータスを持って再誕する。この際はスキルも含んだ全ステータスが再抽選されている。そしてステータスの変動は規則性がなく、次死んだ時にどんなステータスで生まれるのかは分からない。・・・ただまぁオリジナルが酷すぎる性能をしているから、基本的にはその上位互換が生まれるだろうが。」



それじゃまるで・・・




「生まれ変わりだな。」




ショギョウは俺の思考をなぞるように答えた。





「そして100の残機を保有して生まれたと言ったが、先の戦争で3つの残機を失ったな。だからお前の残機は97だ。」




なるほど。




・・・あれ、なんでこの人俺が戦争で死んだ回数を知っているんだ・・・?




ふとここでショギョウの表情が申し訳なさそうな顔になった。


「・・・いや、すまない。」



ショギョウはわざとらしく顎に手を置き、眉毛をハの字にしている。



「実は実験が(たの)・・・捗りすぎてつい、私とメスガキで殺しすぎてしまった。お前の残機は、残り20だ。」




・・・え?




77回も俺この人たちに(むだづかい)されたの!?!?





「私はこう見えて運気を気にするタイプでな。お前に幸運が訪れるように、と願掛けの意を込めてラッキーセブンに合わせてやったんだ。」





いや既に77回も不幸を迎えたんですけど!!?




「それと、原点回帰が座右の銘だと聞いてな。どうやら10回刻みでオリジナルのステータスに戻るようでな。今のお前はオリジナル・・・つまり、ステータスオールDの無能力者だ。」





原点回帰なんて人生で一度も考えた事ないですけど!!??




「だが有益な事も判明した。先ほど規則性がないと言ったが、いくつかの要素が同じ条件で死んだ場合は同じステータスになるようだ。それら条件はメモしておいたから何度も読んで落とし込むことをオススメするよ。」




俺はショギョウからメモを受け取る。




「さて。説明は以上だが質問ある人はいるか?」




「先生が和ませるためにやるやつをこの状況でやるなよ!」




「ないなら先生はもう行くからな。・・・行くぞ。メスガキ。」



あるって!大アリだって!

質問というか文句というか、とにかくあんたのした事に異議あるって!!!!




「・・・今日のテンションは少しウザいな。」



ショギョウはそれだけ呟くと、メスガキの背中を押す形で先導し、奥の鍵のついた部屋へと帰って行った。




取り残された俺は心をモヤモヤさせたまま、部屋を後にした。




気分転換を兼ねて俺は来た道ではなく、地上階の通路から自室に戻ることにした。




ここからは巨大な噴水のある庭園が見える。




噴水を眺めながら本宮に戻っていると、庭園の方から俺を呼び止める女性の声が聞こえた。




「プラチナくんじゃないか。元気そうでよかったよ。」




振り返るとそこにはベンチに腰掛けた龍騎士の姿があった。




「よう。身体は大丈夫か?・・・えっと、龍騎士さん。」




「ああ。おかげさまでな。」




「どうしたんだよ。こんなところで1人で。」




「・・・(くだん)の戦闘でサイクロプスにやられた飛龍の魂を帰化させ終わったところなんだ。」




俺はサイクロプスから逃げるために小さい飛龍にぶら下がっていたことを思い出す。


「ああ。あの、小さい子か。・・・あの時、俺が逃げたから・・・ごめん。」




「いやいや、私もそれを望んでいた。いいんだ。・・・あのサイクロプスにやられた私の飛龍は3匹でね。みんな可愛いやつだった。」




龍騎士は空を見る。




「・・・愛してる人と離れるほど辛いものはないよな。」




俺は当たり障りのないことを答えてしまったと思った。




「ああ。・・・飛龍達は君たち転生者と似た理屈で召喚されるんだ。向こうの都合も考えずに、こっちの都合だけによって。・・・それで死ぬ事になるなんて、さ。」




龍騎士はゆっくりと(うつむ)く。




「罪だなぁ。私たち召魂者は。・・・本来無関係の龍や人を連れてきて、犠牲になってもらうなんて。」




俺はしばらく何も言い出せなかった。




しかし、龍騎士の横顔を見ているうちに考えもまとまり、口を開いた。




「俺も最初は恨んだよ。召魂者のこと。恥ずかしい話、転生されてもステータス低いわ能力ないわでなんっっの取り柄もなくてさ、召喚されたと思ったら捨てられて元の世界に戻されて。その時死の数秒前に戻されただけで、また死んで。また転生されて。また捨てられて。」




