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赤髪の女

 この時、ドワーフ族の武器商人ポポは信じられない光景を目にしたのだった。ログインして間もないビギナーのすぐそばでへたり込む1人の女。この女性プレイヤーはこの世界で最強の10人のトップランカーにも選ばれる程の実力の持ち主。高ランカー達の所属するギルドからも多数声がかかる程なのだ。そんな彼女が自信の象徴でもある大剣をへし折られ、1人の男の前に崩れ落ちている。

 「一体…何者だあのあんちゃん……!?」

 ドワーフは今目の前で起こった事を鮮明に思い出す。カイルの頭上に振り下ろされた大剣は彼の頭頂部にヒットすると誰もが思った。しかしカイルはあのDランクのナイフで大剣の刃に沿うように当て受け流したのだ。

 「なかなかキレのある動きたが、この程度か?」

 「!!!……この!舐めんじゃないわよー!!」

 受け流され、地面に当たった大剣の衝撃を利用し、横一閃の薙ぎ払いをする。

 「これは躱せないでしょ!紙切れみたいにぶった斬ってあげるんだからぁーー!!」

 次の瞬間、パキィッという音と共に大剣が折れてしまったのだった。それに驚きを隠せないレーナの一瞬の隙を見逃さず掌底を叩き込んだのだった。

 「どうやらこの決闘俺の勝ちみたいだな」

 「…なんでよ、…一体どうやって私のSランクの武器を破壊したの!?」

 「簡単だよ、あんたの大剣の刃先を俺のナイフの刃先に当てたんだ。確か刃先同士がぶつかれば武器破壊が30%の確率で発生するんだろ?説明書に書いてあったぞ。」

 「そんなバカな…そんな芸当ができるわけないわ!できたとしても破壊できる確率は30%なのよ!?そんなの有りえないわ!」

 「だが実際にこうしてあんたは俺の足元に倒れている。それが全てだろ?有りえない事は有りえないんだぜ。」

 見守る街人やプレイヤー達はざわついてるいる。

 「一体あのプレイヤーは何者なんだ?」 「あのレーナが決闘で倒されるだって!?」 

 口々にそう呟く人々の声の中からこんな声も聞こえはじめた。「あいつ絶対何かズルしたに違いないじゃないとビギナーに高ランカーがやられるもんか」

「そうだ…あいつチートでも使ったんじゃねーのか!?チートを使うカスでチーカスだ!!」

すると、次々に罵声を浴びせはじめられる。

 「なっ…悔しいけどこつはチートなんて使って…」

 「ははっ!チーカスか!いい響きだ。だがお前達もこの女の様に地べたに這いつくばらせてやるから安心しろよ!」

 彼女の声に被せる様にカイルは街の人々に挑発する。カイルの鋭い視線に人々はたじろいてしまった。

 「こんな安い挑発にも乗ってこない様な雑魚様は無いぜ。俺は次の街へ行く。」

 人の合間を縫う様に通り抜け転移門の中へ入っていく。

 「なっ…ちょっと待ちなさいよ!」

 その後ろ姿を追いかける様にレーナも転移門の中に入っていき、「どこに行くのですっ!」とレーナの付き人カルマンも後を追うのだった。

               ーー第3話 完



 

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