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70 魔法も訓練する


 訓練が始まって早1週間。


 エリオス王国とルーベンス王国から派遣された騎士達に問題の有無を伝える。


 日程通りであり、まだ1週間しか経っていないので大きな問題にも直面していない。


 簡単な報告を済ませ、別れを告げた。また1週間後に会おう。


 1日の内容と言えば、起きて朝食を食べる。その後は毎日騎士団で行っている午前訓練を行う。


 素振り200回と模擬戦形式の打ち合いという内容なのだが、素振りを終えた後はエヴァンとレッドが日替わりで模擬戦の相手をしてくれる。


 内容はとても実戦的だ。フェイント、魔法、何でも有り。


 模擬戦だけで言えば午前訓練よりもギルドで行うスレイさんとの訓練に近いかもしれない。


 昼になったら昼食を食べて、午後からは食糧調達。


 これは特別真剣に行わなければならない。日々の成果はマチマチで、肉が得られない日も当然ある。


 狩りに慣れたエヴァンやレッドがいたとしても、相手は大自然。 


 確保してある肉が尽きる前に次を確保しなければメインディッシュが失われた寂しい食事になってしまうからだ。


 食糧調達を行いながら森にいる魔獣の駆除も行う。


 というよりも、向こうが俺達を見つけて襲って来るパターンがほとんど。何度襲われて動物を逃したことか。


 空が暗くなる前には水を汲みながらキャンプ地へ戻る。


 ぶっちゃけ、毎日これの繰り返しだ。


 2人との模擬戦は学ぶ事も多いし、自分の中で新たな発見が生まれる。


 魔獣との戦闘も戦闘能力向上に一役も二役も買うだろう。


 だが、これだけでは足りない。俺はもっと強くならねばならないのだ。


 持ってきたリュックの中身を漁り、1つのメモを取り出した。


 メモにはジャック爺さんとエリスさんが書いてくれた訓練用の練習メニュー。


 俺に足りない部分を箇条書きで書いてくれて、それを克服しようという感じだ。


 ジャック爺さんが書いてくれた部分は日々の模擬戦と魔獣との戦闘で代用できている。


 問題はエリスさんの部分だ。


 彼女が書いたメニューはたった一つ。魔力操作だ。


 これをどうするか。どうすれば効率的に訓練できるかと俺は頭を悩ませる。


 日々、ケツの前に魔力のボールを作って動かそうとしているが上手くいかない。


 もっと集中的に、かつ効率的にできないものかと頭を悩ませた。


 行き止まりに嵌ってしまった感覚を覚え、一人で悩むのも限界だと思った。


 なので、魔法を使えるエヴァンに質問をすると――


「魔力操作か。私の場合は顕現させる魔法の性質を変える事で覚えたな」


「魔法の性質?」


「そうだ。例えば……」


 そう言いながらエヴァンは掌に炎のボールを生み出した。


 ゴウゴウと燃えるオレンジ色の炎であったが、エヴァンがジッと炎を見つめているとオレンジだった色が青白く変わっていく。


「こうして温度を変えたりだな。魔法1つにしても強弱はある。ユウキも土魔法でやっていたではないか」


 エヴァン曰く、俺のトイレ作りも魔力操作の賜物であると。


 なるほど。ボールを動かす事に拘り続けてしまっていたか、と俺は頷いた。


 思えばエリスさんも試行錯誤してみよ、と言っていたな。


 夕食を食べながらもボール操作の代替えになるものを考えた。得意な分野で考えよう。


 土魔法は……派手すぎる。キャンプ地が壁やオブジェだらけになりそうだ。


 ならば、水魔法。水魔法の性質を変えるとなると……。


 水といえば軟水と硬水。あとは水道水やミネラルウォーター。


 日本から来た俺としては、このような違いが一番に浮かぶ。


 魔法で生み出す水を日本で売っていた美味しい水に近づけるのはどうだろうか?


 そう思いながら魔法の水を飲んでみる。


 口当たりは良い。水としても軟水の部類だと思う。だが、ミネラルウォーターか? と言われれば胸を張ってそうだとは言えない。


 というよりも頭の中にある味が正しいかも覚えていない。


 次に川で汲んだ水を飲む。


 ぬるいが軟水だ。そしてサッパリとして口当たりも抜群。さすが天然水。


「よし」


 俺は方針を決めた。


 魔法で出す水を川の水のように美味しく、そして温度を変えてみようと。


 ここから始めて、応用をしていくことに。


 俺はコップを地面に置き、中腰になって魔法を使う。


「……何してんだ?」


「水魔法で魔力操作を訓練しようと思って」


 俺のポーズに不信感を抱いたのか、レッドが問いかけてきた。


「魔法の水を美味しくする」


「……そうか。火の番は俺がするからもう寝ろよ」


「もうちょっと試したら寝るよ」


 結論から言えば、俺の訓練方法は間違ってなかった。


 俺はある意味で最強の水魔導師として、才能を爆発させる事になったのだ。 


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