龍騎士がこっちを見る。




少しの間、目と目が合った。




「そ、それでさ。結局長い間それを繰り返してさ。1000回は死んだんじゃないかな。うん。あれは心から恨んでたね。」




龍騎士は申し訳なさそうな顔をして聞いている。




「・・・で、それを繰り返しているうちにトロフィーを手に入れたようで、そしてここに召喚されたんだ。挙句その次の日には戦争に行けなんて言われてさ。ありえねーだろ?こんなの。」




・・・




「でも、その中でイシヤや龍騎士さんと一緒に戦っていて思った。」




・・・




「勝手に戦わされたのは確かにそうなんだけどさ。仲間も初対面の人間しかいなかったけどさ。」




俺は手を空に伸ばして言う。




「初対面のはずなのに、手を重ねて皆で夢中で戦って。絆のようなものを感じて。」




指の隙間から太陽が差し込む。




「絆って暖かいな、って思った。」




龍騎士とまた目が合う。




「だ、だからきっと龍達も、同じように暖かさを感じながら戦えたと思う。・・・それは少なくとも不幸ではないんじゃないかな、って思う、かな。」





龍騎士が口を開く。




「・・・そうか。まぁ多分、君が思ってるよりは落ち込んでいないよ私は。」



龍騎士は噛み締めるように呟いた。




「そうか。」




「ただ、プラチナくん。綺麗な心を持っているんだね。君の名前を教えておくれ。」




「俺はオクダケイだ。・・・あなたは?」





「私はルカ。君たち転生者とは違い、この世界に生まれた身だ。これからもよろしく頼む。」




ルカは右手を差し伸ばしてきた。




俺はそれを掴み、握手を交わした。




少ししてルカが立ち上がった。




「さて、私はもう行かなくてはならない。今日は龍の世界に用事があってな。ここでお別れだ。数日後に帰ってくるからその時にまたゆっくり話そうじゃないか。」




「お、おう。何かわかんないけど、がんばれよ。」




「ああ。ケイ。君もな。」




ルカの足元を中心に2メートルほどの円陣が生まれる。




俺は少し下がってそれを見ていた。




円陣が完成すると、そのまま円は石のような質感をもち、ガバッと中央部から開いた。



その中は一切の光を通さないようで暗闇そのものだった。




「じゃあ、気をつけてな。また会おう。ケイ。」




ルカはゆっくりとその穴に落ちていき、すぐに見えなくなった。




彼女が完全に飲み込まれると、円陣はサラサラと消滅していく。




俺が自室に向かおうとしたその時、後ろからドタドタと足音が聞こえてきた。




「あー!ルカさん、行ってしまった・・・なんで毎回忘れ物するんだ・・・」




声の主は・・・イシヤだ。




「おお、オクダケイくんだったか。あの時はありがとう。」




「なあイシヤ、どうしたんだ?そんなに慌てて。」




イシヤは答える。




「あれ以来僕はルカさんの介護をしていたんだけど、あの人、今日飲む分の薬を忘れて行っちゃったんだ。」




「数日は帰ってこないって言ってたな。それを飲まないとどうにかなるのか?」




「彼女のマナの流れを強制的に変えて擬似的にヒールを受けてる状態にしていたんだけど、薬はそのバランスが過剰にならないように制御する役目があるんだ。」




「いや俺バカなんだ。要点だけ頼む。」




「この薬を飲まないと彼女の身体はマナを放出し続けて、そのマナが枯渇した時に彼女は死ぬんだ。」




「数日待てないのか?」




「無理だよ。治療開始時点でマナはごくわずかしかなかった。持って1日なんだよ。」





「はあ?・・・じゃあどうすんだよ、連絡手段とかないのか?」





「同世界中なら通信スキルや魔具でどうにでもなるけど、別世界との連絡は不可能なんだよ。」




イシヤは強い眼差しで俺を見て、恐る恐る続けて言う。





「・・・一緒に行かない?龍の世界。」





初めての長編小説となります。



是非ブクマやコメント、評価などをお願いします。


また、参考にするためにもダメ出しやアドバイスなどリアルな意見だと嬉しいです。

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