ヤバい怪人VSもっとヤバいヒーロー
よろしくお願いします。
ゴリクマオトコは、目の前のプロテクターの男にかなり苛立っていた。
「そろそろ殺してやるよ」
ゴリクマオトコは、若い女性従業員に抱きついて離れない、プロテクターの男の前に立ち、その太い右腕を男の頭部に振り下ろす。
鈍い金属音が店内に鳴り響くと、鮮血が飛び散る。
「ぐあああああ・・・」
声を発したのは、ゴリクマオトコだった。殴った右の拳が砕けている。そこから血が流れ出していた。
プロテクターの男は無傷だった。しかし、女性に抱きついているのを邪魔されたのが、気に食わない。
男は女性から離れ、尻をゴリクマオトコの顔に向ける。そして、屁を放つ。轟音と共に異臭が店内に広がる。
「く、臭いぃぃぃぃ。何を食ったらこれだけ屁が臭くなるのだ」
ゴリクマオトコは、あまりの臭さに、のたうち回る。
人質達は、全員口から泡を流し、意識を失い倒れていく。
早く新鮮な空気を。
ゴリクマオトコは、自ら作らせた商品棚のバリケードを払いのけ、店の窓ガラスを、片っ端から壊して行く。壊した窓から、新しい空気が入って来る。ゴリクマオトコは息切れをしながら、窓に鼻と口を持っていき、荒い呼吸を再び始める。
店の外で包囲していた英雄仮面同盟のヒーロー達と警察官達が、この店内の異常事態に気付く。
「報告します。怪人が店内で暴れている模様です。突入しますか?」
若きヒーロー、ウインドキッドが総指揮の駄段に指示を仰ぐ。
「なぜ、ゴリクマのヤツは窓ガラスを割ったんだ・・・・う、何だ、この匂いは臭せぇ、とんでもなく臭せぇぞ」
駄段は思わぬ異臭に、口と鼻を抑える。店の窓から流れ出た屁の匂いが包囲していた者達の所まで、流れて来たのである。全員口元にハンカチや手を当て匂いを防いでいる。
「いまいち状況が把握できない。ウインドキッド君、店内の様子を確認する為に、二人で侵入するぞ」
駄段は、嫌がっているウインドキッドを無理やり引き連れ、店内への侵入を決行する。
ゴリクマオトコは、店内の屁の匂いがほとんどなくなったのを実感すると、力なくその場に座り込んだ。
大変な目にあったと思い返し、店内の様子を見回す。
人質達は、皆口から泡を吹いて失神している。中には死んでるんじゃないかと思うくらい、ピクリとも動かない人質もいた。
ゴリクマオトコは、事の発端のあの忌まわしい男を目で追う。
「おえええぇ、おえええぇ・・・」
その屁を放った問題の男は、数メートル離れた所で吐いていた。
こいつ自分で放った屁で、気持ち悪くなって、吐いているのかと、ゴリクマオトコは改めて、この男のアホさ加減に呆れた。
「もう、このアホと付き合うのも疲れた。本気で終わらしてやるよ」
ゴリクマオトコが力を込めると、一回り筋肉が大きくなり、その全身にオーラを纏う。そして、吐いている男の頭上に立つ。
「我が最大の必殺技、パワーマッスルアタックを食らわせてやる」
ゴリクマオトコのパンチの連打が始まる。激しい爆音が店内に広がる。そして、渾身の力を込めた最後の一撃を、プロテクターの男に見舞う。落雷のような轟音が、辺り一帯に響く。
「はぁはぁ、終わったな・・・」
ゴリクマオトコは、殴り続けた目標物を確認する。
「あは、あは・・・・」
目標物の男は、またしても半笑いで無傷であった。
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