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短命種基準ならいい歳だったんでしょうが、ハーフエルフとしては思春期くらいの頃、僕はリーテ国のとある森の中の地母神系の寺院に随分居ました。


母と2人で暮らしていた僕の故郷は魔物の過剰繁殖後の暴走で壊滅しています。

その時、母も亡くなりました。とても蘇生できるような遺体ではなく取り返しはつきませんでした。


僕は蘇生魔法の才能は無かったのですが、僧侶の才能があったのと、その寺院はわりと近く、遠縁のエルフが神官をしていたので身を寄せることになったのです。


日々、母や亡くなり蘇生の叶わなかった人々を供養していました。

最初は難民等もいて人が多かったのですが、数年後には僕達長命種やその混血の7名だけが残っていました。

短命種は時を惜しむ物です。


ただ僕もハーフです。10年目の夏、母の墓を参って寺院へと戻る途中に森から吹いた突風によろめいた時、ここを出ようと決めました。


暫くは近くの町の蘇生所で遺体の補修等の雑務でお金を貯め、ギルドの訓練所に通い、それから長く、各地のダンジョンで遺体の回収業と、時折、寺院や教会と無関係なボランティアをして暮らしていました。


何も考えず成り行きのつもりだったんですけど、不意に気付いたんです。


僕は蘇生所周りの仕事をしていればいつか蘇生魔法を修得できると考えていると。


人によっては逆の選択を取るんでしょうが、僕は遺体の回収業を辞めました。

長命種特有の考える時間が長過ぎたのかもしれません。


貯金がそれなりにあったので、僕はそれから4年は全く働かずにいくつかの町や郷を点々として美味しいお酒を探したり、ボードゲームやカードゲームにハマったりして暮らしていました。


お湯の中を泳ぐような暮らしでしたね。しかしやがて貯金は尽き、腕が鈍って信用も無くなって2級から3級に降級させられましたが、僕は渋々僧侶職として冒険者ギルドに復帰。

半年くらい安い宿屋でぐうたら暮らし半分冒険者活動半分で引き続きフラフラしていましたが、前のパーティーに入ってからは、急激にまともにダンジョン攻略することになってしまい、 僕は困惑し、焦りました。


思えば、そうですね・・本気で活動できそうな事実にビックリして、怖じ気づいてしまったんでしょう。


結果としては濃い人達ばかりでしたし、色々重なって、遁走してしまいましたが。


フィアンセにお金を取られて棄てられ、見知らぬスァクの町で途方に暮れて、1度だけ僧服ではなく旅装にフードを被ってコソコソと、町の地母神系の寺院を訪ねたことがありました。


神官達を避けながら、森の寺院より立派な、大きな地母神像の足元に触れました。

多くの人がそう思って造形を決めたから、地母神像はどこか母を思い出させました。泣いてしまいましたね。


僕が、婚活に執心したのはそれからです。


「つくづく救い難い馬鹿者です・・」


混乱を放置していたことに、少しは整理がつきました。


感覚でわかります。ディフェンドを維持したままでも、使えなくなっていた魔法が使える。その事実を認識しました。


神よ。


「治癒の福音を!」


僕は上位治癒魔法(プラスヒール)を発動させ、テッシモさんのプラスヒールでは追い付かなくなっていた。タツゾウさん、バミーさん、マタキチさん、マリシャさん、ノロスボロシャ様の傷と体力を大幅に回復させました。


「っ! 婚活っ?」


「ゲコぉ!」


「やるじゃないっ、司会の耳長(みみなが)!」


「・・いい魔法だね。魂の躍動を感じた」


5人は一気に攻勢に出ました。マリシャさんもチャパさんの陽動を受け、ゴッソリと敵を仕止め始めます。


テッシモさんの治癒の歌もまだ継続されています!


ノロスボロシャも拮抗状態から押し始めていました。


「雨宮の主! 看破した。その者の銛は柄の中程に損耗があるっ!」


「よく見た。褒めてやろう」


銛の柄を庇う構えを見せた獣のようなラミアに対して、矛を巨大化させて打ち込む大技、古竜(こりゅう)殺し、を放ち、銛の柄を砕いた。


「家ぇええっ、家欲しいぃいいーーーッッッ!!!!」


穂先の辺りと石突きの辺りだけになりマナの衰えた銛を二刀流の構えに襲いノロスボロシャに襲い掛かる獣のようなラミア。


「理性を保てないような者にダンジョン主が務まると?」


元のサイズに戻した矛で、ノロスボロシャは空間を切り裂く斬撃技、亜空匙(あくうさじ)を発動させ、ゴッソリと、銛の穂先部分と石突き部分を含む両腕と胸部の一部を抉り取ります!


「ひぃいいいぃぃーーーッッッ!!!!」


悲鳴を上げてドス黒い血を撒き散らしながら苦しんで、ノロスボロシャから離れる獣のようなラミア。


「・・南西の毒沼地帯ならばお前のような者でも巣食える。そこでの生存競争で勝てぬなら、あるいは理性を取り戻せぬなら、お前はそこまでだ」


見逃すつもりですか??


「眷属どもを率いて」


「あだじば家にがえるんだッッ!!!!」


獣のようなラミアは上半身まで獣毛を持つ大蛇その物の姿に変化し、従属の縛りからか、抵抗も回避もできない眷属達を根こそぎ喰らい尽くしましたっ。


「うぇえっ??」


「食事のマナーが悪いですぞ?!」


二回りは大きくなり、獣毛が増え、皮膜のような翼を持ち外骨格の鎧を持った姿に進化した獣のようなラミア!


「マリシャ、わらわの妹ならば一時抑えてみせよ」


「妹の条件厳し過ぎるよっ?! う~っっ、太古の楔よっ!!」


上位捕獲魔法(ヘビィバインド)を発動させるマリシャさん。

大口でノロスボロシャを丸呑みに掛かった進化した獣のラミアを巨大なマナの拘束具で捕らえられ、宙で静止しました。


「んぎぎぎっっ、妹! 私はぁぁ、圧倒的にぃいいっ、姉様の妹ぉおおおーーーっっっ!!!!」


鼻血を出して耐えるマリシャっ。凄い妹力(いもうとりょく)です!


「同胞達はマリシャと使用人達と、わらわの男達を守れ。一時でよい。宮殿の補修は、この痴れ者の遺骸を対価とする・・」


同族の顔隠したラミア達がワーアムフィビーアンと僕達を結界で守る中、ノロスボロシャは矛を掲げ、爆発的にマナを高めました。


凶星(きょうせい)よ」


頭上に円形の転送門(てんそうもん)が開いて狭過ぎた為に天井を抉り、門の向こうに、星の世界が見えました。


都市を滅ぼす攻撃魔法、隕石魔法(メテオストライク)です!


「全員耳を塞いで目も庇って下さいっ」


僕が咄嗟にそう叫んだ直後、星の世界から流星群が降り注ぎ、爆散しながら拘束された進化した獣のようなラミアを打ち砕いて焼け焦げた肉片と変えてゆきました。


「・・・・っっっっ」


床は全て崩壊し(僕らはラミアに皆さんの結界で浮遊)、下層もめちゃくちゃ、壁もめちゃくちゃ、天井も崩落寸前となり、そこかしこが炎上、融解。

マリシャさんも結界の中に浮いて気絶しています。


「芸術は、爆発だな」


トンボさんがポツリと言うのでした。

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