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「レンを救う方法」

「レンは……、そんな身勝手なものに殺されてしまったんですか」


 僕の言葉には隠すことのできない怒りが少なからず込められてしまっていた。無意識に眉間には彫り込まれたかのような皺が寄る。


「うーん、まあ、そういうことになるわね。でも、さっき言ったようにレン君は本当の意味で殺されたわけじゃないわ。」


 レンは一時的に死んだ、とメイ先生は言っていた。ということは、また生き返る可能性もあるのだろうか。一時的に死ぬ、という意味はよく分からないが、ひとまずあまり深くは考えないことにした。


「また僕はレンと会うことができますか……?」


 僕は自分で聞いていてなんだか悲しくなり、泣きそうになりながら言った。


「もちろん。だってあなたは魔法使いだから」


 メイ先生はまっすぐな瞳で僕の方を見てそう伝えた。魔法の力で、レンを生き返させることができるとでも言うのだろうか。


「レン君を救う方法は簡単よ。レン君はツグミさんに魂と魔力を吸収されてしまったの。だから今度は、君がツグミさんからレン君の魂と魔力を奪い返せばいいのよ。」


「奪い返すって、そんなのどうやって……」


 当然ながら、誰かから魔力を奪う方法はもちろん、魂を奪う方法も学校では習ったことがない。そんな方法があるなんてことは、生まれてから今日まで噂ですら聞いたことすらない。


「ミクジ君、君はツグミさんから、愛の告白を受けなさい。それがレン君を生き返らせるヒントであり、もう答えみたいなものよ。」


「僕がツグミさんから、愛の告白を受ける……?」


 ツグミさんから愛の告白を受ける。言葉にすれば簡単だが、僕の脳はどう頑張ってもその状況を上手く描き出すことができなかった。4次元空間の絵を描いてみてくれと言われても、誰もが困ってしまうのと同じ感じだ。それに、レンを殺した彼女から僕が愛の告白を受けるなんて、いきなり話が飛躍しすぎているような気がした。


「なんだか、話がよく分からなくなっているような……」


 メイ先生は少し笑って、席を立った。メイ先生は長身を器用に動かし、弁当箱と水筒を机から片付けだす。もうここを離れて次の授業にでも行くつもりなのだろうか。片づけている最中の弁当箱にはまだ半分ほどのふっくらしたご飯と美味しそうなおかずが残っていたのが目に入り、僕は昼休み中に長く話し続けてしまったことを申し訳なく感じた。だが、僕にもまだメイ先生に聞きたいことが山ほど残っていたままだったから、お互い様だと思うことにした。


「まぁ、すぐに理解するのは難しいと思うわ。だからこれはただの私からのヒントなの」


「……メイ先生の言っていることがもし本当だとしても、メイ先生は、どうしてそんなことを知っているんですか?」


「うーん、それは私が魔法少女で、あなたのクラスの担任だからよ。私みたいなクラスを受け持つ担任の仕事は、勉強を教えることじゃなくてクラスの問題をスムーズに解決することが本質なのよ」


 そう言うと、もうすぐ次の授業が始まるからと言って、メイ先生は職員室を出ていった。モヤモヤしながらも、僕も次の授業がある教室へと向かった。


 レンを救うためには、ツグミさんから愛の告白を受けなければいけない。でも、本当に愛の告白なんかでレンの命は戻ってくるのだろうか。それに、ツグミさんはクラスで一番の美人で、レンが振られてしまった相手でもある。そんな相手が僕を好きになってくれることなんてあるのだろうか。


 ただ、レンと再び会える可能性が少しでもあるのなら、僕はその可能性に賭けてみるしかない。そういえば、あの日の事件の後、ツグミさんが魔法の練習を一緒にしないかと僕のことを誘ってくれたことを思い出した。


 もしかしたら、ツグミさんは何もしなくても僕のことを好きだったりするかもしれない、と恋愛経験の少ない僕はこの時思った。好きでもない異性を魔法の練習に誘うわけがないし、異性同士で二人きりで会う約束をするなんで、それはもうデートに誘われているようなものではないか。


(ツグミさんから告白されるのなんて、実は簡単なのでは……⁈)


 僕はそう思うと、学校の廊下で無意識のうちにスキップをしてしまっていた。僕の奏でるリズミカルな足音がすぐそのまま僕の耳に届く。周りにいた生徒が冷ややかな目で僕を見ていたような気もしたが、僕には全く気にならなかった。

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