開幕、襲撃!?
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「ねえ、なんで、僕達がわざわざこの国に来たの?フェイさんの能力があれば、1人で潰せるでしょう?」
と、ジェイが剣に疑問点を聞いてくる。
まさにその通りなのだが、フェイには全てが分かっていての、この行動だ。
「そうだね、フェイも、このまま自分一人で出来なくはないのだそうだが……それだと、あちらの力が尽きてしまい、全滅するまで鼬ごっこを繰り返す事になるのだとか。ダラダラと長引くのは億劫だから、大きな舞台で、メッタメタのギッタギタに倒して心を折ってやろうとなったのさ。」
その方が数段に面白いだろう!?と、キラキラした笑顔で話していたフェイを剣は思い浮かべ、フッと笑う。
SQの頭の中は基本的には、人に優しくない。
自分達の楽しみの方が優先されるのは当たり前だ。
剣は子供のジェイの前に跪いて、目線を合わせ答えた。
「この作戦の方が、フェイが辛くないからだって、そう言っていた。彼を助けてあげようね。」
と、剣は優しくジェイへ言い聞かせた。
心苦しいというのは、こう言い感情の事なのかと学ぶ。
子供が傷つかないように嘘の説明をする事に、酷くモヤモヤしたモノを腹の底に溜めた。
これが新たな感情…ジェイの親となってから新たな感情をいくつも覚えていく。
だが、その一方で剣は、新たな感情の発見に焦りを覚えたのであった。
「うん、僕、フェイを助けるよ。」
そう言い放ったジェイのお日様のような笑顔に根っこの黒い剣は当てられた。
自分のどす黒い感情を一気に清め、洗い流してくれる。
「よし、頑張ろう。」
剣はしどろもどろにジェイへそう言うと、スクッと立ち上がり、忙しそうに動き始めた。
そこに、年配の男性がやって来た。
今回の党首演説を行う現役の大統領なのだという。
おじいちゃんのおじいちゃん、ヨボヨボだなとジェイは密かに思った。
そうジェイが考えていた時、
「やあ、ジェイくん。久しぶり。」
と、現大統領に話し掛けられた。
「え!?誰ですか???」
ジェイは咄嗟に聞き返していた。
「ああ、この姿では分からないか。私は瑞樹の母だよ。そう言われても分からないか。中の生き物と言った方がいいのかな?今はこの人形の中に入っているのよ。」
そう、今の現大統領は剣が作り出した偽物の大統領候補人形である。
脳に寄生しているモネラの王の力を借りて、今夜、この会場で彼の代わりに演説を行うらしい。
よく見ると、人形の後ろにSPが居るのだが、その中に、姿をすでに変えている蓮も居た。
今は蓮ではなくフランクという人物になっている。
彼がその姿へと変える前に、前の蓮の姿で瑞樹と華子にさよならの挨拶をしたいと願い出たため、一度、J国の猫屋へと帰り、2人を呼び出し、短かったがさようなら式を行った。
前回、突然姿が変わった時に、かなり後悔したらしいので、彼らに傷を残さぬよう、蓮は気を効かせたのだ。
今回は後悔はないようで、何よりである。
「(清子さんが協力してくれているか!?)ありがとうございます。」
とジェイは驚きつつ、何故かお礼を述べた。
散々、猫屋での剣と清子のバトルを目の当たりにしているからであろう。
何となくいがみ合う2人が協力し合うことに謝辞を述べた。
「こいつらはね、兎に角、非道で、人使いが荒い!!すぐに消そうとするから気を付けないと!!ジェイくんも、ウンザリしたら私の所に逃げて来なさい。私が面倒見るからね。」
と耳元でコソッと伝えて、大統領候補の中に居る清子さんは、意気揚々と背筋を伸ばして軽やかに歩き、待機会場へと消えて行った。
「さあ、我々も、位置につい来ましょう。今回はジェイの力が要ですからね!頑張りましょう。」
剣が言う。
「はい、剣さん。」
真剣な顔で、ジェイは答える。
「そろそろ、あちらは正念場の頃合いですかね…」
そう、小さく剣が呟く。
ジェイの耳にまでは届かない言葉が、空っ風に吹かれ、飛ばされて行く。
一方、E国では
「あそこにいますよ!」
烏が頭上でそう叫ぶ。
「OK。間違いないね!?」
フェイはいつものテンション高めで堪える。
「ええ、皆からの報告と自分も何度も目視しましたから、間違いありませんよ。」
疑いを持たれた事に少し不満を露わにしながら、烏は答えた。
