第六話:「その日の夜は暗かった
蒼疾「えっと、今回登場するのは………」奈々枝「あたしよ、あたし」蒼疾「奈々枝かぁ………あれ?七海は?」奈々枝「七海ならさっき縄で縛っておいてきたわ………大体!前回はあたしが登場するはずだったのに!」蒼疾「まぁまぁ、憤慨しないで次回予告してくれよ」奈々枝「次回、フェアリーブレイヴ第七話!『蒼疾がすきなのはあたしだけ!』」蒼疾「………また勝手な題名つけ始めたな」
第六話:
「その日の夜は暗かった
大津地七海、緋斑奈々枝、三塚菜々子が俺の家にやってきたその日の夜、流れでそのまま全員でゆうしょくをたべることになった。無論、俺がこの場合は三人をもてなす側なので夕飯調理者となっている。
メニューは子供が大好きなカレーであり、これならば食べれないやつはいないだろうという俺の独断と偏見で決めさせてもらった。案の定、誰一人として文句を言うやつはいなかったのだが…………
「そういえば、ご両親を見かけませんね?」
口の中のすべてのものを飲み込んでから七海は俺に尋ねてくる。
「……まぁ、いつもいないから」
こちらに引っ越してから毎日のように両親は姿を消しており、かなり忙しい日々を送ってきている。一週間に一度くらいしか姿を見ていないし、顔だって忘れかけたこともあった。まぁ、毎晩九時ごろには親子水入らずの時間という意味不明な時間を設けていて声は聞いているが。
「そうなんですか……大変なんですね?家事とかお一人ですよね?」
気がつけば七海がすべて食べ終えていて食器を流しに持っていく途中だった。
奈々枝、菜々子先輩は一生懸命カレーと格闘しているし、俺だってまだ半分ほども食べていない。しかしまぁ、不思議な話だが初対面名はずなのにぎこちないという雰囲気は一切流れていない。これはどういうことなのだろうか?彼女たちが言っているとおり、将来を約束していた仲だという証拠なのだろうか……
さっぱりわからないので俺は無言のままカレーを口に運ぶ。
俺の沈黙をどうとったか……七海は言った。
「うん、決めました!」
「なにを?」
「私、やっぱりこの家に住んで蒼疾さんのお手伝いをします!」
右手をグーにし、天に掲げて七海は断言したのだった…………そして、驚いたのは俺である。
「ちょ、ちょっとまった!」
「どうしたんですか?」
「なんでそういった流れになるんだよ?」
「だって、これでは蒼疾さんがかわいそうですよ!あ、心配しないでください。私、舵は得意なほうですから」
「いや、そういうことじゃなくてだな……」
俺がどうやって説明しようかと思っていると俺の隣で食事をしていた奈々枝が言った。
「うん、それいいわね!あたしも手伝ってあげるわ」
「はぁ!?」
「当たり前じゃない?大切な人が家事で苦しんでいるのなら……助けてあげるのが、その、妻としてのつとめじゃない?」
いや、素直に言われてうれしい言葉だけどな、別に家事で苦しんでいるとは言ってないんだが……なんていうことを奈々枝に言う前に菜々子先輩がお皿を俺に突き出して言った。
「まかせて、お兄ちゃん。わたし、家事とか結構得意だから」
「って、先輩まで……」
この奇妙な先輩のことをとやかく言いたくはないのだが(さきほど腕相撲をしたところ、軽くひねられた)破滅的な料理が出てきそうな予感がするのだ。
協力すると言い出した二人に対して、七海は言った。
「いえ、私一人で大丈夫です……お二人は何もしなくて結構ですよ」
「でも、そんな……」
「水臭いよ、七海おねえちゃん」
本当に申し訳なさそうな顔をして七海はいった。
「だって、お二人が蒼疾さんのお手伝いをしてしまったら蒼疾さんがお二人に寄っていく可能性がありますから……私だけが蒼疾さんのお手伝いをすることによって私だけが蒼疾さんの心の中のパーセントゲージをゲットできます!」
「……意外と黒いのな、七海」
「いえ、当然ですよ……だって、その、二人きりじゃないといろいろとできないじゃないですか?」
何をする気だ、何を。
「ちょっとまった。七海、悪いけど蒼疾は渡せないわ……」
そういって食事を終えた奈々枝が立ち上がる。
「右に同じでおにいちゃんは渡さない……もちろん、奈々枝先輩にもね♪」
いまだ食事を終えていない菜々子先輩は立とうとしたのだが俺が座らせた。
「絶対に、お二人がこの家に住み込むことを許しませんから」
「何言ってるの、未来の奥さんのあたしが絶対に勝ち取るわ」
「二人には絶対にお兄ちゃんは渡さないってあの日誓ったから」
一触即発な空気をもやもやーっとしたオーラとして産出している三人に俺は言った。
「待った、俺の両親が決めないとそりゃ、だめだろ?」
「た、確かにそうですよね……」
「ごめん、蒼疾」
「忘れてたよ」
やれやれ、とりあえずあと十分ぐらいで九時だからそろそろかけても大丈夫だよな?
フル充電完了の携帯を取り出してプッシュ。もちろん電話の相手は父さんたちだ。
「あ、父さん?」
『お、息子か?どうした?大人の階段を上がる方法を聞きたいのか?』
「違う!……信じてもらえないかもしれないけど俺の家に住みたいって言う…友達がいるんだけど?」
若干の間が相手から声が聞こえてくる。すでにそれは父さんではなかった。
『で、その友達って男の子?それとも女の子?』
「えっと、女の子」
そういうと完璧に沈黙。ああ、これはだめだろうなと思って電話を切ろうとすると……
『わかったわ。あの三人なんでしょう?だけど、簡単に手を出しちゃだめよ?節度あるおつきあいをするのよ』
そういったすぐあとに父さんの声が聞こえてくる。
『さぁ、美月ちゃん一緒に寝ようよ〜』
そのまま電話は一方的に切られた。
「……なんなんだよ、いったい」
三人の宿泊許可があっさりと決まったことに対して半ば不安を覚えながらも俺はそれを伝えた。
その後も少しいざこざがあったのだがこうして俺たち四人は同居することになったのである。不安がないといったらうそになる……とにもかくにも、始まってしまったこの生活に慣れることだけを信じて俺は枕を高くして寝ることにしたのだった。