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虚実創作  作者: 世界創作学部生、めい
character expansion and non dramatic affairs
1/14

1-00,01

このような作品を創り、皆様に公開するまで、長い時間をかけてきました。

とはいえ初の公開作品、拙い作品ではありますがお楽しみ頂ければ幸いです。

00


雨が続いている。

決まって体調を崩すものだから、雨は好きになれない。捜査資料に目を通す気力すら湧いては来ない。結局、全部牙鳥に投げたままだ。

今度飯でも奢ろう。

雨音の煩わしさにも慣れてくると、頭の軋む音に苛まれる。ソファは新調したばかりで、ある程度畝っても衣擦れの音すらしない。それが頭の軋みを和らげることは無いが。


がん、がんがん


どうやら軋んだ箇所は崩落の一途をたどっている。目がとび出そうな感覚だ。


がんがん


がち


ああ、ついに頭が割れてしまったのかな。

病院に行かなければ。そしてあわよくば


がちり


「先ぱぁい。ドア、直したほうがいいっすよ。」



この生意気な後輩に、今抱えてる仕事を全部投げたいものだ。

なんて思ってしまったりもするのが、体調不良から来る思考だと願う。





01


「お前が乱暴に開けるからだ。いつもいつも…」

ただでさえ頭の中の騒音に迷惑してるのに、もっと迷惑な奴が帰ってきた。でかい音を立てて。

「両手に溢れるほどの使いっ走りを頼んだのは先ぱいっすけどね。」

生意気な、奴だ。

「使いは頼んだ。走れなんて言って」

「起きなくていっすよ。ほら、荷物ここに置くんで、楽になったら飲んでください。」

楽な時に栄養剤などを飲むかよ。

「置いたなら」

「わぁ本当に冷蔵庫の中空っぽじゃねーっすか。」

帰れよ。勝手に台所に入るな。

「あ、もしかしてそうゆーことっすか?」

何が?

「先ぱいは後輩を使いっ走りした挙句、自宅に連れ込みご飯まで作らせよーとしてるんすね?!」

「違う。」

確かに食材も頼みはしたが、納得したような顔をするな。

「しょーがねーっすねえ。この優秀従順なこー輩が、宇由先ぱいの腹を満たしてやりましょーよ!」

「まだ2件しか対応してないよな。」

何が優秀だ。



脂の跳ねる音、ガスコンロの漏洩。

頭の軋みを和らげる、台所からの香。

「しかしこの部屋だけガスコンロなんて…よく残ってんすね。」

「大家が持ってきたらしいぞ。」

というかよく使えてるな。ガスコンロ。

「他所の研究所で見かけて、ずっと欲しかったんすよお。」

そういえば、こいつ元研究者だったか。

「持って帰っていいっすか?」

「やめろ」

「それとも部屋交換」

「おい。」

なんだよ部屋交換て。

舌打ちすんな。


「カレーでいいっすよね。」

「カレーでいい。」

他のものを作られると困る。

「たまには他のもんも頼んでいいっすよ?」

「頼むからやめてくれ。」

「しょーがねーっすねえ。」

安堵。

「じゃあ、出来たっすよ。」

「随分速いな。」

「もう出来てたんで。」

こいつ…。

「特製雨模様カレーっす。」



とてもじゃないがそそられない色のカレーを口に運ぶ。

体調が悪化しそうだな。

でも、美味いんだよな。

「雨が降ってたんでこんな色になったっす。」

「しばらくは食欲が湧かないな。」

「でもおいしーっすよ。」

「そうだな。」

「そうっすか?にひー。」

子供みたいに笑う奴だ。

「あと一杯なら出せるっすよ。」

「随分と正確に言うな。」

「嘘はつかないっす。」

「まあ食事もそこそこにだ。折角来たんだし、そこの捜査資料見てけ。」

「なんすか、ここまで先ぱいに尽くしたこー輩に仕事を押し付けるつもりっすか?」

やべ

「一緒に対応しようって事だよ。」

あ、変なこと言った。

「一緒にだなんてー、大忙しの牙鳥先ぱいをお手伝いしたほーが良さそうっすけど。」

「…そうだな。」

ぺらぺらと捜査資料を捲る音。確かに牙鳥は(俺のせいだが)捲って眺める暇も無いくらいだろうな。

「それに、先ぱいはこの一件だけじゃねえっすか。これを私と一緒に?それならこれも牙鳥先ぱいに投げちゃえばいいと思うんすけどねえ。」

「いや、これは俺が対応する。興味があるなら付いてこい。」

「ん?どんな事件なんすか。」

後でこいつの頭に資料を埋めてやる。

「違法物品を用いた誘拐事件だ。」

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