表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/41

任務遂行??

いつも続きをお読みくださまして、誠にありがとうございます

※最後のところと猫屋なのに猫を書き忘れたので、少し追記しております

「やあ、クマ、遠くまでご苦労だね。」

 剣がそう声を掛けた相手は、警視監の大熊だ。

「いつも天守使いが荒いと嘆いておいででしたのでね、今回は我々が遥々A国までやってまいりました。これでチャラにしてとは言いませんがね。つきましては今後ともよろしくお願いいたしますということです、はい。」

 そういうと、後ろに居た公安の部下たちに合図を送る。

 来栖に、神原も姿を戻して駆け付けてくれたようだ。


 それから、インカムから聞こえてきた声に耳を澄まして聞き取ると、剣に告げる。

ITチーム(ゾウ)からの報告によると、防犯カメラをチェックした結果、そこに出入りする人物は2人だそうです。一人はGHQ所属の少年、もう一人はおそらく見た目にもAxis所属のPQではなかと、これまでのデータにはヒットしません。ですので、能力は不明です。」

 大熊が剣に伝えると、

「了解。」

 と、返事をした。


 剣が目を瞑り、ブツブツと呟く。

「OK、じゃあ、そういう事で。」

 と言い終えると、目を開けた。


「蓮と相談した結果、フェイが見てきた未来のE国での奇襲犯はGHQ一人とAxis一人の組み合わせで、Axisがサポートの役割をしていたと聞いているので、こちらもその可能性が高いと思われる。情報部隊からの報告と一致する。あの位置からの力のサポートとして考えられる能力の可能性は、力の増幅か射撃力のサポートくらいかと予測し、何パターンか動きを考慮して、民間人への危険を可否する。党代表候補のすぐ近くではジェイが即座に能力を開放できるよう配置についてもらったので、犠牲は少ないでしょう。という事で、こちらの作戦は従来と変更は一切無し、あの者達を素早く拘束し、民衆に危害がでないようこの場を治めるってことになりました。それでは、行きますよ。」

 剣が言い終え移動しようとすると、肩の上にヒョイと猫がジャンプして乗ってくる。

 とても器用だ。


「あ、ニヒ。君を置いて行く所でしたね。ごめんなさい。あなたは後処理で犯人を変態する役目をお願いしますよ。本国に運びやすくするそうです。では一緒に行きましょう。」

 猫の王が

「にゃん。」

 と短く鳴く。

 剣には言葉として聞き取れている。

 その言葉はきっと、俺を忘れるな!とキツク叱っていることだろう。


 ケーニヒを腕に抱きなおし、剣たちは移動を開始した。

 犯人たちがいる建物につき、数秒、屋上を見上げる。

 動きを止めることなく、建物内に入り、エレベーターに乗り込む。

 皆、静かに淡々と移動した。

 最上階で降りると、屋上へ出るために建物の端にある非常階段へ移動し、登り始める。

 屋上へと続く階段に足を掛けた時、剣が大熊たちに声を掛けた。


「ここから先、慎重に。あなた方はエルフの時の能力を浴びれば、身体が変化してしまいます。力に触れぬよう、細心の注意を払ってください。まあ、防御用の薄い全身タイツが守ってくれるでしょう。」

 この日の為にエンゲル専用の“時の能力”の効きを阻害するボディースーツが開発された。

 開発者はフェイだ。

 自身の能力を阻害するので、気分は良くない様だが、多くのエンゲルが危険な目に遭ったことを知った以上、秩序の乱れは大罪と剣に詰め寄られ、対策を立てねばならず、渋渋取り組んだのであった。

 ボディースーツと言う名の全身タイツには、彼の能力を相対的に抹消してくれる逆の力を施してあるらしい。


「「「はいっ!!」」」

 些細な小声でのやり取りであるが、皆、緊張しているのが強張っている声や表情から伺える。


「いざ。」

 そう言って、階段を登りきり、屋上に続く扉へと手を掛けた瞬間、剣の掌にビリっと電流が走った。

 ケーニヒが腕からスルッと降りる。


 何だ?と剣は不振に感じたのだが考えている間は一切なく、後ろに居た大熊が扉を全開にすると同時に彼の剛腕で背中を押してくる。

 剣は背にかかる圧力により前へと押し出されてしまった。

 何かがおかしいと感じてはいたが、その時にはすでに遅し、屋上へと足を踏み入れてしまっていた。


 目の前で、例の党大会会場に向けて、フェイに居た青年から光線が放たれる。

 ああ遅かった!?と思ったが、目の前の光景は陳腐なものだった。


 ここからだと、難しかったのだろうか?

