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第63話 美少女は道で拾うものです

 カズオの言う様に、道端で人が倒れている。しかも美少女! これは、日頃の行いが良い俺に、神様がご褒美をくれたのに違いない! ありがとう! 神様! と神への感謝の祈りも済んだところで、美少女を拝むとするか。


 道端で倒れている美少女は、歳は16,7あたりか? 古代ギリシャのキトンのようなゆったりとした服を纏い、色白で、髪もサラサラの光沢のある白髪でポニーテールをしており、顔つきも清楚で整っている。うむ、神殿に仕える巫女みたいな感じだな…


 俺は鼻先に手をやる。うん、ちゃんと息はしているようだな。特にこれといった外傷は見つけられんな…失神しているだけか?


 では、清楚な巫女が信用しそうな、キラキラさわやかフェイスで話しかけてみるか…こういう時は、ティーナ姫から貰った服を着た方が良いかもしれんが、後で実は王子様でしたみたいなのもいいかもしれんな。


「お嬢さん! お嬢さん! 大丈夫ですか!?」


 俺は、キラキラ爽やかイケメンフェイスで美少女の肩を優しく掴み揺らしてみる。やはり、失神していただけの様で、俺の呼びかけに意識を覚醒し始める。


「うぅ…」


「お嬢さん…気が付かれましたか?」


 俺は美少女の顔を覗き込むように近づくと、薄っすらと目を開け始めていた美少女は、俺の顔を見て、はっと目を見開く。おっ?いきなりのイケメンに驚いているのか?


「私に近寄らないで!! このケダモノ!!」


 その言葉と共に美少女の蹴りが飛んでくる。近くにいた俺は突然の蹴りを避ける事が出来ず、脇腹に蹴りを食らって吹き飛ばされてしまう。


 いきなり蹴り!? ビンタとか拳じゃなくて蹴り? しかも、結構痛い…


「だっ! 旦那ぁ!! 大丈夫ですかい!?」


美少女は声をあげるカズオに気が付き、顔を潜める。


「こ、ここにも…とても悍ましい…ケダモノが…」


「えぇぇ… 確かにあっしはオークでやすが、流石にここまで言われると…心が痛みやすね…」


 俺は痛みを堪えながら身を起こし、ひっしにキラキラさわやかイケメンフェイスを維持して、再び美少女とコンタクトを取る。


「驚かないで下さい、お嬢さん。私は貴方に危害を加えるつもりはありません。あそこにいるオークも私が屈服させた下僕です。ご安心を」


「ち、近づかないで! 汚らわしい!!」


美少女は俺から遠ざかるように身じろぐ。


えぇぇぇ… なんで俺、初対面の女にここまで嫌われなあかんのだ…


やりきれなくなって、カズオに視線をむけるとやれやれといった素振りをする。


「騒がしいが、どうしたのじゃ? 主様?」


そこへ馬車の中からシュリが降りてくる。


「まぁ、まぁ、まぁ! まぁぁ!」


 シュリを見て美少女が声をあげる。俺は美少女に視線を向けると、美少女はキラキラした瞳で満面の笑みを浮かべながらシュリを見ている。

 

