男なら強くなりたいとは思わないのか!
こんな方におススメ。
職場で理不尽な扱いを受けている方。
今の自分が嫌で自分を変えたい方。
正義が悪に勝つ方が好きな方。
笑いが入っても大丈夫な方。
初めて投稿します。かたりべダンローです。
まだまだ未熟者なので誤字脱字などがあると思いますが、よろしくお願いします。
実は僕も職場で理不尽な目にあったことがあります。
駄段は、急にベンチから立ち上がり、見開いた目で、阿多に向かって、声を上げる。
「男なら、強くなりたいとは思わないのか!そんな弱い自分のままで、一生、生きて行くのか!君は変わりたいとは思わないのか!」
「僕だって、このままじゃいけないと思ってます。変わりたい。強くなりたいと思ってますよ。でも、怪人と戦うって言うのは、流石に無理ですよ。僕は怖いのとか、無理なんですよ」
阿多は涙目で、駄段の方を見上げる。まるで、肉食動物に睨まれた小動物のようだ。
「さっきも言ったが、この腕時計型変身装置は、君を世界最強にしてくれる。どんな奴等でも、君には敵わないんだ。だから安心して、受け取って欲しい」
今度は駄段は、阿多に優しく宥めるように接する。阿多も、その行動により、幾分か落ち着きを取り戻す。
「なぜ、駄段さんはそこまで僕に、その変身装置を勧めてくるんですか?僕なんか、ただの気弱なスーパーの店員なのに・・・。探せば僕よりも、強いヒーローにふさわしい人が、いるんじゃないいですか?」
阿多は、駄段を不安そうに見上げる。駄段は、再び、阿多が座っているベンチの隣にゆっくり座る。
「君は、ワシが生活が苦しいのを、理解してくれた。売れ残りのお惣菜をくれたり、特売の情報を、マメに教えてくれたり、何よりワシの話を親身になって、聞いてくれた。ワシはホントに嬉しかったんじゃ。そんな優しくて、誠実な君に、ワシの最高傑作のこのクレイジーフールを、託そうと思ったんじゃ。だが、君がそこまで嫌がるなら、ワシは無理に勧めることはできぬ。他の人に渡すよ」
駄段は、寂しそうに俯いて、ため息をつく。阿多は、そんな駄段を見て、申し訳ないという感情に駆られる。そして、これだけ他人に必要とされていると思われたのは、初めての経験だった。
「分かりましたよ。その変身装置、受け取りますよ。ただ、僕は世界で一番強いヒーローになんてなれないですし、怪人と戦うのも無理ですよ。それでも良ければ・・・」
阿多は微笑みながら、駄段の方へ体を向ける。駄段は驚いた表情で、阿多を見返す。
「ありがとう。もしもの時は、精一杯君のサポートをするから」
駄段はズボンのポケットから、両手で阿多に腕時計を手渡す。阿多も、それを両手で受け取る。まるで、世界最高の宝物を受け取るような、そんな光景であった。
「これは、君自身を守る道具にもなるから、万が一の為、いつでも手首に着けていて欲しい。もし、ピンチになったら、手を交差して、変身と叫べば、君はクレイジーフールに姿が変わるから」
「万が一?そんなことはまずないと、思いますけどね」
阿多は、両手に抱えた腕時計を見つめながら答える。
「怪人達の活動が、最近、活発して来ている。君も怪人に遭遇する可能性は、十分にある。怪人達は、話が通じる相手ではない。出会ったら迷わず、変身して、身を守るんじゃ」
駄段は、阿多の方を心配そうに見つめる。彼の性格からして、もしもの時、変身するのを躊躇するかもしれないと、思ったからだ。
「分かりました。ありがとうございました。それでは、明日も仕事があるんで、僕はこの辺で失礼します」
阿多は、駄段に軽く会釈すると、家路につく。左手首にしっかりと、腕時計型変身装置を身に着けて。
「気を付けて」
駄段は微笑みを浮かべ、阿多に手を振り、これからの怪人達との戦いの事を考えながら、公園を後にした。
それから、阿多は日常で変身装置は、身に着けていたものの、ネガティブな性格から一度も変身を試さずに、数日が過ぎた。
そして、運命のゴリクマオトコ、スーパー襲撃事件へと至る・・・・。
読んで頂きありがとうございました。
これからも努力して面白い小説を書いて行きたいと思います。
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