 能力不足もあるのだろう。

 放たれた光はか細く大統領候補の所まで届く前に失速し、A国に中継されているカメラには写らない位置の観客席に居る若い母親が抱いた赤子に当たった。

 一瞬で赤子が青年へと成長し、母親が抱っこをしていたが、腕の力が足りずに尻もちをついている。

 即座に指示を受けた警備員が駆け寄り、ひっそりと親子はその場から連れ出されていた。

 本物の党代表候補にこの力が当たっていたならば、老人の彼は、息を引き取っていたかもしれない。

 モネラの王にすり替わっていたことは、保険として間違いではなかったようだ。


 だが、一連のこの場面を見ることなく、剣は地べたに頭と体を押さえつけられていた。


 周囲に剣の味方が一人も居ない。

 居ないと言うか、屋上へ足を踏み入れられないのだ。

 扉の前で皆、立ち往生している。

 何か、透明な壁があるようで、体当たりしてもうんともすんとも言わず、中に入る事を拒んでいた。


「ハッ、ハハハハハ!!やった、引っかかった。」

 楽しそうに笑い、満足げにそう言いながら、その少年は剣の体を押しつぶす。

 AxisのPQなのだろう。

 少年はJ国でいうと中学生くらいの年齢に見える。

 見た目は若いし、精神もかなり未発達の様だ。


 PQが軽く押さえつけているだけなのに、剣の身体は一切動かせない。


「まさか、王の間を作り出せる者が居たとは、驚きですね。」

 剣が体を押さえつけられながらそう言うと、目の前の少年は誇らしそうに胸を張った。


「やっぱり!?この能力って貴重なんだ!?俺ってすごいんだな!!これ、王の間っていうのか。カッコいい。」

 何て、嬉しそうに話し掛けてくる。


「ええ、SQや王シリーズにしか作れない独自の空間です。どちらでもないあなたがこれを作れるとは、素晴らしいですね。」

 褒めてやると、本当に嬉しそうにしている。


「やっぱりすごかったのか!だってこの空間、俺のしたいように何でもできるんだぜ。だから嫌いな奴をこの空間に引き入れて針でこう……あっ!そうだ!?お前の細胞を採るんだった。」

 そう、PQが上司の命令を思い出したと口走る。


 その時に、この作戦にAxisが参加した目的にようやく気づけたのであった。

『フェイ以外のSQの細胞の採取』

 が目的であった。

 蓮は形態がコロコロ変わるので、彼の本体を特定することは非常に難しい。

 そうとなれば、おのずとターゲットは猫屋の店主となる。


「なるほど細胞の採取が目的でしたか…ですが、あなたは何も知らないようですね。この空間には優劣があるということを。」

 そう言うと、剣がキラキラと体から光を放ち、空間に広げていく。

 確かに屋上に存在していたPQの小さな箱状の透明空間は、この剣が放った眩い光によって全てかき消されてしまった。

 箱は抹消した。


「力の差で、空間を破る事が可能なのですよ。」

 それと同時に、押さえつけられていた剣の体がフワッと浮いた。

 大熊が救い上げてくれたのだ。

 箱が消えたので、空間内に入れるようになったようだ。


「ありがとう。」

 そう、大熊にお礼を言った瞬間、ドスンと何かが脇腹に当たった。

 そちらに目をやると、そこにいたのは神原であった。


「油断しましたね。」

 神原はニタリと笑って、バタフライナイフを剣の体から引き抜く。

 そして、ナイフに付着した彼の血を、ナイフごと綺麗なハンカチで包むと、その場からすぐさま逃げ、剣たちから距離をおいた。

 次の瞬間、神原の姿のまわりの空間が歪み、神原は別の者へと姿を変えた。

 Axisのチャールズだ。


 剣が脇腹を抑えて、片膝をつき、体勢が崩れる。

 隣にケーニヒがサッと駆け寄り、大丈夫かと声を掛けているかのように鳴く。


 剣の体から、ポタポタと血が滴り落ちている。


 だが、落ちた血は、地面に着いたと同時に、黒い塵となり消えて行く。

 これは、フェイの事があったので、その対策として剣が自身から離れた細胞は跡形もなく消えるよう作り替えていた成果だ。

 だから、誰も彼の細胞を採取、保存することは出来ない。

 もちろん、先程チャールズが持ち帰ったナイフにも、何も残る事は無いだろう。


 だが、剣は大きく顔を歪ませる。


「私を、傷つけましたね……」

 そう言っている剣の脇腹の傷口から多くの血が垂れ続けている。

 傷がかなり深いようだ。

 大熊が必死の形相で、剣を支え、部下にSQへ剣が大怪我をしていると連絡するよう命令する。


 “SQが己の力で自分の身体を弄る事は禁忌だ”

 これは、彼らの発生時の縛りに大きくかかわることなので、自身の身体を怪我であっても治すことはやってはいけない事、いや、SQは誰も望まない事となっているのだと、大熊は事情を把握している。


 大熊は自身の服を脱ぎ、丸めて剣の腹を強く抑える。

 その状態で、剣は大きな溜息をついた。

「ああ、しくじった…知られていたとは…」

 剣が大熊の堅い膝に頭を乗せて、横向きに寝かされながら、そう、ぼやいた。


 そして、

「来たか…」

 剣が顔を上げ、空を見上げて小声で発した。

 ケーニヒは震えて縮こまり、鳴くのを止めている。


 剣につられるように大熊が頭上を見上げると、そこには1人の青年が空高い位置で停まり、浮いている。

 こちらをジッと、静かに見つめていた。


 青年はフェイやフェイのクローンたちによく似ている容姿だが、色彩がまったく違う。

 髪は黒く、肌の色もアジア系によくみられる色、背は172あるフェイよりも低い、だが子どもではないの昔のJ国民の平均的身長であろう体格だ。

 目鼻立ちはフェイに似ているのに、彼よりも凹凸が少なく、のっぺりとしている。

 目の周りの堀は浅く、鼻も低い。


 彼は、いったい誰なのか…


短いですが投稿いたします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