「そちらの可愛い女の子、私を助けてくれませんか? この汚らわしい者たちに絡まれているのです!」


そう言って美少女はきっと俺の睨みつける。


「主様…もう何かしたのか?」


「いや、なんもしてねぇよ!」


 俺は取り繕うのを止めて、素で答える。美少女にご指名されてシュリは仕方なく、とぼとぼとこちらに歩いてくる。


「で、どうしたのじゃ?」


「はい、魔物に襲われて足を挫いて倒れておりました…」


美少女はシュリに対してはスラスラと受け答える。


「なんでシュリには答えるんだ?」


「貴方は話しかけないで!」


俺がちょっと口を開いただけで罵声が飛んでくる。


「酷い嫌われ様じゃのう…主様… このおなごが気を失っている間に尻か乳でも触ったのか?」


「いや、してねぇよ!」


疑いのジト目で俺を見てくるシュリ。


「とりあえず、私、足を挫いておりますので手か肩をかしてもらえますか?娘さん」


よく挫いた足で俺を蹴り飛ばしたものだ…


「いや、わらわではサイズ的に無理かのう… ポチ! ミケ!」


 美少女とシュリでは頭一つ分以上差があるので、肩を貸すことができないシュリは、馬車に向かってポチとミケを呼ぶ。


「ポチとミケはお花摘みにいったよぉ~」


 馬車の中からカローラの声が響く。ミケは馬車の中のトイレでできるじゃ…あぁ、ポチの上で寝てたから仕方なく乗せたまま行ったのか…


「俺とカズオは毛嫌いされている。シュリでは無理。ポチとミケはトイレ。カローラは当然無理…どうする?」


「うーん、クリスを引っ張り出すか? 主様」


シュリは俺を見上げて聞いてくる。


「まぁ、罵声を浴びせられても放って置く事は出来んし、クリスもいい加減、引きこもりを辞めさせないとな…」


「罵声を浴びせたことはお許しください… 私、どうしても貴方が生理的に受け付けないのです…」


うわぁ… 生理的に受け付けないって…ここまで言われたの初めてだわ…


「じゃあ、ちょっとクリス引っ張ってくるわ」


 そう言って俺は足早に馬車の中に戻る。決して、生理的に受け付けないと言われた事がショックだからではない。


 俺は馬車の中に入って戸棚の前にしゃがむ。そしてコンコンノックする。返事がない…ただのしかばねって事はないと思うが…


「おい、クリス!」


更に声をかけて返事を待つ。やはり、返事がない。俺は面倒くさくなって戸棚を開け放つ。


「くかぁ~」


「寝てんのかよ!! 起きろ! クリス!」


俺は寝息を立てながら涎を垂らすクリスに大声をあげる。


「はっ! 私は一体… あぁ、イチロー殿、食事の時間か?」


俺の大声にクリスはパチリと目を覚ます。


「いや、飯じゃねぇよ、ってかお前、ずっと出てこないと思ったら寝てただけなのかよ!」


「私は辛い事があった時はよく眠る事にしているのだ」


あぁ、なるほど、今回もそうだし、前回も戸棚に引きこもっていたのはそのせいか…


「まぁ、それは兎も角、けが人がいるんだが、その人物がどうも男性恐怖症というか、俺やカズオでは運べなくてな、クリス、お前にお願いしたいんだが」


「まかせてくれ! 人命救助は騎士の本分!」


 そういって、やる気を見せて戸棚の中から出てくる。まぁ、クリスはもう騎士では無かったはずだが、その辺りは黙っておこう。


「こっちだ、ついてきてくれ」


俺は美少女の所へクリスを案内する。すると美少女はクリスを見たとたん歓喜の声をあげる。


「まぁ!! あなた! とても素晴らしい方だわ! 私、ここまで素晴らしい方とお会いしたことはないわ!」


「えっ!? それは私の事を言っているのか!?」


 美少女の言葉にクリスが戸惑う。シュリといい、クリスといい、この美少女はいわゆるレズってやつなのか? こんなに可愛いのにレズなんて勿体ない…


「はい、貴方でございます! 私、足を挫いてしまいまして、起き上がれません… 肩をお貸し願えますか?」


「もちろんだ! 任せて下さい!」


 べた褒めされたクリスは気をよくして美少女に肩を貸す。やはり、騎士をしていただけあってやすやすと美少女の身体が持ち上がる。


「とりあえず、馬車の中に入って手当と事情を聞こうか」


「そうだな、イチロー殿、手当は任せてくれ!」


 人から褒められたり求められたりするのは久しぶりだったのであろう、クリスは鼻息を荒くしてやる気満々だ。


 クリスが肩を貸すどころか、お姫様抱っこして馬車の中に連れて入ると、美少女が今度はカローラを見つけて、また再び歓喜の声をあげる。


「まぁ!まぁ! この子も素晴らしいわ!」


「えぇ… なに? この人?」


美少女の突然の歓喜にカローラはドン引きする。


「喜ぶのはいいが、手当と事情を聞くのが先だ」


いい加減、鬱陶しくなってきた俺は手当と事情を聞くのを促す。


 クリスが美少女をソファーに座らせ、足の手当てを始める。その間、美少女はシュリやカローラ、クリスの姿を瞳を輝かせて見ている。


「で、先ず初めに俺の名前はイチロー・アシヤだ。こっちの白いのがシュリ、そっちの黒いのがカローラ、お前を手当しているのがクリスだ。カズオは…まぁいいか。お前の名前と、それと事情を説明してもらえるか?」


 美少女は俺に話しかけられると、キラキラさせていた瞳を曇らせるが、助けてもらった手前、我慢して話し出す。


「私の名前はユニポニーと申します。私は兄と旅をしておりましたが、魔物に襲われて兄と逸れてしまい、魔物から逃げる際に転んで足を挫いて気を失っておりました…」


ユニポニーと名乗る美少女は目を伏せて語った。


「兄と逸れたのか…その兄は大丈夫なのか? それと襲ってきた魔物ってなんだよ」


「逸れた時は無事でしたが今はどうか… それと襲ってきた魔物はバイコーンです…」


定番のゴブリンか何かと思っていた俺は、バイコーンの名前が出て生きて驚く。


「バイコーン? バイコーンってあれか? 馬の奴か?」


「はい…そうです…あの汚らわしい魔物の…」


ユニポニーは眉を顰めて答える。


「あれって、不純を司る魔物だったよな… あれに襲われるって事は…」


「はい、処女ですがなにか?」


ユニポニーはさらりと言ってのける。いや、そういう時って普通恥じらうもんだろ。


「では、兄も襲われたって事は…」


「はい、童貞ですがなにか?」


再び、さらりと言う。まぁ、あれだ。貞操観念の違いと言うやつだな…


そうこうしていると馬車の外が騒がしくなる。


「なんだ?」


「娘さんたち! 放してくれ! 放してくれないか!」


男性の声がすると思ったら、男性を咥えたポチとその上に乗ったミケが入口から姿を表す。


「ケロース兄さま!」


ユニポニーが男を見て声をあげる。


「ユ、ユニポニー!?」


男性もユニポニーを見て声をあげた。



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