「分かった。じゃあ乗り込もう。」
その言葉が合図となった。
***
「ぼちぼち始めようか~」
フェイが軽い口調で集まった仲間たちへと声を掛けた。
と言っても、目の前に居るのは烏が一匹。
「何言っちゃってるの!?君がアフタヌーンティーを楽しんでいる間に、他のみんなは散らばったよ!君はマイペースすぎだからね!?」
カラスが叱る。
「そんなに怒らないでよ、チッチ。あ、今日はインコじゃなくて、カラスなんだね。カッコイイじゃん!いかす~」
相手は鳥の王であったようで、マイペースなフェイはいつまでもマイペースだ。
「ふん、そうだろう!この国と言ったら鳩か八咫烏なのだろう?ゴーが教えてくれたのさ。だから僕はカッコイイ、カラスになってみたのさ……彼、いい鳥友だったんのに…グスッ…くそ…」
「鳩かカラス、ああそうだね。でも、この場でカラスだと観光客が写真を撮りに集まって来ちゃうかもよ?ほら、ここカラスでも有名な観光地だから。屋根の上に居た方がいいかもしれないね。」
「そうなのか?じゃあ、君に情報を伝えたらすぐに移動するよ。まずは、仲間からの報告からね。」
チッチが早々に報告を始めた。
既に敵の居場所は、鳥の王の仲間たちによって特定されており、その情報からJ国から来た警視庁特務課や公安(urasima所属メンバー)の面々がいつでも奴らを取り押さえられるように配置を終えているらしい。
「優秀だね!僕が指示を出すまでもないみたい。」
「はあ、さっき情報が集まったから作戦会議するって皆があなたに声かけたでしょう。でも、あなた、今はシエスタと言い残し、聞き耳持たずで、カフェでお茶してたし~そう指示を出す場にいませんでしたから…皆、致し方なく、必死で自ら考えを出して、それぞれ行動しているのですよ………ハッ!?あんた、実は凄い司令塔なのか!?」
「そうだ~なんでわかった~」
と、適当な返答をして、フェイは空を見上げ橋の向こうからこちらまでをキョロキョロ目で行き来してから発した。
「うん、じゃあ、僕も上で一緒に待とうかな~」
塔の上にのぼり、橋の向こう側のホテルの角部屋に潜伏している敵が選手たちを赤ちゃんに変えてしまうので、橋をこちが側に渡りきるまでに、選手を戻す計画の様だ。
「それだと世界中に赤ちゃんと変化した選手たちが中継されてしまうぞ。パニックにならないか?」
チッチが心配そうに聞く。
「え?そんなのOCの開会式映像だよ??パフォーマンスだと勘違いしてくれるって!へいきへいき~」
フェイはその方がちょっと面白くない?と楽観的だ。
そして、開会の時刻となり、華々しく花火があがると音楽が動き出した。
選手たちが市内をバスで移動してくる。
バスの上から手を振る選手が全世界へと映し出されている。
そうしている間に、この塔へとバスが近づいてくる。
塔へと向かう為には目の前の橋を渡る必要があり、その手前にあるホテルに敵は潜伏しているのだ。
橋の向こうのホテル三階の一室から案の定、強力な光が放たれた。
目の前を通る選手たちが次々に姿を変えていく。
観客は目の前のバスの上に居た選手たちの姿が消えてしまい、ざわめく。
バスを追っている上から撮影された中継映像からは、選手たちの様子がバッチリ映し出されていた。
皆、赤ちゃんの姿へと変わっている…
そして、橋を渡り切る前に、元の姿へと戻っているのだ。
摩訶不思議な光景に、テレビ中継を見ている者達はあれはどういうことだ?トリックか?映像か?と考察しあい、興奮する。
最後に通過してきた国の選手を元に戻し終えると、フェイは合図を送った。
「OK、確保!」
エンゲルや甘草家血縁の脳内に響き渡る。
その指示に従い、敵のいるホテルの一室へ、一斉に彼らは雪崩れ込む。
そして、
「動くな!」
甘草刑事が声を発する。
その瞬間、犯人たちは動きを止めた。
甘草家本家の血筋しか使えない、秘儀“コトダマ”が発動したからだ。
その隙に、雪崩れ込んだurasima連合軍が部屋に居た2人を素早く拘束した。
「刑事!あれ、何やったんですか!?」
この時だけ手助けで連れて来られていた豪が、本家の本当の力を目にして、驚いている。
話す気のない甘草は、無視し、背後に迫る影へと、目を移す。
次の瞬間、犬飼が懐にエリザベス(犬の王)を抱きかかえて、入室してきた。
