第95話 カミラル王子に全部、ばれちゃいました(テヘペロ)
今、俺の目の前に、苦虫を噛みつぶした様な顔をしたカミラル王子がいる。昨日は女と寝てないから、キスマークも香水が移ったりもしてないはずだぞ… なんで、そんな顔をしているんだよ。しかも、今日はティーナは同席していないのか?
「ティーナは今日、つわりが酷くてな、同席させていない」
俺の脳内を覗いたように、カミラル王子が発言する。
「さて… お前には色々、聞きたい事があるのだが… 一体、何をしたんだ?」
何をしたと問われても、子供の時にいたずらしたでしょう?と尋ねられるのと同じで、思い当たる節が一杯あったり、怒られたくないから言いたく無いという感じで、喋りにくい。
俺が何をどう答えるものかと、頭を捻って考えていると、先にカミラル王子の方が口を開く。
「先日、マセレタ、ダークエルフ部族から、お互いの対立が解消されたという報告と、人類側に対して友好使節団が派遣されてきた。それに伴いフェインとの国交も回復し、この三国が人類側についた事で、南部の獣人連合が人類側に加盟する運びとなった」
へぇ~ フェイン、マセレタ、ダークエルフが人間側についただけで、南部の獣人連合が人類側に加盟するのか。この三勢力がそれだけ獣人連合に占める割合が大きかったのか。
「フェインに関してはマセレタの制圧から解放しましたが… マセレタとダークエルフの対立が解消されたとは、なんのことでしょうか…? マセレタのハバナは色々と事情があって連れ帰りましたが…」
流石にダークエルフの事は女たちを10人捕まえて11Pしたとはいえん。
「イチロー… お前なぁ… ハバナを連れ帰ったと言うが、あの娘はマセレタの一人娘だぞ… それを連れ帰ったと言ったら、本来、大事だぞ? 戦争になってもおかしくない。それが逆に対立の解消と友好使節団とは… 何をしたのだ!?」
何をしたのだといわれても、ナニを致したとしか言いようがないのだが… 言えんよなぁ… マジ、言えんよ…
「い、いや、フェインでたまたま出会って、意気投合致しまして…」
俺はしどろもどろになりそうなのを、必死に冷静さを表に出して答える。
「本当に意気投合しただけなのか!? まさか、ダークエルフの娘たちと同じことをしていまいな!?」
カミラル王子が俺に詰め寄る。
「えっ!? なんで! ダークエルフの事を!?」
俺は思わず口に出してしまい、慌てて口を塞ぐ。
「私がお前と会うのに、ただ単に苦々しい顔をしていたとでも思っていたのか? そんな事、ダークエルフの事を知っているからに決まっておろうが!」
カミラル王子から怒りの雷が落ちる。
「我が妹の婿になると言うのに、次から次へと、まるで種馬の様にポンポンと… お前には節操と言う言葉がないのか!」
ぐぅの音も出ないわ… でも、しょうがないじゃないか… だって、人間だもの…(えなり&みつお風)
「その様子から見ると、さしずめマセレタのハバナ姫も同じような事を致したのであろう… その辺りの庶民の娘なら、目を瞑ってやるが、王侯貴族の娘たちとなると…」
カミラル王子は歯ぎしりをしながら、頭を掻きむしる。俺に足して苦々しさも腹立たしさもあるのだろうが、必死に理性で堪えているようだ。そして、深呼吸してから気持ちを整え、振り返り、執事に声をかける。
「すまないが、シーハン殿をここに呼んできては貰えないか」
執事は一礼して、別室に向かう。シーハンって誰だ?
