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虚実創作  作者: 世界創作学部生、めい
character expansion and non dramatic affairs
2/14

1-02,03

この辺から世界観に伴う意味不明用語が頻出すると思いますが、一応日本語にはなってるので頑張って着いてきてください。

02


違法物品。

この情報文明の世を乱し、平和を脅かし、人の生命を侵し、神を蔑む異常な違情。違法と指定された情報のうち、主に実態を持ちこの世界に住まう人類が認識し得ないもの。知ってはならないもの。知らない方がいいもの。


「とまあ言ってるだけでは纏まりきらんほどの巨悪が違法物品だ。」

「恨みすぎっすね。何があったかまでは聞かんすけど。」

この生意気な後輩、峯子は元研究者である。違法物品との関わりも少なからず持っているだろうが、事件にさえならなければ俺の知るところでは無い。

事件に対応し、解決するのが俺の仕事だ。

「して、この誘拐事件に使用されている物品は何なんすか?」

「そこまではまだ分かっていない。分かっているのは、違法物品が使われたということだけだ。」

「どういう事っすか。使われたことがわかるんなら、何使ってんのかくらい情報文明のこの世で出来ないわけが無いっすよね?」

「それでも分からないから違法なんだ。俺たち人類が知り得ない何かが、得体の知れない何者かによって使われている。これこそが世を脅かす問題であり、俺達が対応すべき事件だ。」

「はぁ。」

こいつ、研究でそういうのはやってないのか。クリーンな研究者なんて珍しい。」

「声に出てるっす。私はそんな危ないことしてないっすよ。」

おっと。思ったことが口に出てしまうのは悪い癖だ。

「私はこの世界の技術と情報という概念そのものについての研究をしてんすよ。違法がどうとか事件がどうとかなんて…。物騒っすねぇ。」

「その物騒な世界に自分から来たんじゃないのか。」

「そうっしたっけ?宇由先ぱいに誘われた気ーもしますけど。」

そうだったかな。俺が誘ったのか…

「記憶にないな。」

「じゃあそのうち復元してやりますよ。」

「いいよ面倒臭い。」

「遠慮しないでいいんすよ?これでも弄るのは自分の体で慣れてんで。」

「そういう事じゃない。」

「そういう事っすよ。その証拠に…」

峯子の腹立つ笑い声が響く。

「宇由先ぱい。もう頭痛しないんじゃないっすか?」



雨の音が鮮明になっている。

「お前なぁ」

「雨模様カレーは、雨を楽しむためのカレーっす。」

「そうやって技術を軽々しく使うもんじゃないだろう。」

「でもこれから捜査なんすよね?円滑な対応と社会の安寧には必要な技術っすね。」

こいつ…。

「お礼はSELFYの揚げ鶏でいいっすよ。」

こいつ…!

「まあ私の技術なんて、私以外に対してはそうゆーふーにしか使えないんす。宇由先ぱいの技術のほーがずっと便利だし、平和になれるっすよ。」

便利だし、平和になれる。

そんな事を、技術に求めてはならない。技術に頼っては、ならない。

平和のための対応家。平和のための俺の仕事。

俺が平和を作るのは、俺の力でだ。

神に判子を押されて許しを得られた技術なんかに、頼る訳にはいかない。神は平和を保証しない。

だからこそ。

「行くぞ。」

俺達が、俺達の力で、平和を守るべきだ。


「あ、片付け手伝って欲しいっす。」





03


「ここ、宇由先ぱいがソファ買ってたところっすよね?」

「そうだ。まさかこんな所で誘拐事件が起きていたとは…。」

停瑚空の端にある対応家借家からいくらか中心に向かった所、広くはないが記録にもありそうな荘厳な屋敷を模した内装で、良質な品を揃える家具店が、誘拐事件の現場だった。

「ここ、お前も来たことあるよな。」

「勿論すよ。先ぱいは一体誰を下見に行かせたんすか?」

そうだった。

「今、記録機の情報開示申請をしている。それが終わるまでに変な事が無いか調べるぞ。」

「ういすー。」

とはいえ、幾つかの家具と会計機の下を覗いたり、周りの買い物客に話を聞いたり、その程度で捜査とも言えない調べ物は終わってしまう。

広くもない、まして買い物客の目もある。本当に誘拐など可能なのかと疑ってしまう程に、有力な手がかりは現れない。

「先ぱい。これなんかどうすか?」

目を輝かせながらとても借家に入りそうにない体積を持つ棚を撫でている。

この店の中で1番大きそうな見た目だ。天然の素材というのは非常に珍しいもので、値段も相応だ。

「こんなのお前の部屋に入ったとして、どうするつもりだ…。」

「研究者の棚は幾らあっても満員すからね。」

そのうち棚に追い出されそうだな。

「実物でまとめる意味が分からんな。なぜ情報を紙なんて嵩張る媒体に記録にしてんだ。」

一般人からしたら批判もんだ。たしか紙を家に飾っていた芸能人が干されたニュースもあった。

「周りの機械や端末に勝手に記録される情報より、自分自身が自分の力で得た情報を記録した方が実感湧くじゃないすか。」

わかんない人っすねえ。

相変わらず嘗めた態度だが、その考えは分からなくもない。というか、概ね同意だ。

自分の力で。

「そういえば先ぱい、この事件で誘拐されたのって誰なんすか?」

どうやら自分の資料のことしか頭にないらしい。

俺がわざわざ紙に出力しておいてやったのに。

「まさか捜査資料を読んでないのか?」

「理解してないんす。」

屁理屈を。

「じゃあどこが理解できないんだ。」

「割といろんなところっす。」

「言い訳はいいんださっさと」

「だって、誰も被害者を見てないうちに誘拐されたって分かったの、おかしくないすか?」

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