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はらつい・孕ませましたがなにか? ~勇者パーティ内で女性メンバー全員を口説いて回った最強チートの俺が、リーダーにばれて追放? だが、もう遅い~  作者: にわとりぶらま


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第1009話 アネレイトス

挿絵(By みてみん)


 人類連合軍の残存兵力は、猛烈な速度で後退して、アネレイトスのいる本陣へと合流する。援軍に来たベアールのサイリス、ウリクリのマイティー女王、ダスタールのオリヴェルは、深追いはせずイアピース王国軍の陣の前に集合する。


 追撃をしなかったのは、敵陣に人類の軍勢ではとても敵わないアネレイトスがいることと、追撃をするまででもなく先程の戦闘で、敵軍が半分近くの将兵を失い士気が崩壊しかけていたからだ。


 そんな状態の中、サイリス率いるベアールの騎兵隊から騎兵が一騎、カローラ城に駆けつけてくる。



「アシヤ・イチロー様! アシヤ・イチロー様はおられるか!?」



 駆け寄ってきた騎兵が声を上げる。俺はその声に気が付くと、拡声魔法で返事をする。



「俺がアシヤ・イチローだ! この度の援軍ありがとう! それでどうしたんだ!?」



 礼を述べるとともに用件を尋ねる。



「アシヤ・イチロー様の関係者とおっしゃる方を保護していたのですが、イチロー様に引き渡したく参りました!」


「俺の関係者?」



 ベアールに俺の関係者なんていないはずだから首を傾げて使者の騎馬を見てみると、使者の後ろに黒髪の少しやつれた人物が乗っていた。



「誰だよあれ…」



 一見しても誰だかわからないので、良く目を凝らして見てみると、シャツにパンツ一枚の男性が力ない笑顔でこちらに手を振っているのが見えた。



「ん? んん!? あれ!! もしかして、ぼっさん!? ぼっさんなのか!!?」



 俺の記憶の中のぼっさんは、小太りのオタクっぽいおっさんであったので、痩せた姿になっていたぼっさんをすぐさま認識できなかったのだ。



「おーい! いちろーくーん! 私は生きてるよー!」



 思わずその姿に、「ぼっさん! 生きとったんか!ワレ!」と叫びたくなったがぐっと堪える。



「ぼっさーん! 良く生きていたな! 門番! 使者とぼっさんを通してやってくれ!」



 俺が城門を守る蟻族やフィッツに声をかけると城門は開かれ、使者はぼっさんをつれて中に入ってくる。



 その頃、前線の陣営の方では、集まった各国の代表、ベアールのサイリス、ウリクリのマイティー女王、ダスタールのオリヴェルが集結し、イアピース王国軍のランベルトが対応しながら会話が交わされていた。



「これはこれは、ウリクリ王国のマイティー女王陛下! それにダスタールのハルカ族族長のオリヴェル様、そして、ベアール国第四騎兵隊隊長のサイリス様! よくぞ援軍に駆けつけて来てくださいました!! アシヤ卿並びにイアピース国王に替わってお礼申し上げます!!」


 ランベルトにとって、ベアールのサイリス以外は、雲の上の人物であり、丁重な仕草で援軍に駆けつけてくれた礼を述べる。


 そのランベルトにマイティー女王は笑いながら答える。



「ハハハ、国王の代りだって? 私はあの辛気臭い国王の為に駆けつけた訳じゃないよ! 婿殿ー私の子供の為に駆けつけたのさ!」



 国のトップである女王ならでは許される言葉にランベルトは苦笑いで黙る。すると、そのマイティー女王の言葉にダスタールのオリヴェルが反応する。



「なに? ウリクリのマイティーはアシヤ・イチローの子種を貰い子を産んでいたというのか!? ムムム… 我々ダスタールもウリクリに遅れをとる訳にはいかん! イチローの子と我らの子を結ばせねば…いや…イチローに我々の女たちを種付けしてもらうか?」



 マイティー女王の言葉に、オリヴェルはまるで家畜の繁殖のようなことを言い始める。そんなマイティー女王とオリヴェルの言葉に、ベアールのサイリスは眉を顰めて嘆息する。



「我がハニバルで蟻族に対してだけかと思っていたが…そこらかしこで同じようなことをしていたのか… まぁ…アシヤ・イチローらしいと言えばらしいのだが…」



 サイリスはハニバルでの蟻族の一件を思い出しながら呆れる。



「ところで皆様方…」



 この中で副官という一番地位の低いランベルトは、三名の顔色を伺いながら言葉を掛け、三名がランベルトに向き直る。



「ベアールの第四騎兵隊サイリス様の援軍については、蟻族の長から話を聞いていたんですが、ウリクリのマイティー女王やダスタールのオリヴェル様はどうやって今回の援軍の話を聞きつけたんですか?」


 するとサイリスが反応する。


「あぁ、その事か…それは蟻族の使者が私に援軍要請に来た時に、ウリクリからの使者も同席していたのだ。それでウリクリ側が知ることになったのだが… ランベルト卿、蟻族の長に、他の使者がいる前でべらべら要件を喋らないようにと伝えといてくれ…」


 サイリスの元に向かった蟻族がウリクリの使者の前で援軍要請をしたのである。


「で、マイティー女王、使者をベアールの外務大臣ではなくサイリス様に送っていたんですか?」


「それはね、サイリスが優秀だから引き抜こうとしているのさ、まぁ、なかなか首を縦には振ってくれないけどね…」


 