「さてと…」
カミラル王子は俺に向き直って、顔の前で両手を組み合わせて肘をつく。
「本来であれば、私の可愛い妹の婿が他の女に現を抜かしたとあれば、自らのこの手で殺している所であるが、妹自身のたっての願いもあるし、お前は勇者認定された存在でもある。そして、相手の女が王侯貴族に連なるものであれば、私の一存でお前をどうこうするわけにもいかん… 相手国との戦争になりかねんのでな…」
それで、苦々しい顔をしながらも我慢していたと言う訳か…
「ちなみに、他の娘にも手を出してはおるまいな…」
カミラル王子が組んだ両手越しに俺を睨んでくる。そんな事を言われても、そもそもイアピースに勇者認定してもらいに行ったのが、ロアンのパーティーメンバを孕ませたのが原因だからな… すでに手を出して孕ませていましたなんて、言えない…
「イチロー… お前、今、目が泳いだな…」
「えっ!?」
俺はその言葉に狼狽える。なんて眼力してんだよ、カミラル王子は…
「言え!! この際、全部言ってしまえ!! 妹のティーナが、上位に立てるか、孕ませた順番や相手の格を知らねばならん!!」
カミラル王子は身を乗り出して、俺に詰め寄ってくる。なるほど、他に女がいることは片目を瞑って、その中でティーナが正妻になれるかどうかを確かめたいんだな。
実際どうなんだろ? 今まで致した相手というと、ティーナだろ、プリンクリンだろ、そして、ユニコーン…今はバイコーンのユニポニーだろ、ダークエルフ10人とマセレタのハバナ、そして、ロアンのメンバーのアソシエとミリーズとネイシュか…
プリンクリンの事は言ったらマズそうな気がするなぁ~ 敵側だったわけだし、ユニポニーもどうなんだろ? 聖獣と言われるユニコーンとやってバイコーンにしたと言ったら聞こえが悪そうだな。そして、ロアンの三人か… アソシエは貴族だし、ミリーズは聖女か…、ネイシュは問題ないかな…
「イチロー! お前、何を考え込んでいるんだ! 考え込まなくてはならないほど、しでかしているのか!!」
カミラル王子は血走った目で、俺の胸倉を掴んで揺さぶってくる。
「ひぃっ! 言います! 言います! 全部、言います!」
こうして、俺は全部、洗いざらい話す事となった。
そして、今、俺の目の前で、カミラル王子が頭を抱えて唸っている。
「イチロー… お前、何を考えているんだ!! 魔人将のプリンクリンを手籠めにするとか、ユニコーンをバイコーンに堕とすとか… 信じられん! 人間のやる事ではないだろう! そして、勇者パーティーのメンバーを孕ませるとは… お前、今、人類がどんな状況なのか分かっているのか! 時と相手を考えろ!!」
カミラル王子は俺に怒鳴り散らす。俺はいたずらがバレて叱られる子供の様にしゅんとする。この場合は仕方がない。文字通り、自分の蒔いた種だ…
「しかし、プリンクリンとバイコーンは表に出てこない存在だから、とりあえず良いとして… アソシエ嬢か、ガイラウルの貴族の娘だったな、ネイシュも今は一個人か、問題は聖女のミリーズ殿だな… くっそ! 教会がどれだけ後押ししてくるかだ… もしかしたら、聖女が妊娠したとあっては、世間体が悪いので公表しないか?」
カミラル王子は独り言の様に呟きながら、ティーナが今まで俺の致した相手と比較して、正妻の格があるかどうかを考え込む。なんとかして妹の正妻という地位の名誉だけは守ろうと考えている訳だ。
すまんね、カミラル王子。俺のせいで迷惑をかけるね… そんな事を思いながら、心の中でカミラル王子に謝る。
「シーハン様をお連れ致しました」
別室の扉の方から、先ほどの執事の声がする。その声に頭を抱えて苦悩していたカミラル王子は、すっと姿勢を但し、表情も平静を取り繕う。さすが第一王子、切り替えが凄いな。
「入っていただけ」
カミラル王子が声をあげる。すると扉が開き、執事に付き添われて、小柄なダークエルフが入ってくる。随分と小柄だな… 子供か?
そのダークエルフは俺たちの前まで進みより、胸に手を当て恭しく一礼する。
「私は、南部黒エルフ族、族長ピローテスが末子のシーハンでございます」
頭をあげた時にその顔立ちを見るとあどけなさが残るが、愛らしい顔立ちをしており、すこし垂れ目気味。艶やかな灰色のストレートヘア。これは年頃になったら良さげな感じだ。
俺はマジマジと見ているとそのダークエルフのシーハンが俺に向き直って微笑む。
「貴方がイチロー様でございますね。この度は私の姉たちがお世話になりました」
「えっ?」
私の姉たちって、この子はあの時のダークエルフたちの兄妹なのか… ん? 確か、この子は族長の末子と言っていたよな? という事は、あいつら全員、族長の娘なのか!?
俺はようやく、カミラル王子が苦々しい顔をしていた理由が分かったのであった。
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同一世界観の『世界転生100~私の領地は100人来ても大丈夫?~』が
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