ブルーレのオクダケイ懐柔計画
「おかえりなさいませ。うじむ・・・ご主人様。」
アズ・アスタリア城の扉を開くと、そこに待っていたのは頭を下げたブルーレだった。
「ご主人様・・・って?」
今ブルーレは俺のことを蛆虫と言いかけていたが、俺はそれ以上に「ご主人様」と呼ばれた事に気を取られた。
「テガイ領主様の命にございます。オクダ様専属のメイドとして従ずるよう仰付けられました。」
「え、なんで?」
「此度の戦争でオクダ様がプラチナトロフィーの真価に辿り着いたからだと伺っております。」
なぜあの場所にいなかったテガイがそのことを知っているのかも疑問だったが、そんなことよりもどうやら長年の夢だったメイドと暮らすことが叶うようだと、俺は難しいことは考えないことにした。
ブルーレと自室に戻っている最中なんかは色々と爆発しかけて危ないほどだった。
「メイドって、どんなことしてくれんの?」
俺は自室に着いて真っ先に、鼻の下を伸ばしながら聞いた。
「身の回りの世話や報告の伝達などの事務が主になります。ですがご命令とあらばどんなことでも。」
「へえ。ならじゃあどうだろう。疲れたし癒してもらおうかな。」
もはや俺の鼻の下ははち切れそうになっている。
「かしこまりました。」
ブルーレはそう言うと、当たり前かのように表情一つ変えず靴とニーハイな靴下を脱ぎ始めた。
「さあ、どうぞご堪能下さい。」
目の前に突き出された脚は雪のように白く輝いている。
ショギョウ公卿によって美女の足を舐めることに抵抗がなくなっていた俺は素直に興奮していた。
・・・いや、待てよ。
俺はブルーレに尋ねた。
「ショギョウ公卿からこうしろって言われたな?」
ブルーレは頷いた。
「はい。オクダ様を懐柔する為にとマニュアルを作成していただきました。」
懐柔て・・・
「マニュアルって、どんなことが書いてあるんだ?」
ブルーレはマニュアルの中身を広げながら答える。
「オクダケイにアズ・アスタリア城に居続けて貰うためには、心地よく不自由のない空間提供が重要です。
特に周辺国には印象操作などの情報戦を得意とするコスィール共産国や、交渉の神と言われたスゴーデ商工会長が興した・・・」
俺はぶんぶんと手を振ってブルーレに言う。
「全文は読まなくていい!できるだけ要約してくれ!」
第一話にもあったような流れが、同じ場所で起こったことに懐かしさを感じながら俺は話の続きを聞いた。
「かしこまりました。・・・要約・・・例えば、オクダケイのプロフィールやアレルギー、好きなモノ嫌いなモノが書いてあります。」
・・・あ。
あああああ!!
俺はこの辺りでようやく、ショギョウ公卿が人の心を読めることを思い出す。
「特に項目が多いのはおもてなし方法で・・・」
俺の冷や汗が止まらない。滝のように流れてくる。
「先ほどのように脚を舐めさせることや、太ももで挟むことなど脚に触れさせるのが効果的、と書いてあります。」
俺はもはや半分気を失いかけていた。
「他にも好きなコスチュームや、やってみたい体位・・・?なども書いてあります。」
出かけている魂を押し込んで戻しながら俺は大声でブルーレに言った。
「やめて!!もうやめて!それ以上読まないで!忘れて!・・・いや、忘れなくていいけど知らないフリをしておいて、ここぞという時にやるようにしてくれ!」
俺は茹で上がった顔と腕をぶんぶんとぶんぶんと振って激しく懇願する。
ブルーレは「かしこまりました。」とだけ言うと、マニュアルをポケットにしまいこんだ。
しかしこれで何故俺が専属メイドを用意されるほどにもてなされているのかが分かった。
先の戦争によって俺に予想以上の強さがあることが判明した今、このアスタリア王国にマークされているのだ。
逃げようと思わせないように。
俺は目を閉じながら小さく呟く。
「・・・そんなことしなくても、他に行く当てなんかねーよ。」
俺はここを見捨てる可能性を考慮されている事実に少しだけ切なくなった。
・・・
ムギュ。
ふいに。
ふいに、柔らかく滑らかで、そしてほんのり暖かい何かが顔の両側から押し潰してきた。
目を瞑っていた俺は驚いて目を開ける。
白いレースのようなモノが目を覆い隠していた。
俺は少し戸惑い固まる。
そして。
「ここぞ。」
ブルーレの声が頭の上から聞こえてきた。
目に被さっていたレースが、ブルーレが太ももを顕にするために捲し上げたスカートのレース部分だと分かるや否や。
そして両側にあるぷるぷるの正体が太ももだと分かるや否や。
俺は大量の鼻血とともに天国に行くこととなった。
初めての長編小説となります。
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