 そう言って、マイティー女王はニヤニヤしながらサイリスを見る。



「私を高く買って下さるのは結構ですが、実際の所、私の抜けた後のベアールを狙っておられるのでしょう… 故郷を捨てるわけにはいきません」


「こんな感じに断わられるのさ」


「はぁ…」


 

 どこまでが本気でどこまでが冗談か分からない言葉に、ランベルトは再び苦笑いを浮かべる。そして、今度はオリヴェルに向き直る。



「で、ダスタールの皆さんは?」


「ん?我々か? それは今回の参戦を断られたカミラル王子から相談されてな、それでカミラル王子の代りに我々が参戦することになったのだ」


「えっ? カミラル王子が? 私はそんなことを聞いてませんよ!?」


「ガハハ! そなたが出発した後であったからな!」



 オリヴェルは豪快な笑い声をあげる。カミラル王子がダスタールのセラフィーナと婚約したので、その事でカミラル王子の代りを引き受けたのだ。



「なるほど、皆様が援軍に来られた理由は分かりました。で、これからどうしますか…奴らを…」



 そう言ってランベルトは敵軍へ視線を促す。



「私の読みでは、後もう一突きしてやれば、士気が崩壊して逃げ出すように見えるな…」



 サイリスがそんな意見を述べる。



「それに関しては私も同感だが、それでもわざわざ聞いてくるってことは、そうできない理由があるんだろ?」



 マイティー女王が鋭い目でランベルトを見る。



「流石はマイティー女王ですね… 軍の方は先程戦って貰った通り、寄せ集めで連携が取れておらず、凡庸な人物が指揮している様なので、数以外はあまり脅威では無いのですが… 敵には聖女の皮を被った悪神がついているそうですので… その人物のところまで後退されると手を出しにくいのですよ…」



 イチローから説明を受けていたランベルトは集まった援軍の長たちに事情を伝える。するとオリヴェルが興奮し始める。



「なに? アシヤ・イチローは勇者として悪神と戦っていたのか!? 流石は私が認めた漢だ!! おぉ!! 我らは今、後の世に伝説となる戦いに参戦しているのだな!! なんということだ! 血がたぎって来るぞ!!」


「ただの一般人の私としては、そんな御大層な戦いに足を突っ込みたくはないんですけどね…」


 

 ランベルトはオリヴェルの言葉に苦笑する。


 その頃、城の方ではぼっさんがようやく俺の前へと合流していた。



「やぁ! イチロー君! ひさしぶり! 済まないね! 僕の為にいろいろしてもらったようで!」



 少しやつれたぼっさんが礼を言ってくる。



「ぼっさんこそ良く生きてたな! 一週間以上も見つからないから餓死してるんじゃないかと心配してたんだ! しかし、すまなかったな、ちゃんと城にテレポートしてやれなくて」


「いやいや、僕が背負っていた本がテレポート前に落ちたことが原因だから、僕の責任だよ」


 

 そう言って、ぼっさんは毛布でくるんだ本を背負いながら、気まずそうに答える。俺は元気そうなぼっさんに安堵したが、――だが、その安堵は、ほんの一瞬だった。


 その時、敵の動きを注視していたエイミーが緊迫した声を上げたのだ。



「キング・イチロー様! 敵に動きがあります!」


「マジか!」



 俺はぼっさんのことは置いといて、エイミーと並んで敵の様子を見る。



 すると、先程まで奥に引っ込んでいたアネレイトスが前面に出てきて、すまし顔で何やら儀式めいたことをし始める。



 ヒヤッ



 俺はその様子を見て、冷や汗を流しながら前のループのことを思い出す。奴が繰り出す巨大な神の拳によって、城下町が領民ごと更地にされた光景だ。奴は泣き叫ぶ子供すら遠慮も慈悲も掛けずに叩き潰しやがった…


 奴はあの地獄のような光景を再現しようとしているのか!?


 アネレイトスは両腕を天に掲げる。すると、上空に巨大な映画のスクリーンのようなものが無数に現れる。それはこの戦場だけでなく、地平線の遥か向こうまで…おそらく大陸全土に広がっていると思われる。


 そして、そのスクリーンには、この戦場に無数に転がる人類連合軍の死者の無残な遺体が幾つも映し出される。



「大陸全土の皆さーん! 聞こえてますか!」



 アネレイトスの声は拡声魔法のレベルを越え、大陸全土に響き始める。



「私は真の聖女アネレイトスです! 今、人類の裏切り者、悪の権化であるアシヤ・イチローと戦っております!」



 スクリーンに俺の顔が大きく映し出される。



「アシヤ・イチローは、人類の手による、人類の法で、人類の断罪を拒絶致しました… その結果がこの有様です…」



 スクリーンに再び戦場に転がる無残な死体が映し出される。



「アシヤ・イチローは慈悲の人類による処断を拒絶しました… なので、これからは神による、神の法で、神の断罪をアシヤ・イチローに加えようと思います」



 アネレイトスは楽しそうに微笑みながら宣言する。それと同時にアネレイトスの周りに巨大な神の拳が幾つも現れる。



「刮目せよ! 真の聖女である私アネレイトスを通して、神の断罪が行われる様を!!」



 沈黙する戦場にアネレイトスの声が響き渡ったのであった。 


現在、年内最終回に向けて執筆を続けており、

ストック10話ぐらい積み上げております。


大みそかまでに書き上がれば、大みそかは10話程投稿予定になっております。


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ノーパン!?
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