拘束された2人の目の前にやって来ると、エリザベスがぴょこんと腕の中から飛び降り、彼らの前へ降り立った。
「本当に、エルフ《あいつ》にそっくりなのね……」
あまり興味はない様子だが、捕まえられている者達の顔を見て、嫌なものを見てしまったという口調で、そう言った。
「こちらはこのふたりだけでいいのね。さて、速攻で片付けるわよ。長谷川兄弟を待たせているの。急がなくちゃ。これから始まる柔道の試合を一緒に観戦するって約束しているから、早く合流して会場に行かないと試合が始まってしまうわ。」
「はい、マイロード。お急ぎください。一回戦はこの後すぐでございます。」
犬飼の返事を待たぬうちに、エリザベスは口から例のモノを出し、2人を取り囲む。
前よりもスピードがけた違いに早くなっており、しかも、2人同時に出来ていた。
どうやら、猫屋の店主が見せた能力の素早さに嫉妬し、アレから速度上げの努力をしたらしい。
そして、直ぐに、二匹の子犬が姿を現した。
ビーグルとアメリカン・コッカー・スパニエル。
犬飼がヒョイと二匹を持ち上げ、ゲージに行きつく間もなく丁寧に収集した。
気が付くとゲージに入れられていた犯人の二人は、いったい何が起きたのか理解できずに、なぜか巨大化したさっきまで自分達を取り囲んでいたはずの人々を、キョトンと顔でゲージの中から見上げている。
「それじゃあ、私達は行くわね。アイツに会いたくないし。」
その声の主は先程エリザベスと呼ばれていたパピヨン犬であった。
「エリザベス様、ありがとうございました。」
紺のスーツ姿の女が、犬にお礼を述べ、深々とお辞儀をしている。
それに続いて、他のスーツを着た者達も、頭を下げている。
「あれ~?もう帰っちゃうの?これ終わったら一緒にパブに行こうって誘いたかったのに。あ、犬はパブは入店できないのかな?」
と声がした。
「ぎぁぁぁあああ。でた!!出たわね、エルフ!?私はあなたの実験体には絶対にならないわ。」
「嬉しいな、覚えていてくれたんだ~」
「忘れたくても忘れられないわ。ちゃんと猫屋を通して契約書交わしているのだから、私に指一本触れないでよね。しっし、あっちに行きなさい。私達はこれで失礼するわ。永遠にさようなら。犬飼、早くダッシュよ!!」
エリザベスの一声と共に、犬飼はエリザベスを抱えて一瞬にしてその場を走り去っていった。
「あ~行っちゃった。チェッ。」
残念そうにそう言った奴が、ゲージの方へと近づいてくる。
自分達を小さい何かに変えたあのパピヨン犬が恐れるこの者はいったい…恐怖が押し寄せる。
「へぇー、君たちが犯人。可愛い生き物になったね。研究しがいがありそうだ。」
そういいながら覗き込んできたのは、2人の内一人によく似た容姿の青年であった。
「あ、こいつ、SQのガオ・フェイロンだ!?」
犯人の1人が気付いてそう呼ぶと、
「せいかーい!」
と、フェイが拍手をする。
「こいつが!?」
隣のゲージの子犬が声を出す。
「君はAxisの子共だね、そっちは僕のじゃないから君は初めましてだ。よろしく~こちらの彼は何度かGHQに懲らしめに行っているし、僕のクローンだから、うん、良く知っている仲?だね~」
「…」
彼のクローンだし、彼は自分の事を全て把握していることは間違いないので、はいそうですねと返事をしたいが、Qの彼はフェイに直接会ったことはなかった。
いつも、GHQが彼の気に触れる事をやらかすと、本部が荒らされ、証拠が消えており、壊滅的な傷を負うことになる。
全てが終わった後に、僕達は彼の形跡だけを見るだけなのだ…防犯カメラの影くらいしか、彼の映像は残っていないが…
つまりは彼もまたフェイとは初対面のはずだ。
ただし、自分はこの人のクローンだと知っているので、何となく、この者がオリジナルなのだとは感じて、好奇心が湧いている。
その一方でそれは、自分は彼のコピーなのだという恐怖心をも抱いていた。
自分の奥底にある記憶、彼は異常者である。
「大丈夫、ちゃんと可愛がってあげるからね~」
フェイの言葉に、2人は身震いしか得られなかった。
震える二匹をスーツの軍団が運び出す。
E国のテロはこうして幕を閉じたのであった。
忙しくて創作活動が出来ない日々が続いていりまして、定期的に投稿できず大変申し訳ありません
最終章、文字数少なくなっていますが出来たらすぐに投稿していきます
あと少し、頑張ります☆




