02
その日の成果を持ち帰り、ソフィアは得意げに家に帰った。
「ただいま!!」
籠にいっぱいの山菜とまだ少し酸っぱいベリーを沢山詰めて、ベッドの上の母に見せた。
「見てみて!ベリーも採ったのよ!まだあまり甘く無いけど…ジャムにして食べよう?また私の作ったクッキーに塗ればきっと美味しいわ。」
「ほんとに?こんなに沢山!すごいわね。」
「うん!あ、ミルクバターも作って??甘酸っぱいジャムと一緒に塗ればもっと美味しくなるわ!!」
「そうね。そうしましょう。」
ソフィアの生活は質素だ。心臓が悪く、働けない母との2人暮らし。父親はソフィアが生まれる前に戦死した。父親は傭兵だった。
父の遺した遺産と、母の内職、そして村人達の助けにより、なんとか生活していた。
それでもソフィアは真っ直ぐ、美しく育っている。母はそれほど温かい愛情をソフィアに注いでいたのだ。
親子2人で食事を摂った後、母のローズは言った通りにベリーのジャムとソフィアの父も好きだったミルクバターを作る。
ソフィアはそれを眺めている。
「明日は何処へ行くの?」
「明日はベルおばさんの所で草むしりを手伝う事になったの。お礼に今度釣れた魚で1番大きいのをくれるんだって!」
「アルベルトくんも一緒?」
「もちろん!」
「そう。頑張ってね。いつも、ありがとうね。フィー。」
「ううん!皆んなのお手伝いは楽しいし、アルといろんな話をするのも好きよ。今日は帝都にいつか2人で行こうって約束したんだ。」
「あら、いいわね。きっと楽しいわ。」
「うん!」
完成したジャムとミルクバターを瓶に詰めて、テーブルに並べた。
「美味しそう〜!私もクッキー作り頑張るわね!」
「ええ。楽しみにしてるわ。」
ローズはそう言ってソフィアのこめかみあたりにキスをした。
ソフィアは恥ずかしそうに、それでも嬉しそうに笑ってお返しに頬にキスをした。