遊園地に来た怪人
よろしくお願いします。
デート当日、阿多は、愛花と駅で待ち合わせをして、電車でS市の遊園地に向かった。
阿多は、初めてのデートで、緊張していたものの、愛花が会話中に笑顔でいてくれてるので、安心して、少しずつ緊張が和らいでいった。
そして、楽しく会話しながら、遊園地に着き、目的のアトラクションに乗る。話題のアトラクションということで、人で混雑していたが、二人は楽しい時間を過ごしていた。
時間も昼食時となり、二人も園内のフードコートで、ランチを取ることにした。
「愛花さんはランチ、何にするんですか?」
「うーん、そうだな、私はパスタにしよっかな?阿多さんは?」
「自分はあそこにある、ラーメンにしようと思っています」
「確かにラーメンもいいなぁ。あ、阿多さん。私に敬語とかいいですよ。もっとフランクにいきませんか?」
「え、そうですか?自分はそういうの苦手でありまして、申し訳ないです。では、これからは敬語なしということで・・・・。よろしくお願いします」
「もう、固いなぁ」
「申し訳ないです・・・・」
二人はそんな会話をしながら、昼食を取っていた。愛花は、この不器用だが、真面目で誠実な青年を、好意的に見ているようであった。阿多も、この愛花との時間を、幸せに感じていた。
二人が昼食を食べ終わり、フードコートのテーブルで、ゆっくり会話していると、遠くの方が騒がしい。
よく聞けば、人々の悲鳴声が聞こえる。物が倒れる音、人が大勢走って行く音なども聞こえる。
阿多は、かつて味わった事のある感覚を思い出す。そう、自分の職場で、怪人と遭遇した時のあの感覚だ。
「怪人です!皆さん、避難してください!!」
遊園地の従業員らしき人が叫び、園内の人々を誘導している。園内は一瞬にして、パニック状態になる。
阿多は、騒ぎの起こっている方角を見る。逃げ惑う人々の後ろで、緑色の物体が暴れている。
その物体は、カマキリを人間ぐらいまで巨大化させたような生物で、両手の先に付いている大鎌が、特徴的な生物であった。
「カマキリの怪人か」
阿多はそう言うと、自分の食べ終わっていたラーメンに備え付けていた、コショウの瓶を握り締め、怪人に向かって走り出す。
怪人の目の前まで距離を詰めると、コショウの瓶の蓋を開け、怪人の目に向かって投げる。
「ぐあああ、目が・・・」
コショウの瓶は、怪人の目に直撃する。コショウの粉末が、怪人の目に入り、怪人は視界を失い、のたうち回り、叫ぶ。
阿多は、怪人の動きを封じたことを確認し、再び愛花の席へと、走り戻る。
「愛花さん、こっちだ」
阿多は愛花の手を取り、出口の方角へと走り出す。愛花は、阿多の普段見せない男らしい頼りになる行動に、心臓の高鳴りを感じ、顔を赤らめる。
「おのれぇ、さっきの変な物を投げ付けたヤツ。一瞬だったが顔を覚えたぞ。絶対切り刻んでやる。ちきしょう、目が痛いぃぃ」
怪人は目を抑え、その場にうずくまる。園内の人々は出来るだけ怪人から、離れるように逃げ惑う。
一瞬にして、楽しい空間だった遊園地は、緊迫した現場へと変わってしまった・・・・。
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