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ゴリクマオトコ、スーパー襲撃事件

よろしくお願いします。



アニメ好きの人向けに書いた小説が完結しました。良かったらそちらの方もよろしくお願いします。

阿多は、今朝も普段通りに、スーパーマーケットニクニクマートに出勤していた。いつも通りの仕事を行い、いつも通り、店長黒原からのパワハラを受けていた。


今日も、何の変わりのない日常が始まり、終わると彼は思っていた。



 

 午前十時過ぎ、阿多は、店内売り場の飲料水補充の為に、バックヤードにある飲料水のケースを、取りに行く。バックヤードに入って、必要な商品を探していると、店内売り場の方が何やら騒がしい。


聞き耳を立て、店内売り場の方へ注意を向けると、悲鳴声やバタバタと大勢の人が、走り去る足音が聞こえる。


阿多は、いつもと違う異様な雰囲気を、直感的に感じ取り、そっと店内売り場とバックヤードを隔てる扉の窓から、店内売り場の様子をうかがう。



「分かっていないようだから、もう一度言う。この店に、よく出入りしている駄段というジジイを出せ!今、ここにいなければ、ここに連れてこい!お前等はそれまでの人質だ」


 

 その言葉の持ち主は、首から上は熊で、首から下はゴリラのような出で立ちをしていた。人間ではない、以前駄段が言っていた怪人であると、阿多は確信する。


その怪人は、店内入り口に陣取り、この店の従業員と客を逃がさないように、睨みを利かせる。


「お前が店長だな?従業員に命じて、ここを封鎖しろ。逃げようとするヤツは、容赦なく殺す」

 

熊のようなゴリラのような怪人は、店長と書かれたプレートを胸に付けている黒原に、指示を出す。


「分かりました。あなたの指示通り致します。もし、あなたの指示通りに致しましたら、私だけ解放してもらえませんか?私は仕事ができる人間なので、殺すには惜しい男です。人質は他の無能な人間を、お使い下さい」

 

従業員並びに客達は、こいつマジかと言わんばかりの、冷たい視線を黒原に送る。



「ダメだ!さっさと従業員に封鎖を命じろ!」

 この熊のような怪人、通称ゴリクマオトコは、黒原の言葉を受け付けない。

黒原は、しぶしぶ客と従業員の集まっている辺りを見て、指示のできる人間を探す。と、その時、従業員の一人の中年女性が、店内入り口とは逆方向のバックヤードに向かって、逃走を図る。



「バカめ。怪人の俺様より早く動けると思っているのか」

 ゴリクマオトコは、瞬時に逃げる女性従業員の後ろに追い着き、女性従業員の背中にパンチを放つ。女性従業員の骨が砕ける音が、店内中に響き、女性従業員は、壁に激しく叩きつけられる。女性従業員の接触した壁とその床は、大量の血しぶきが付着し、その女性は二度と動くことはなかった。


 

 人質達は、その一部始終を目撃していた。


次は自分達が、あの女性のような変わり果てた姿になるかもしれないと、恐怖した。

人質の一人の小太りの中年女性は、声を上げて泣き叫び、その隣でいた老夫婦は、ただ茫然と立ち尽くしていた。

ここにいる人質全員が、目の前で同じ境遇の人間の命を絶たれるところを見せつけられ、絶望に瀕していた。



「分かっただろ。死にたくなければ俺様の言う通り棚を動かして外から侵入できないようにしろ」


 ゴリクマオトコはその一回り大きい巨体から、人質達を見下ろしながら、言い放つ。人質達は言われるがまま、商品棚を店内と店外を隔てる箇所に、バリケードを設置するように動かす。



 阿多もまた、その一部始終を店内売り場とバックヤードを隔てる扉の窓から、見ていた。自分も隠れているのが見つかれば、殺されるかもしれないという恐怖と、人質を解放したいという正義感の葛藤に、さいなまれていた。



 

 阿多の左手には、駄段から受け取った腕時計型変身装置が、光の反射できらりと輝いていた。阿多はそれを見つめ、考え込んでいた。自分は今、何をすべきかと。




読んで頂きありがとうございました。またよろしくお願いします。

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